荏原ダイオキシン問題市民対策会議
環境影響部会からの質問の前提資料
    1.荏原より排出されたダイオキシン総量の推定と汚染範囲について、
     次のように考えられるがこれで間違いはないか。
(1)引地川水系について 稲荷雨水管線及び引地川高名橋下流域

    (A)スクラバー排水より
       98,000pg-TEQ/リットル× 処理量リットル/日×220日×7年
    =98,000pg-TEQ/リットル×15,000リットル/日×220日×7年
    =2,263,800,000,000pg-TEQ
    =2.3g
    (B)稲荷雨水幹線合流点(雨水処理水の混合水)より
    38,000pg-TEQ/リットル×流量リットル/日×365日×7年
    =38,000pg-TEQ/リットル×915,000リットル/日×365日×7年
    =53,545,800,000,000pg−TEQ
    =53.6g
    (C)総合排水処理施設より
    8.6pg-TEQ/リットル× 処理量リットル/日×220日×7年
       =8.6pg-TEQ/リットル×900,000リットル/日×220日×7年
    =1,191,960,000,000pg
    =1.2g
    ∴(B)=(A)+(C) ?にはならないが、

    (D)放流水800t/日×8100pg/リットル に基づく試算
       計算式(8100pg:1?=x:800t・80万?)
        1日 x=8100pg×80万=64.8億 pg
        1年 x=64.8億pg×220日=1兆4256億pg=1.4256g
        7年 x=1.4256g×7年=9.97922g

    いずれにしても、引地川水系には、およそ3.5〜54gのダイオキシンが排出されたと考えられる。


(2)工場及びその周辺地域について

     問題は、荏原工場内の降下物中のダイオキシン総量である。
     周辺土壌に、15〜230pg-TEQ/g
     工場屋根の堆積物に240pg-TEQ/g
      これは極めて高濃度のダイオキシンである。
    1m2当たりに換算した場合、およそ600万pg(6mg/m2)相当量になる可能性がある。
     7年間にダイオキシンが地表1cmの土中に堆積したとして、土の密度を仮に2.5g/cm2とするとこの土の重さ(質量)は、25,000gになる。
     従って、1m2当たりのダイオキシン=240pg/g×25000g
                    =6,000,000pg/m2(=6mg/m2) 
     工場敷地面積をおよそ500,000m2とすると、
    工場内に降下したダイオキシンの総量=6,000,000pg/m2×500,000m2
    =3,000,000,000,000pg
    工場敷地内に限定しても およそ3兆pg(300万mg=3g)とも考えられる。工場周辺を含めると測り知れないことになる。再度、工場周辺地域についての調査が必要である。

                                    
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    2.今回のダイオキシン汚染事故の原因について、
    以下のように荏原藤沢工場及びその関連施設より排出されたものであると考えているが
    これについて間違いはないか。

(1)工場敷地内及び周辺地域

     周辺土壌に、15〜230pg-TEQ/g
     工場屋根の堆積物に240pg-TEQ/g
    これらのダイオキシン汚染は大気中から降下したものである。従って、年2回程度の大気中のダイオキシン濃度が、4.2〜17ng-TEQ/Nm3で基準値以下であったとしてもこれだけの高濃度のダイオキシンを排出していたことには間違いはない。このことは、年2回の測定時には、それまでと違った焼却炉の運転管理をしていたことが疑われるか。80ng-TEQ/Nm3という基準値が低すぎるかのどちらかである。

(2)引地川水系及びその周辺海域
引地川のDXN汚染の主な原因
水質
底質
合流点前の高名橋の水質及び底質
6.5pg-TEQ/リットル
5.4pg-TEQ/リットル
合流点後の高名橋の水質及び底質
21pg-TEQ/リットル
引地橋の 水質 及び 底質
27pg-TEQ/リットル
12pg-TEQ/リットル
富士見橋の水質  及び 底質
9.7pg-TEQ/リットル
8.0pg-TEQ/リットル

    今回の調査の結果、稲荷雨水幹線出口で4,100pg-TEQ/リットルのDXNが検出され、2/16の8,100pg-TEQ/リットルに次ぐ高濃度のDXNが出たことが再度確認された。
    荏原製作所の焼却炉を停止させた後、稲荷雨水幹線出口の水質の値が下がるに伴い富士見橋での値が下がっていることで引地川DXN汚染の主因が荏原よりの排出水にあることは明かである。引地川河口周辺の海域のダイオキシン汚染の原因も、荏原からの排出水であることは明らかである。


                                    
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    3.生態系への影響について以下のように考えるが間違いはないか。

(1)水系への影響(水系〜生物濃縮〜生態系〜人体へ)

