荏原ダイオキシン汚染問題について
藤沢市議会の意見書の採択を求める陳情

(趣旨不了承になりました)
     株式会社荏原製作所藤沢工場のごみ焼却施設から大量のダイオキシンが環境中に排出され、引地川の水をはじめ底泥、生物、周辺の土壌等を高度に汚染してきたことは、すでに国・県・市の調査報告によって明らかです。
     私たちが6月3日に藤沢労働会館で開催した『荏原ダイオキシン問題真相糾明市民集会』の席上行われた神奈川県の説明では、その後の調査結果を踏まえて、荏原製作所に対して2件の指名停止1ヶ月の処分と改善勧告を行うことで、事実上の安全宣言を行ったとのことです。
     私たちは、上記市民集会で出された要望・意見を集約する中で、周辺住民と工場従業員健康への影響調査、食物連鎖を中心とした生態系への影響調査、なかんずく引地川の底泥中に沈殿するダイオキシンの除去といった基本的な対策が講じられていない現段階で安全宣言を急ぐことは、ダイオキシンの毒性や危害を軽視した措置と考えます。
     また、『事故原因を起こした者がその責任において原状を回復するのが当然』という考えに立って、これまで荏原製作所のトップが繰り返し述べてきた『誠実に対応する』ことを実行させることが望まれます。そうした措置こそが再発防止の決め手になるのではないでしょうか。
     つきましては、下記につき市議会の意見書を採択して、市民生活の安全と健康を守っていただきたく、陳情いたします。加えて、荏原製作所に対し、市としての指導強化を図るよう議会に要望いたします。

    [国と県に対する要望]

    1.  荏原製作所藤沢工場敷地内からも高濃度のダイオキシンが検出されたことから、工場周辺住民への被害の恐れがあるので、周辺地域についてもダイオキシン調査及び人体の健康調査を行うこと。

    2.  地場産の魚介類については継続的にダイオキシン調査を行い、その結果を速やかに公表すること。その結果、汚染度の高い魚介類は流通を禁止するとともに、その補償を行うこと。また、汚染度の低いものについては安心して食べられる旨周知し、風評被害を防ぐ措置を講じること。

    3.  ダイオキシン検査を希望する人には、血液・毛髪・母乳などの検査を速やかに行うこと。また、生態系−とりわけ底生動物、鳥類への影響調査を実施すること。

    4. ダイオキシン汚染調査およびその対策に要する費用は、莫大なものになることが予想されるところから、最終的には荏原製作所に費用負担させるにしても、市民が安心できるよう充分な調査・対応をしたり、被害者への緊急救済に一時立て替えを行うために、国として緊急対策を講じること。

    [荏原製作所に対する要望]

    1.  引地川の底泥を回収しダイオキシンの除去に努めること。少なくとも第三者が認める引地川の汚染されているすべての底泥(河口・海域を含む)を撤収すること。

    2.  漁業者、鮮魚市場、サーフショップ、海の家など関係業者へのこれまでの経済的損失に対する補償を速やかに実施するとともに、今後予想される損失についても誠実に対処する旨約束すること。

    3.  今回のダイオキシン汚染調査及びその対策に要した費用は、社会的・道義的責任に基づいて、荏原製作所がその全額を負担すること。

    以上

平成12年6月6日

荏原ダイオキシン問題市民対策会議
代表 井之川 平 等
 川 崎 健  
 戸 田 摂  
 山 本 範 子

    藤沢市議会
    議長 栗 原 義 夫 様



平成12年6月23日 

 井之川 平等殿

藤沢市議会議長 
栗原 義夫 

陳情の結果について(通知)

 本市議会に陳情されたことについて、次の通り決定しましたので通知します。

  1. 件名
    陳情12第7号 荏原ダイオキシン汚染問題について藤沢市議会の意見書の採択を求める陳情
  2. 審査年月日  平成12年 6月12日
  3. 審査委員会名 民生常任委員会
  4. 審査結果  趣旨不了承
  5. 理由     要望の中に、二,三法的根拠のない項目が含まれているため

以上 
 


『法的根拠がない』とは何か
〜それでは市民はどうしたらよいのか〜(エコネットニュース74号より)

 荏原ダイオキシン問題の解決を図る一環として、環境8団体で構成する市民対策会議は、上記の陳情を6月市議会に提出した。市議会常任委員会での結論は残念ながら賛成少数のため不採択となった。議会最大会派の代表は討論の中で『2,3の点で法的根拠がないので』と述べ、議会事務強から送付された不採択の理由も同様に記されていた。
 論者の言い分はおそらく、

  1. ダイオキシン類特別措置法の猶予期間中の出来事であること
  2. 底泥に関しては基準値が設けられていないこと
  3. 底泥の浚渫を義務づける法的裏付けがないこと

 などによるものであろう。このあと議員からの提議で別紙の国宛の意見書を市議会は採択している。
 市議会が採択した意見書は、荏原ダイオキシン対策を巡ってほうの見直しを求めている点で評価できるが、陳情不採択の理由として『法的根拠がない』というのはとうてい納得がいかない。法的根拠があるのであれば、市は法に基づく措置を粛々と執行すればよいのであって、荏原ダイオキシン問題の厄介な点は、まさに法的規制の枠の外で起こっているところにある。
 私たちがこれまで繰り返し指摘しているように、今回の荏原ダイオキシン問題の本質は法的規制の不備によって市民の健康と環境が著しく危険にさらされ、しかもその影響が幾世代にも及ぶという点にあるのである。法の整備を待っていたのでは千載に禍根を残すことが明らかだからこそ、もっとも身近である自治体-市と市議会に早期に対策を講じてほしいと訴えているのだ。『国の法律が不備なため市民の安全が守れない』という言い訳は聞きたくない。法律が不備なら条例で補えばよいではないか。市民の安全を守ることこそ自治体の使命であることは言うまでもあるまい。

(井之川平等