てっぺん野郎
--本人も知らなかった石原慎太郎 --

    石原慎太郎というバイオレンス

    著:佐野眞一
    \1,900+税
    496ページ
    発行:講談社

目次より

プロローグ

第一部 海の都の物語
 第一章 「泥亀」と店童
     赤か青か/中学中退/一顔一見主義/裕次郎の疎開話/
     山陽電鉄脇の生家/自ら口にした異母兄/海と船のDNA

 第二章 父母の面影
     父親似と母親似/「バニティのある人」/「江ノ島」事件/
     流刑/小樽遊廓/一升酒と積み取り人夫/日本版ゴールドラッシュ

 第三章 樺太縦断
     鈍色のオホーツク海/タラバガニを立ち食いし、北上はつづく/
     無縁仏となった女郎たち/百二円と十二円/
     小樽の海は真っ赤に染まっている

 第四章 坂の上の家
     サムライ部落/坊ちゃん刈り兄弟と電髪の母/「稲男」

 第五葦 ドンちゃんの蕩冬
     余市出身の芸者/もうひとりの「弟」/
     「自分の世界で生きていく以外ない」/
     鬼気さえ漂う放蕩の果てに/聞こえてこない仕事ぶり/
     裕次郎コンプレックス/「エピソードをつくつちゃった」


第二部 早すぎた太陽
 第一章 戦争の光と影
     黒人兵の横浜上陸/江藤淳との出会い/左翼活動への傾倒/
     本当の師/一隻の小さなヨット

 第二章 十九歳の家父長
     裕次郎が遺した戦慄的スケッチ/「ジェット機の慎ちゃん」/
     銀行員と船員/伊藤整に無心して「一橋文芸」復刊

 第三章 衝撃と反発
     将来を予見した芥川賞選評/高橋和巳の嫉妬/豹変する語り手/
        「二代目」石原慎太郎

 第四章 浄霊ファミリー
     鬼の棲家/ターキーの決断/「坂の上の雲」/
     裕次郎と石川啄木/「太陽族元祖会」初代会長

 第五章 無意識過剰
     三島由紀夫という援軍/作品より、本人の方が魅力的/
     行動派マルチタレント/「モナ・リザ」を残せるか/
     秀逸な文学談義/十二年間の“キャンペーン期間”


第三部 「てっぺん」への疾走
 第一章 若い日本の会
     手を汚さないお坊ちゃんたち/新劇女優との熱愛/
     「今度会ったら殴ってやる」/
     思わず「中国」と言おうとして「シナ」

 第二章 政治への跳梁
     盗作事件/総理大臣の耳

 第三章 密約と裏切り
     三島と慎太郎の決定的な差/
     中曽根に泣きついた衆院鞍替え選挙/
     馬を売って応援した都議会の大物/青嵐会と角栄批判/
     高速道路に置いてけぼり

 第四章 唯一の汚点
     都政の九割を牛耳る副知事・浜渦/
     議員辞職の陰に幻の都知事選出馬/隠し子発覚で家族会議/
     怪文書騒動/上田哲の分析

 第五章 三度目の勝利
     生活保守主義の台頭/ソデにされた訪米
     /「恥をかくのはてめえの方だ」/
      「パパァ」発言/マチズモの看板の真の小心さ

 第六章 総理か都知事か
     核爆弾となる浜渦問題/「愛宕山で終わる」


エピローグ
あとがき
石原憤太郎関連略年表
主要参考文献一覧
巻末/人名索引


帯より

なぜ、この男の言動から目が離せないのか
「総理したい男No.1」
慎太郎のすべてを書いた決定版評伝!


石原慎太郎は、嫌悪の感情にせよ、期待の感情にせよ、彼を見つめる者自身にもおそらく説明できない意識下の感情に、力強く、しかも間違いなくふれてくる男である。(中略)
石原慎太郎を解剖することは、彼に向けられた人びとのまなざしを検証することと、ほぼ同義である。
(プロローグより)