「日の君」強制反対のたたかいを東京から全国へ
―「強制反対裁判すすめる会」結成―

西村恵子

 「この裁判を絶対に負けさせるわけには行かない!」そんな気持ちが集まって、大きな流れを作る第一歩を踏み出しました。

 東京都教育委員会は2003年10月23日付通達以来、「日の丸・君が代」強制とそれに伴う大量処分や解雇を強行しています。この通達そのものや、処分の撤回などを求める裁判を支援し共にたたかおうと、当事者を含む教職員、保護者、市民が集まって「東京『日の丸・君が代』強制反対裁判をすすめる会」が結成されました。7月23日の結成総会は千代田区の星陵会館で行われ230人以上が参加。このたたかいは思想信条の自由だけでなく、教育の自主・自立、学校の自治と民主主義、そして子どもの人権を守るためのものであることを確認しあいました。

 会では共同代表には教科書ネットの代表委員でもある尾山宏弁護士を始め、10氏を選出しました。その一人、元日教組委員長の槙枝元文氏からは挨拶の中で、今から50年以上前、君が代に替わる歌が公募されてできた「緑の山河」という歌を当時の天野文部大臣に紹介したところ、「この歌はいい、どんどん広めなさい」といわれたこと、また当時は政府も日の丸・君が代を強制しようとは考えていなかったことなど、日の丸・君が代に「戦後の歴史」があったことを聞くことができました。

 弁護団から裁判の現状報告の後、原告からの決意表明がありましたが、今学校現場でいかに人権が踏みにじられる状況になっているか、一人ひとりの思いが強くにじみ出る訴えが続きました。支援する立場からも、都教委の攻撃は、結局は子どもが対象であり容認できないこと、各学校の自主・自立の伝統が壊されるものであることなどが話されました。

 記念講演は、やはり共同代表の1人である大田堯氏。身近な体験談やユーモアを交えた語りは、大きな共感を呼びました。日本人は、自分たちは「どうなるのか」と言いたがるが、これは「臣民」の意識から抜け出せていないこと、大切なのは自分たちが「どうするのか」なのだということや、夫婦であってもDNAも育った環境やキャリアも違うのだから意見が違うのはあたりまえ、むしろ一人ひとりは違うことが重要ということなど、この闘いの根幹に関わる部分を「強制反対」ということばを用いずに話されました。

 結成総会としてのアピールを採択し、今後の行動の呼びかけで集会は終わりましたが、当日参加者の半分以上の人が会への加入を決めてくれました。(なお、会の年会費は個人2000円、団体5000円。連絡先掾彦ax03−3204−7477)さらに、全国に訴えて、会を大きく広げていきたいと考えています。

 現段階では、この会は都立学校教職員が中心の裁判を支援する組織になっていますが、もちろん都立学校以外にも日の丸・君が代問題ではたくさんの裁判が起こされています。今後は、各地で行われている「日の丸・君が代」の強制に反対する裁判と連携を強めながら、10.23都教委通達に由来する裁判を、なんとしても勝たせるために、運動をより大きく強くしていく決意を固めあっています。皆様の大きなお力添えを、どうぞよろしくお願いいたします。

教科書ネット21news 8月10日号より


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