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ある種の女たちは男と女の同等と同質を意識的に混交させ、卑猥なジャアナリズムに媚びへつらい、彼女たちの貧相な肉体以上のものを売ってその身をひさいでいる。その種の運動家と自称する女たちは、サディスティックな現代のジャアナリズムの嗜好が育てた新種の売笑婦ともいえる。 確かに、妊娠も出産もしたことのない女闘士が、妊娠や出産の女にとっての負担を喧伝し、すべての母親は心底では子どもを憎み、赤ん坊をコインロッカーに捨てて殺したいと願っている、などと叫べば、ジャアナリズムははやしたてるが、世間は笑い出す。しかし世間を嘲笑なり失笑させることで、彼女たちは自己顕示の報酬を得ることもできている。 ********************* 『男と女』(エッセイ)より このあと、三島由紀夫の思い出に続きます。 (1979年 角川書店:刊 『戦士の羽飾り〜男の博物誌〜』所収) |