     引地川の底泥のDXN汚染が水の汚染に由来することは明かである。更に、富士見橋付近のコイで13pg-TEQ/リットル 、フナで30pg-TEQ/リットル 、ボラで5.8pg-TEQ/リットル のDXN汚染を受けていることが判明した。特に、フナの30pg-TEQ/リットルという数値は全国1位の神田川の数値と同じであり、極めて高濃度の汚染状況にある事が判明した。従って、食物連鎖の高次の動物では、さらに高い汚染状況にあると考えられる。
     これまでも藤沢市では、クロマツの汚染が全国1位、母乳では全国2位という状況にあったが、引地川の魚類においても全国1位という状態である。クロマツについては、大気からの移行が主と考えられるが、魚介類やヒトについては、食物を通して生物濃縮された結果である。引地川の水質と底質の汚染状況を直ちに改善しなければ、生物濃縮のしくみによって、DXN汚染はさらに進行して被害は深まるばかりである。
     河川の水質管理に責任を持つ県は、直ちに水質基準以下に下げる手だてを講じることが求められる。2000年1月に施行されたDXN特別措置法では、自治体に対しては猶予期間は認められていない。適切な処置が講じられない場合には、市民対策会議として、告訴を検討すべきである。雨が降れば、底泥が撹拌され、水質の悪化をまねくことが明かであり、水質を改善するためには、底泥の除去が不可欠である事は言うまでもない。
     引地川及びその周辺の海域の生物がDXNに汚染されているので、更に詳しい調査を行うべきである。その際、水草やゴカイ・イトミミズ・ユスリカ・ムラサキイガイ・フジツボ等の定着性無脊椎動物と食性段階の高い鳥類も対象に加える必要がある。DXNがからだに入るルートは、食べ物からが98%、大気からが1.5%と食べ物からが圧倒的に多い。環境中に放出されたDXN汚染に対しては、全市的な大気及び荏原周辺の土壌と河川並びに海域の食物連鎖の解明が不可欠である。

(2)大気とその降下物の影響(屋根の上の堆積物・土壌〜人体へ)

     工場棟の屋根の堆積物240pg-TEQ/g、工場敷地内の土壌から15〜230pg-TEQ/gもの値が検出されたことは大問題である。日米で問題になっている綾瀬のエンバイロテックの焼却所の直下でさえ300pg-TEQ/gである。1000pg-TEQ/gという基準値が元々低すぎるのである。また、この時の土壌ブランクの20pg-TEQ/gは取り方に問題がある。周辺土壌(4)がマイナスになるようなことでよいものか。
     1m2当たりに換算すると、およそ600万pg(6mg/m2)相当量になるとすると、イタリアセベソのダイオキシン事故と比較すると、R地帯(この地域でとれた野菜、果物の食用や販売禁止家畜の屠殺処分が行われた)、または、B地帯(12歳未満の児童と妊婦の昼間の疎開、出産を控える。自動車の走行スピードを30km/h以下にする。電気掃除機を注意深く使用する等)に相当するのではないか。セベソの場合では、一度に飛び散ったこととの違いを考慮しても、かなり問題ではないか。周辺住民及び従業員の健康被害が心配である。また、大気については風向きによってはかなり広範囲に影響が出ることも予想されるので、全市的な解明が必要である。

    <参考>
     1976年のセベソのダイオキシン汚染大事故で放出されたダイオキシンの推定量が、250〜300gと言われている(宮田秀明「ダイオキシン問題Q&A」)。
     セベソでとられた措置は
    A地帯:汚染量 50mg/m2以上 セベソ、メダにまたがる110ha 住民 736人
        住民736人全員の強制疎開、10年間の居住禁止、
        約8年間の狩猟禁止
    B地帯:汚染量 5〜50mg/m2 セベソ、チェサノマデルノ、デシオにまたがる270ha
         住民 4,699人
        12歳未満の児童と妊婦の昼間疎開、出産を控える
        自動車の走行スピードを30km/h 以下、電気掃除機を注意深く使用
        約8年間の狩猟禁止
    R地帯:5mg/m2以下 A地帯とB地帯の周辺地域の1430ha 住民 31,800人
        この地域でとれた野菜、果物の食用や販売禁止、家畜(屋内飼育を除く)の屠殺処分
        約8年間の狩猟禁止

(3)海は安全か?

      濃度の低いものこそ、環境ホルモン作用を受けやすい事がわかってきた。生物濃縮が起きているのを放置すれば、ダイオキシン汚染は深まり、被害は計り知れないものにな ると考えられる。


                                    
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    4.人体への健康被害を明らかにするために以下の方法が有効と考えるがどうか。
(1)母乳中のダイオキシン検査を行うことが必要である。

    人体のダイオキシン類蓄積の中で、とりわけ母乳での蓄積が問題です。体内に入ったダイオキシン類は、主に脂肪組織に蓄積されます。血液中の脂肪が、母乳では10倍に濃縮されます。赤ちゃんは、おとなの10数倍の汚染にさらされているともいわれます。
     '95年、厚生省は、人工乳ほ育児に比べ、母乳ほ育児の方がアトピー性疾患の発症率が高いという報告を出しており、母乳経由のダイオキシン類摂取の結果としてアトピー性疾患が起きている可能性が指摘されています。
     本来、母乳は、牛乳や粉ミルクと違って、人間のものですから、アレルギーなどの障害も少ないはすです。
     何よりも、母乳ほ育は、赤ちゃんにとってスキンシップが高まり、お母さんにとっても、赤ちゃんにとっても精神的なメリットは、かけがえのないものです。
     かわいいわが子に、汚染されている母乳を与えているかも知れないと思うことは、母親にとって大変な不安です。そして、母体からのダイオキシン類排出が、ほとんど母乳によるということは、この事態に対するいいしれぬ怒りともなっています。これらのことから、母乳のダイオキシン汚染は、大変大きな問題です。汚染を見極め、対策を立てるために母乳の検査が不可欠です。

