〔付記〕 2000年4月9日の暴言のあとも、石原知事は開き直って、問題発言をエスカレートさせている。しかし4・9暴言関連のそれらをまとめる作業は、今後にゆだねたい。ここでは、4・9暴言のあとの別の発言と、1999年春の都知事選直前の発言のみ収録する。

東京湾に原発を


【2000年4月26日、日本原子力産業会議第33回年次総会(東京国際フォーラム、東京・丸の内)で】
(「首都としてエネルギー問題は重要だ」「どこかの新聞が『知事がバカなことを言った』と書くかもしれないが」と前置きして)

「完璧な管理が行われているのであれば、東京湾に立派な原子力発電所を作ってもいい」

(2000年5月2日付『内外タイムス』、ただし孫引き、この件、現在確認中)



「メガロポリス機動隊」の創設を

【2000年5月31日、関東地方知事会議で。以下、記事そのものを紹介する】
石原慎太郎東京都知事は31日、関東地方知事会議で、各都県警察の管轄にとらわれずに首都圏で機動的な捜査を行う
「メガロポリス機動隊」を創設すべきだとの持論を展開した。
この発言があったのは、埼玉県が提案した関東圏での警官増員を求める要望の審議中。

同知事は「東京でも犯罪は非常に増えており、外国人によるものが多い」との認識を披露した上で、知事自身が住む大田区では、隣接する神奈川県川崎市との間で犯罪者が行き来していると指摘。都県ごとに警官を増員するよりも、外国人の扱い方などで専門性を備えた「機動隊」を創設すべきだと訴えた。
(時事通信社が2000年5月31日に配信した記事、見出し「『メガロポリス機動隊』の創設を=都県警察の管轄超えて対応―石原都知事」)




武器輸出を解禁し促進する発言

【2000年5月9日、甲府市で開かれた自民党の中尾栄一元建設相の会合での講演】
(日本の家庭用ゲーム機のコンピューター技術の高さに触れて)
 一番の安全保障は優秀な兵器を作って外国に売ることだと思う。(コンピューター技術を)ロケットに転用すると、宇宙の兵器の性能がとたんに上がってしまう。アメリカが欲しくてしようがない。通産省が、これをやると武器輸出につながるんじゃないかとハラハラしているけど、日本は堂々と新しい兵器を作ってどんどん売ったらいい。普通の戦闘機の半分で宙返りできる戦闘機を日本から外国に売られたら、どんなことをしたって、外国は日本に攻めて来ませんよ。これは戦争を促進することじゃない。ばかな新聞はそう書く。
(2000年5月10日付『毎日新聞』)


マスメデイアへのむき出しの敵意

【2000年5月19日、石原都知事は、陳水扁氏の台湾総統就任式に参加するため、台湾入りした。彼の台湾訪問に対しては、中国外務省が日本政府に出席中止を求めていた。訪台に先立って行なわれた記者会見で】
これから台湾に出かける。文句ある?
(2000年5月20日付『産経』朝刊)



中国を分裂国家に

【2000年5月20日、台北市で行なわれた陳水扁・台湾新総統の就任式に出席したあと、市内のホテルの記者会見で】
『朝日』―ドイツ人がつくるドイツやオーストリアを強引に束ねたのはヒトラー。仮に江沢民(中国国家主席)が戦争の引き金を引いて台湾を合併したら中国のヒトラーだ。そのうち必ず中国は分裂国家になる。アジア東洋の平和のために、共産主義独裁政権が崩壊することを熱願する。
『毎日』―〔中国に経済援助している日本政府について〕馬鹿な政府が、外務省の腰抜けで金を出す。〔台湾への中国の圧力を分析しつつ〕仮に江沢民が軍をそそのかして台湾を合併する戦争を始めたら、彼はヒトラーですよ。
『産経』―(中国政府に対して)同じ中国人だとしても、台湾はおれたちのものだと強引に武力でくっつけちゃうと日本で演説したのは江沢民(国家主席)だ。ヒトラーの言っていることと同じじゃないか。今のままでいくと、中国は五か六の分裂国家になる。私はアジア東洋平和のために、世界の安定のために共産主義独裁政権が中国でも崩壊することを熱願してますから。ソビエトがつぶれたのと同じように。〔台湾の独立の是非を問われて〕一つの中国、一つの台湾でいいじゃないか。私はもともとそう言っていたんだから。
(2000年5月21日付『朝日』『毎日』『産経』)



在日朝鮮・韓国人に
参政権を与えることは、むずかしい問題

【米誌『ニューズウィーク』のインタビュー記事。「在日朝鮮・韓国人の参政権については?」と問われて】
うーん、むずかしい質問だ。三世、四世になると、国籍は別であっても意識は日本人と同じだと思う。帰化してくれたらいちばん簡単とはいえ、民族のプライド、そしてお父さんやお母さんに対する思いもあるだろう。
国政は別にして地方参政権という人々もいるが、これはかなりむずかしい問題だ。というのは、地方といっても、国政を左右しかねない複雑な問題もありうる。たとえば原発とか米軍基地の問題は、知事や市長選挙であっても国政に影響する先鋭的な問題となる。この参政権の問題は、「国籍」の重みや意味を問うことになるためむずかしい。
(『ニューズウィーク』日本語版・六月七日号)



「三国人」発言に対する
外国人らによる批判行動は、一種の被害妄想

【2000年6月9日の都庁での記者会見で。以下は新聞記事のまま】
会見で知事は、「『三国人』発言が波紋を呼び、都内に住む外国人に不利益をもたらしているのでは」との質問に対し、「不利益ってどういうこと」と反問。「彼らがいたずらに人の言うことを誤解して、一種の被害妄想みたいに言っておられる」との認識を示した。さらに、「私は偏見を持って言ったわけじゃない。どの人が不法入国か正当な滞在かわからないが、いずれにしろ東京に外国人に起因した犯罪が増えているのは事実だ」と、これまでの主張を繰り返した。
(2000年6月10日付『朝日新聞』)