【追震災体験1】 95/ 1/19 13:56


あの日々を思い出すことから 次の五年へ歩むため
この文章は神戸市長田区で私が被災した体験を、
震災直後から発信してきた文章にコメントを付加して
「追震災体験」と題して5年後の同日に再発表していくものです。
下記各メーリングリストとマスコミ関連そして私のWebページ
に公表していきますが、転載も歓迎します。ぜひ転載してください。
● mlx 震災復興メーリングリスト http://www.kitanet.com/ML.html
● Kobe-trial メーリングリスト
● aml オルタナティブ運動情報メーリングリスト
http://www.jca.apc.org/~toshi/aml/intro.html
●とーちのページ http://toach.org/

 生きてます。<とーち>

  心配していただいた方もいらっしゃったかもしれません。とりあえず、元気で
 す。
  やっと電気がきたので、このMSGをUPしてます。電話回線は未だ不安定だ
 し、貴重なリソースですので、NIFかPC−VANかどちらかUPできたほう
 だけにUPしますので、転載をお願いします。

  ドロドロドロというバスドラムのロールみたいな低音が夢の中でひびいたかと
 思うとドーンゆさゆさっときました。私は静岡で震度4は経験していたのですが
 くらべものにならない揺れです。揺れる振幅も長く速さもかなりありました。し
 かもずいぶん長く続いたように思えます。ゆれを感じながら、まだ揺れるんか、
 もうやめてくれ、と思いました。ゆれの方向は南北です。したがって、家の中の
 ものでは、南北方向に向かっているものは倒れることになります。
  ゆれがおさまって全員が無事であることを確認して、火は使ってないことを
 (寝ていたのだから使っていないに決まっているのだが)思い出し、確認しまし
 た。懐中電灯を探して、着替えをして、ラジカセに電池をいれました。これで、
 ようやく外出体制ができました。家の中は、散乱しきっています。たなの上のも
 のはすべて落ちており、食器は割れ放題になっています。
  近所の人達と無事を確認しながら、夜明けを待ちます。近所で、とじこめられ
 た人がいるようで、懐中電灯を渡そうとしたりしていました。

  夜が明けて、窓から外を見たとたん、状況が把握できました。ななめ向かいの
 鉄筋4階(一部6階)建てのビルの1階部分が崩れて、2階が1階の高さにきて
 います。(このビルからは、今も救出作業が行われています)3軒となりの木造
 2階建は全壊して道路に木材が散乱しています。ほかにもちょっと見渡すだけで、
 全壊の建物がいくつもあります。ほかにも斜めにかたむいている家などがあり、
 木造の家で無傷なものがめずらしいくらいです。
  ところが、ラジオの報道は、被害が少なかったところで、けがをした、という
 ような情報ばかりです。被害が大きいところからの情報が入ってこないためのよ
 うです。正確な情報がないために、対応が後手に回るのではないかと思っていま
 したが、その通りになってしまったようです。

  そのご、火事の恐怖などがあり(なにせ、水が出ないため初期消火もなにもあ
 ったものではありません)、私が中学まで住んだ実家も全焼しました。

  救援対応としては、水が不足しつづけていました。私達は、近くに井戸を汲み
 だしているところがあったため、それを分けてもらいました。この近所では、こ
 のように井戸が出ているところが複数あり、給水車などよりはるかにこの井戸の
 ほうが役にたっています。
  救援作業では、今となっては人手だけではどうしようもないところが多くなっ
 ているように思えます。斜め向いのビルもそうですが、クレーンなどがないとと
 ても救援できないのです。報道は落ち着いて来ているようにされているようです
 が、現場は、現在進行型です。

  さて、買い出しにいきますので、このへんで。またレポートします。
                                  <とーち>


  電気がきてまっさきに私がしたことは、上記の文書を書いたことでした。電気
 がきて約3時間後に私はこの第一報を発信しています。実は、それまでの二日間
 というもの、予想される報道の遅れと現実との狭間にあって、自分が直接情報を
 送れないことがもどかしくてならなかったのです。
  今でももし、現在のようなバッテリで長時間稼動するようなノートパソコンが
 あれば、と悔やまれてなりません。それほど、この二日間はすさまじい出来事が
 連続していました。また、この二日間の感覚がうまく伝わらないために、その後
 の「温度差」が生まれているようにも思います。しかし、今となってはそれを補
 う文章を書く自身は残念ながら、ありません。これは私だけでなく、被災された
 多くの方に共通する感覚のようです。

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           五年後の今、震災体験を追体験していく
             「追震災体験」実施中
          --------- とーちのページ ---------
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とーち(奥野 律也) toach@e-mail.ne.jp
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