東京都総合防災訓練 参加レポート 綾小路さくら |
私は、在日韓国人の人材育成コンサルタント・辛淑玉さんが石原都知事の「三国人発言」に反発して、本当の国際化、国際都市とはみんなが共に助け合って生きること、多文化共生の社会づくりを目指しての実験、として8月に行った「多文化探検隊」のイベントにボランティアとして参加しました。 石原氏の「新宿歌舞伎町は不法入国した三国人のおかげで日本のやくざも怖くて歩けない」発言を受けて、 ■それでは歌舞伎町とはどの様なところかみんなで探検しよう! ■この街に住む様々な人々の文化を知って理解を深めよう! というものです。 東京のそれも新宿駅周辺という限られた地域でのイベントでしたがとても有意義な企画でしたのでご報告します。 ◆多文化探検隊◆ 各新聞やNHK、「ニュース23」でも2度取り上げられたのでご存じの方も多いと思いますが、イベントの数は70近く。 コリアンタウンや防衛庁、戸山の731部隊跡あと、新宿2丁目などのツアー、日本語学校や多国籍の子が通う保育園見学、入官行政の課題、街に氾濫する外国人お断りの看板、国際結婚、外国人女性シェルター、外国人労働問題、ゴミ・下水問題、不動産屋、介護、不登校、ホームレス、在日韓国人の方々や、ハンセン病の元患者の方のお話、映画の上映、マレーシア・ブラジル料理や琉球・アイヌ料理・・・ 優しいのから難しい問題まで、硬軟取り混ぜた様々な企画がありました。 ボランティアとして参加したのは石原発言に反応した人のみでなく、いくつかの言語をこなす若い人々が共生の言葉に惹かれて参加されてました。 8月15日のオープニングでは喜納昌吉氏が「花」を歌い、それを韓国語など多言語と日本と韓国の手話付きで皆で合唱しました。 20日の多文化縁日ではベトナムラーメン、韓国のチヂミ、イランのスープ、タイのカレー、インドネシアのクッキーー・・・各国の屋台が並び、エイサーなどが披露されました。 ◆多文化共生防災訓練◆ そして石原氏の自衛隊も参加する総合防災訓練に対抗して、その前日の2日には「多文化共生防災訓練」がお寺の境内で約500人の参加者にて行われました。 阪神淡路大震災のときのパネルが展示され、これを教訓に災害が起きたとき、情報が十分伝わらず、救助活動や支援から取り残されがちな身障者や外国人を含めて、みんながお互いに助け合い、共に命を大事にしよう、という防災訓練です。 7カ国語で災害情報が流され、同じ材料を使っての多文化に応じた炊き出しや、パントマイムでの情報伝達の仕方、応急処置の仕方など通訳付きで行われ、この実験の結果はマニュアル化して全国の自治体に配る予定だそうです。 辛さんの「やりたい!」という一途な思いから始まったイベントでしたが、新宿が抱える様々な問題。外国人、身障者、女性、性などの様々な差別。(これは日本の縮図でもあります)を、聞いて、知って、考える非常にいい機会になりました。 是非来年も!という声も多くきかれ、私も、来年もやって是非もっと多くの方々に参加していただけたら、と思いました。それにしても辛さんの行動力には脱帽です。 ◆東京都総合防災訓練◆ そして9月3日の、石原氏の「なんとか、銀座に戦車を走らせたい」という子供じみた一途な思いから企画されたという総合防災訓練を見に、銀座に行ってきました。 朝8時から10時という、まだ商店街の店が開く前だったこともあり、関係者以外の人出は少なかったです。 銀座通りの交通を遮断して、消防、警察、赤十字、建設省、銀座商店街関係者など様々な人や車両が出てました。 ビルから人を梯子車やロープで救い出す救助訓練(窓から煙、付きでした)、負傷者を担架に乗せてテントのなかの医療部隊に運ぶ救護、光ファイバーを使う情報伝達、物資輸送等々、その銀座通りの道路の真ん中を5〜60人の護衛に囲まれて森さんと扇千景さんが視察と称して歩いていきました。石原氏もいたらしいのですが大勢に囲まれていたので分かりませんでした。 上空ではヘリコプターが3機ずつ編隊を組んで十数機、赤、白黒、黄色・・ なかには地上の的を攻撃する対戦車ヘリも参加していたとか。自衛隊の車両は10台くらい、装甲車や、トラック、キャタピラー付き、棒状またはパラボラアンテナ付き、など様々な車両が来ていて、大宮や伊丹などの文字が見えました。 でも彼らは両端の一丁目や八丁目付近にいて、真ん中の四丁目付近は赤い消防庁などだったので、少しは気にして遠慮したのかな、という印象を受けました。 他の関係者も多かったので、別に自衛隊ばかりが目立った印象でもなかったのですが、でも普段は目にすることの全くない迷彩服が銀座に集団でいるということは、不安感をそそる異常な光景でした。 諸外国では銃を手にする軍人を町中で見かけることもありますが、今日の訓練を見て逆に、普段は目にすることのない日本、そして東京の平和の有り難さをつくづく感じました。 このような所での『訓練』より、今現在三宅島で支援を必要としているのだからそちらに行って、実地訓練をかねてやってきたらどうか、という声も街中で多く聞かれました。 また、この日はロシアのプーチン大統領が来日とのことで、交差する晴海通りを右翼の街宣車が連なって、相変わらずけたたましくボリュームを上げて賑やかに何度も通っていきました。 この日は都内10会場で約二万五千人が参加し、うち自衛隊は約7100人だったそうです。約三分の一弱ですね。銀座も場合はデパートの社員なども参加していたので自衛隊員の割合はずっと少なかったと思います。 石原氏は訓練会場で「外国からの侵犯に対しても、まず自らの力で自分を護るという気概を持たなければ誰も本気で手を貸してくれない。」と発言したそうです。 あれ?これは防災訓練じゃなくて軍事演習だったの? 「皆で助け合って生きよう!」と言う辛さんに、「誰も助けてくれない!」という石原さん。 かわいそうな人ですね。 10時には彼らは掃除をして引き上げ、またいつもの日常の喧噪が戻った銀座でした。 12時から数寄屋橋で女性たちが抗議のビラまき。夕方には、今度は銀座通りと並行して走る数寄屋橋通りを「多民族共生社会の防災を考える9/3集会」主催で、民族衣装の辛淑玉さん、佐高信さん、海渡弁護士らを先頭に、外国人を交えて約二千人が抗議のデモ行進をしていきました。 また別の人々も200人ほどが別のルートでデモ行進したそうです。そちらが終わってからこちらに合流した人もいました。 石原都知事は訓練に反対する人々のことを 「都民の冷笑をかっていた。見ていて愉快だったよ。」などと話し、「でも助けますよ、同胞だから」と付け加えたそうです。(時事通信) 裸の王様とはこういう人のことを言うんでしょうね。 本当に気の毒な思考の方ですが、でも災害にあったら助けてあげましょう。同じ人間だから。 私は自衛隊とは別組織で災害対策専門の訓練を受けたチームを作るべきだと思います。 既に国際災害救助隊ができているようですが、あまり知られていませんね。 これをもっと拡大し、世界中で起きる様々な災害に速やかに対応できるよう、常時待機しているようにすべきだと思います。 |