(2)サーファーや荏原従業員を含め、市民の健康被害を解明するためダイオキシンの血中濃度(毛髪)検査を行うことが必要である。

(3)焼却場からの排ガスのダイオキシン濃度が高かった1989〜93年に御所見地区をはじめとして、男児出生比率の低下などの出生異常が起きているので、専門家による調査委員会を設置し実態の解明を行うことが必要である。

     かつて石名坂焼却場のDXN汚染問題に関して、適切な対応をしなかったことが、これまでのダイオキシン汚染調査で、松葉全国1位(このクロマツは荏原工場の周辺でサンプリングされたものである)、母乳全国2位、水質全国1位、フナ全国1位という今日の状況につながっているのである。
     1989〜93年の出生異常、御所見・長後・六会地区や藤沢地区等の男子出生率低下は、藤沢市におけるダイオキシン汚染の先ぶれである。この解明と適切な対応を怠るならば、その影響は子々孫々にまで受け継がれることになろう。
     引地川及びその周辺海域のダイオキシン汚染は生物濃縮によりさらに重大化し、藤沢市におけるダイオキシン汚染が更に深刻になることは火を見るより明らかである。荏原工場周辺地域及び引地川水系とその周辺海域のダイオキシン汚染が、更なる市民の出生異常にまで発展しないようにするためには、既に、異常が示されている状況を直視することが重要であり、荏原工場とその周辺地域や引地川及びその周辺海域のダイオキシン汚染に対応するためにも不可欠である。

(4)耐容一日摂取量(TDI)=4pg/kg/日の検討

     日本の基準で大丈夫なのか。
     この基準でどれだけ食べられるのか。・・・
     大人は・・・
     子どもは・・・
     ダイオキシンは、食物から人体へ入ってくることが殆どであるいわれている。
     環境庁が行っている陰膳方式や各国で行われているトータルダイエット・マーケット・バスケット方式等のダイオキシンの食品からの摂取両調査を行うことが必要である。

(5)その他、以下のことについても調査が必要である。

      (1)塩素ざそう(クロルアクネ)、 (2)自然流産、 (3)肝機能障害、 (4)成人の死亡率増加、(5)ガンの発生、 (6)乳ガン、子宮ガンの発生、 (7)未成年の死亡率増加  (8)ホルモンかく乱作用 等

                                    
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    5.DXN汚染問題についての基本的態度について見解を伺いたい。
 DXNの毒性特質は、どんなに微量であっても障害が生じるものであり、量の問題で はない。閾値(毒性が実際上ゼロになる用量)がないことをである。従って、現在のDXNについての環境基準は、当座の目安であって、出来るだけ早い時期に環境基準を「0」に近づけることが求められるのである。
 現在の調査データを見るときに「環境基準」をオーバーしていなければそれでよしと するのではなく、それからどれだけ低く下げられるかを考えなければならないのである。 既に、アメリカ環境保護庁ではこの見解に立ち、DXN類の耐用一日摂取量・実質安全 量は0.01pgTEQ/kg/日、カリフォルニア州では、0.007pgTEQ/kg/日である。
 日本の4pgTEQ/kg/日は高すぎて安全とは言えない。先頃の新聞報道にもあるとおり、DXN類は発ガン性物質であることが判明している(アメリカ環境保護局報告書案)。日本の基準が発ガン性を考慮に入れていないことは重大なミス過失であると言わねばならない。DXN汚染は、緩慢なる殺人と言っても過言ではない。DXN類の発ガン性を 見過ごすことは、この緩慢な殺人を見逃す重大な過失致死傷害と言うべきでものある。


    6.市民によるDXNの独自調査に市は協力できことはないだろうか。
(1)市民による聞き取り調査
    調査シートを作りますので、奇形をした魚類や鳥類を見たり、鳥類の死体を見かけたら連絡して下さい。

(2)松葉によるDXN調査を多くの市民参加で行う。
   1.荏原周辺のクロマツを200mおきに調査する。
   2.全国松葉ダイオキシン調査への参加
 藤沢市の13行政区毎にクロマツを採取し、行政区毎のDXN汚染の状況を明らかにする。
 参加希望者を各地区に分け、その中から各地区調査担当責任者を選ぶ。

(3)フジツボ・ムラサキイガイ・鳥類についての調査を行い生態系への影響を明らかにする。

(4)その為の費用を市民によるカンパで集める。

    費用総額概算: 500万円
      内訳 松葉  1検体 15万円×20=300万円
         その他 1検体 20万円× 9=180万円
  諸雑費              20万円
    カンパ 1口 500円 × 10,000人=500万円

(5)この運動がスムースに行くように藤沢市に協力を要請する。市民と一体になってこの調査を進めるために市として出来ることはないか相談していきたい。
                                
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