軍と国家

 9月3日に「ビッグレスキュー東京2000」と名付けた総合防災訓練を行いますが、それは陸海空の三軍合同による大規模なものです。あえて「軍」と言っているのは、別に挑発しようというのではなく(笑い)、大規模な災害に対処できる機動力や技術力を持っているのは、やっぱりどこの国でも軍隊なんですよ。言葉のごまかしはもういい加減やめるべきで、その機能をきちんと都民、国民に見せるべきだと私は思っています。

〜(中略)〜

 国政の目的は、確かに国民の生命財産を守ることにあるけれども、そこにはより高次の概念があるべきです。それは命を捨てても守るべき国家の価値、われわれ一人一人の歴史に連なる国家の存続を確保することであり、政治家は常にそれを意識していなければならない。実際に誰かに対して死地に飛び込むことを命じるわけですから、自らもその決断に責任を負う覚悟が求められるのは当然です。


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 『誰が国民を守るのか!』
   
(志方俊之・金美齢氏との緊急鼎談)より
 いつもの論調が、同士お二方を交えていよいよ意気軒昂です。「命を捨てても国家の存続を確保する」というところに、きっと一番言いたいことが現れているんだと思います。
 こう言ってしまうと、本人はかっこよくて気持ちいいかもしれないけど、防災に関しても、“いちばんに守るべきものが人の命より別のもの”であったら、「やはり守ってもらえないかもしれない」と思っている人から見たら、大変恐ろしい言葉ではないでしょうか。

(“正論”2000年10月号 所収)