2001年12月現在、東京都渋谷区原宿にあった社会事業大学跡地利用をめぐって、都と地元の間で争われています。
地元住民と都がこれまで合意をしながら進めてきた経緯を無視するような形で都が600人収容の留置場をつくると言う計画を発表したので地元は大反対、「原宿大規模留置場建設反対区民の会」をつくって12月3日に署名を提出しました。
渋谷区在住の方から資料をいただいたので、下記に掲載いたします。(2001.12.05)原宿大規模留置場建設構想 反対区民の会
http://www.harajuku.jp/hantai/
原宿大規模留置場建設構想に反対する陳情及び請願願意 東京都は直ちに日本社会事業大学跡地利用計画の内、大規模な留置場建設構想を白紙撤回せよ
社会事業大学跡地利用については、東京都が平成7年11月に用地収得しました。地元の神宮前地区住民は原宿地区の商店会とともに「神宮前社事大跡地協議会」を設立し、渋谷区を交えて東京都と協議を重ね、東京都より『渋谷区が集約した地元意見を取り入れるように関係局に伝えるとともに誠意を持って対応してまいります』という書簡(7財管総第372号)を翌1月に受け取っています。
ところが今年平成13年10月10日付新聞に「原宿駅近くに大規模留置場-東京都が計画」なる記事が掲載され、東京都が日本社会事業大学跡地に高層の民活ビル、原宿警察署に加えて600人収容の大規模留置場を作る計画を進めていることを初めて知りました。これは、地元が誠意を持って都と協議してきた経緯及び協定を一切無視するものであります。 また、日本社会事業大学跡地の大部分は第2種中高層住居専用地域であり、かつ文教地区でもあります。隣接した原宿外苑中学校のみならず、東郷幼稚園や区立中央図書館があります。今回の構想は、青少年のためにも教育環境を害し、安全な地域環境を保持する上にも好ましくありません。さらに、住居と商業の調和のある発展の上にも好ましくなく、非常にイメージダウンでもあります。
我々は、原宿警察署の移転やPFIなどの民間活力を導入されることに反対するものではありません。都と地元住民が重ねてまいった民主的な手順と結論に対し、知事が変わったとしても守っていただきたいのです。
今回の構想は、原宿地域のみならず、渋谷区全体の問題であり、渋谷区民一致団結のもとに、計画構想の白紙撤回を要求いたします。
平成13年10月22日原宿大規模留置場建設構想反対 区民の会
代表 大角 隆子
(現 神宮前地区町会連合会会長)東京都知事 石原慎太郎 殿
東京都議会議長 三田敏哉 殿
日本社会事業大学跡地利用に関する意見書十月十日付け、日本経済新聞の朝刊に「原宿駅近くに大規模留置場」との見出しで、神宮前一丁目四番一号の日本社会事業大学跡地に、東京都が約六百人収容できる留置場と射撃場とを設置する旨の報道があり、引き続き十一月二日の定例記者会見の場で、原宿大規模留置場建設構想が石原慎太郎知事の口から正式に表明されました。
東京都の突然の計画変更にの姿勢に区民・区・区議会は、大きな驚きと強い怒りを覚えました。
日本社会事業大学跡地利用に関しては、渋谷区が国から取得すべく協議する中、平成八年、都が阪神・淡路大震災を教訓として、都市災害救助隊、原宿警察署等を建設するとの跡地取得後の利用計画が示され、渋谷区が跡地取得を断念した経緯があります。その際、利用計画にあたっては、渋谷区・地元住民から出された事前協議、環境への配慮等六項目の要望に誠意を持って対応する旨、都から回答されております。それにもかかわらず、渋谷区・地元住民に事前の協議もないまま、都知事が大規模留置場構想を正式に表明し、「反対はエゴ」と発言されたことは誠に遺憾であり、永年にわたり培ってきた渋谷区と東京都の信頼関係をも踏みにじるようなこの構想については、到底容認できるものではありません。
よって、渋谷区議会は、東京都に対し、日本社会事業大学跡地利用計画の策定に関し大規模留置場構想を白紙撤回するとともに、渋谷区との約束を遵守されるよう強く要請するところであります。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出いたします。
平成十三年十一月 日
渋谷区議会議長
東京都知事あて
11月27日渋谷区議会において
区議:芦沢一明氏の代表質問に答えた渋谷区長の回答芦沢議員からは、原宿大規模留置場建設計画への対応について、4点のお尋ねですが、順次ご答弁申し上げます。
第一点目ですが、10月10日の新聞報道以来、都から何らかの説明、又は情報提供があったか、とのお尋ねですが、このことについては、石原都知事が区におもむいて、区や区議会に対し謝罪し、経過を説明することがスタートであると考えております。
従って、ご質問のような都からの対応はないところであります。
次に、計画の撤回と、都区合意事項の尊重を改めて求め、早急に跡地利用の代替案を地元住民と区で策定すべきと考えるが、とのお尋ねですが、前段で申し上げたとおり、都が都区合意を遵守し、大規模留置場建設計画の撤回をすることが先決であり、現段階では代替案は検討する時期ではないと考えております。
3点目は、基本構想(案)の業者公募、正式には「日本社会事業大学跡地利用の基本構想策定に関する調査委託」についてのお尋ねですが、都は業者公募をしているが、阻止する有効な手段を区としては持ち合わせていないところであり、なによりも計画の白紙撤回、及びこれに関連する予算の成立阻止に向けて、都議会を巻き込ん住民運動を展開することが、最も有効であると考えております。
4点目に、防犯政策のあり方について、どう考えているかとのお尋ねですが、区は今までの経緯から、あくまでも今回の大規模留置場建設計画の白紙撤回を求めて行くことが最も重要な課題であります。
従って、現時点で治安問題に言及することは、石原知事はこれまでの約束を治安上の問題にすりかえられる恐れがあり、適切でないと考えております。既に、政府は服役中の外国人受刑者を母国に引き渡すため、「受刑者移送条約」に参加するため、通常国会に批准案を提出するようであります。
しかるに、過日、新宿区長は、区環境衛生協会連合会における定期総会でのあいさつの中で、「新宿区歌舞伎町の犯罪は、外国人によるものが多く、区民の安全を守るためには、治安当局に留置場を設置し万全をはかるべきである。ついては、原宿の留置場もかかる観点から考えるべきではないか」という主旨の発言であったと聞きますが、その発言は、渋谷区及び地元住民の協定文書等の経緯を知らないまま、的外れの発言をされ、きわめて残念であります。その際、新宿区長が三国人発言をされ、強い抗議も受けたと聞きましたが、もし、これが事実であるなら、留置場の件を含め、軽々しい発言であり、防犯政策論議とは、ほど遠い内容であると存じます。
原宿留置場問題トップページへ