抗議文全文

2004年12月16日発令の「入学式、卒業式の適正な実施について(通知)」に対し、私たちは以下の通り抗議を申し入れ、その即時撤回を求めます。

2005-2/7

町田市教育委員会  教育長 山田雄三殿

「学校に自由の風を!」事務局

これ以上「君が代」を
押し付けないで!
-----町田市教委の国歌声量の   
   強制に抗議します------

 私たちは「学校に自由の風を!」の呼び掛けに呼応する、町田市の公立学校に子どもを通わせている保護者および都内の学校に子どもを通わせている保護者や都民です。
 貴職は昨年末、今春の卒業式や入学式で児童・生徒が校歌などと同じ声量で「君が代」を歌えることができるよう、事前に指導することを定めた通知を市内の小中校長宛に出しました。
 この通知には「君が代」の声量指導のみにはとどまらない強制的内容がたくさん盛り込まれていること、また式に参列する保護者も声量調査の対象にされる可能性があること、などから私たち保護者および都民はこの通知の撤回を求めます。

 この通知では「君が代」の事前指導の計画書や式当日の実施状況の報告書の提出を求めるなど、こと細かな報告が指示されています。例えば1〜2月は「月ごとに」、3月には「週ごとに」の提出や「週案簿への記載」「管理職の授業観察」も求めています。
 卒業式や入学式までの、少なくとも5-6時限、音楽の教員や児童・生徒たちは国歌の練習をさせられることになります。教員によっては「君が代」指導の際に、「天皇の代がいつまでも続くように大きな声で」と、くり返し子どもたちの心に刷り込む授業が行なわれることになります。このような「君が代」の声量指導は、指導に名をかりた天皇崇拝の教育にもなりかねず、主権在民の憲法の精神に反します。

 私たち保護者は子どもの教育を公立校に委託はしているものの、保護者の了解を超えた「君が代」の刷り込み教育は、押し付けであり、はなはだ迷惑です。それどころか、本来ニュートラルであるべき市教委が、政治的見解の一方の側の価値観を通達に盛り込むことに問題はないのでしょうか。国旗・国歌のことさらな強制通達は教育基本法10条に抵触する違法行為です。貴職は町田市の保護者や都民に対し、どのような説明をされているのでしょうか。

 貴職らがおよそ教育に関与する者であるならば、君が代の斉唱時に座して歌わない人や、立っていても大きな声では歌っていない人達がなぜいるのか、を問うてみるべきです。公立校には様々な子どもがいます。国籍や信教、信条の問題などから「君が代」を歌いたくない、歌えないという子どもたちや教員がいることへの留意を忘れるべきではありません。憲法や教育基本法、そして子どもの権利条約に保障されている子どもたちは、人間として、ひとりひとりが尊重されなければなりません。子どもたちは、学校や教育を管理しようとする大人たちの道具ではありません!
 また1931年から実に15年の長期間、日本は戦争に明け暮れ、命よりも国旗や国歌が優位にされた不幸な一時期がありました。ことさらな国旗崇拝、ことさらな国歌奨励は、日本の多くの人々を苦しめ、アジア各地の更に多くの人々を不幸のどん底に陥れました。国旗や国歌がこのような日本の精神的支柱の道具とされてきた歴史に盲目であってはなりません。

 式当日の声の大小や、前日までに声出し指導をどう行なったかについては報告を求めない、と貴職は言うようですが、これは詭弁です。式当日、市教委職員を来賓として招待させて監視するとしているのですから。このような役割を担った市教委職員の卒・入学式への監視派遣は、教育基本法10条にも抵触するもので厳に慎むべき行為ではないでしょうか?
 卒業式や入学式の場には児童生徒とともに保護者も参列しています。声量の総体には保護者の声量や沈黙も混在しており、判断の客観基準をどこにおくのかも曖昧です。それどころか声量判断の対象には保護者も含まれるということであり、これは町田市民への重大な人権侵害行為です。
 昨年の卒・入学式では都教委は保護者の不起立調査を行ない、7月には保護者調査は誤りであったとのコメントを出しています。この保護者不起立調査の再発行為ともいえる、貴職の声量指導通知は直ちに撤回されるべきです。

 1月20日の朝日新聞報道によると、貴職らは「子どもに自信をもって歌ってもらうためで強制ではない」との説明をするようですが、「歌ってもらう」という行為を強要しておきながら、「強制ではない」という根拠はどこにあるのでしょうか?
 式典時「君が代」を座して歌わない教員は処分する、というシステムを背景に構築しておきながら、「強制ではない」とする貴職の言い分には根拠の明確な理由が説明されていません。子どもたちにとっては「自分が歌わなければ、自分が大きな声で歌わなければ、先生が処分されてしまう」という強要であり、強制です。いやそれ以上に、脅威、脅迫にも等しい行為ではないでしょうか?子どもの人権への配慮に欠けた、このような国歌斉唱の強制や、声量をも強制する今回の通知は直ちに撤回されるべきです。
 町田市教委は町田市民や都民に対し、児童や生徒たちに対し今回の通知が、どうして「強制ではない」のか説明責任があります。

 町田市には「町田市子ども憲章」や市教委の基本方針があります。この基本方針のひとつに「人権尊重の徹底」として「日本国憲法及び教育基本法の精神を基盤として、児童の権利に 関する条約や『町田市子ども憲章』などの趣旨を生かした教育を推進します。」と宣言されています。これは町田市の宝です。石原都政に破壊されてはなりません。
 
 私たち「学校に自由の風を!」は以下の実現を求めます。回答は文書で求めます。貴職が受け入れられない項目については、その拒否理由も添えてご回答ください。また、その項目について再度説明の機会を設けることを求めます。

  1. 本通知を即時撤回すること。声量判断の対象には保護者も含まれ都民への侵害行為である。

  2. 本通知が「強制ではない」というならばその理由を明示し、説明責任を果たすこと。

  3. 卒・入学式への市教委職員の監視派遣は、教育基本法10条に抵触するものであるから、中止すること。

  4. 町田市教委は事前に、信条・思想良心の自由を説明し、国旗・国歌に対し起立しない自由、歌わない自由があることを子どもたちに伝えること。

  5. 町田市子ども憲章、憲法、教育基本法・子どもの権利条約などを守ろうとする行為を処罰しないこと。

  6. 国旗国歌法成立時に政府答弁では強制はしないとしていたのに対し、歌わない自由を認めないのならばその論拠を示すこと。

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