2006年9月29日

東京都教育委員会
教育長 中村正彦殿

要 請 書

「日本人なら日の丸・君が代に敬意を表すのは当然」「国旗・国歌なんだから尊重するのは当たり前」・・・そんな言葉が独り歩きし、日の丸・君が代、国旗・国歌に対するそれぞれの思いや意見を自由に口にすることすらはばかられるような雰囲気が作られていることに、私たちは大きな危惧をいだいてきました。また、そんな今の状況は、かつて国の中枢にいる人たちが「バスに乗り遅れるな」を合言葉に開戦派に同調し、アジア太平洋戦争に突入していった時代を思い出させるような状態であるとも感じています。法や通達などで人の心を縛ることが、どんな結果を導くか、日本の歴史は雄弁に語っていることを忘れてはいけません。

 そんな中で、9月21日に東京地裁で出された判決は、そんな過ちを繰り返してはいけないことを、今あらためて明確にしています。また、判決は思想・良心の自由は、決してだれも侵害してはいけないことをはっきりと示し、東京都教育委員会の2003年10月23日付通達の違憲・違法性を認定しましたが、これは憲法や国際的な常識に照らしてみても、至極当然のことです。

 判決を待つまでもなく、処罰してまで起立を強制し、君が代を歌えと言うこと、さらにそれを生徒に教えるよう強いることは、教職員の思想・良心の自由を侵害し不当な支配になるだけでなく、教職員や生徒、保護者の人権を侵害することです。

 都教育委員会がこの判決に従わず控訴し、こんどは自らが原告(控訴人)の立場になって争いを続けることは、都教育委員会に対する都民の信頼をさらに損なうことになるでしょう。子どもたちの将来を真剣に考えなくてはならないはずの都教育委員会が、多大な時間と労力、そして税金を使って裁判を続けることは、都民にとっても大きな損失です。

 東京地裁の判決を真摯に受けとめ控訴しないこと、また判決に従い教職員の処分や日の丸・君が代の強制をやめ、2003年10月23日付通達をただちに撤回することを、強く要請いたします。

以上


賛同呼びかけ人

太田淑子 (君が代強制「解雇裁判」原告)
大山早苗 (子どもと教科書を考え府中の会)
岡 史明 (闘うシンガー・ソングライター)
沖野章子 (子どもと教科書全国ネット21)
記田和子 (杉並の教育を考えるみんなの会)
楠典子  (学校に自由の風を!ネットワーク)
楠正昭  (学校に自由の風を!ネットワーク)
洪美珍  (「こころとからだの学習」裁判支援全国連)
小島昌夫 (元女子美術大学教授)
近藤徹  (「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める
                 被処分者の会事務局長)
近藤光男 (被解雇者の会)
柴田 章  (東京・教育の自由裁判をすすめる会)
荘司美子  (学校に自由の風を!ネットワーク)
鈴木加代子 (教育基本法「改正」反対市民連絡会)
鈴木国夫  (学校に自由の風を!ネットワーク)
醍醐 聰  (東京大学)
谷森櫻子  (「こころとからだの学習」裁判支援全国連)
寺島やえ ( 元私立高校教員)
東本久子  (教育基本法「改正」反対市民連絡会)
西村恵子  (学校に自由の風を!ネットワーク)
平野時英  (生かそう教育基本法!子どもと教育を守る世田谷の会)
古荘斗糸子(うちなんちゅの怒りとともに!三多摩市民の会)
古荘暉  (原告)
星野直之  (被処分者の会)
松井奈穂  (図工教師)
松尾ゆり (都立高校保護者)
丸浜江里子 ( 学校に自由の風を!ネットワーク)
山本直美  (杉並の教育を考えるみんなの会)
わしお由紀太 (とめよう戦争・日野市民の会)
★賛同署名1234名を添えて、9月29日都教委へ提出しました。★

■賛同署名のお礼と簡単な報告■
※署名協力いただいた方には改めてお送りしますが、取り急ぎ。

都教委への緊急賛同署名にご協力くださった皆様

 このたびの、9.21地裁判決を受け入れ「日の丸君が代」の強制をやめるよう要請する「都教委への緊急賛同署名」にご賛同、ご協力いただきありがとうございました。
 今日午後、呼びかけ人・賛同者17名ほどで要請書と賛同名簿を都教委へ提出、控訴をしないよう申し入れてまいりました。要請に対応したのは教育情報課の係長他1名。「都は控訴したのか(あるいはするのか)」という問いには、「答えられません」を繰り返すのみでした。私たちの思いは、参加者が順次述べ、教育長に必ず伝えてくれるよう強く要求してきました。
 また、都庁記者クラブの各社にも要請書を届けました。
 都は、今日夕方控訴したことを明らかにしましたが、引き続き私たちの運動で都教委を包囲して、控訴取り下げ、10.23通達の撤回を迫っていきたいと考えています。

 署名は26日朝8時から28日正午までという取り組みでしたが、最終的に都教委提出に間に合った数は1234筆。ひっきりなしに全国から届けられるメールに、集計担当者は胸を熱くしながら名簿作成作業を続けました。(その後もメールは届いてます)
 今回のことを通じて、私たちは決して少数派ではなく、市民の良心に訴えていくことで圧倒的多数派になれるであろうことを確信しました。
 予防訴訟をはじめ、いくつもの裁判がたたかわれていますが、たたかいの場は法廷だけではなく、私たちの日常的な運動にあるということを忘れないようにしたいと思います。

 署名を呼びかけてくださった方、それに応えてくださった方、メッセージを寄せてくださった方、本当にありがとうございます。引き続きそれぞれの場所で共に力を尽くしてまいりましょう。
 以上、簡単ですが呼びかけ人一同からのお礼とさせていただきます。

2006年9月29日

呼びかけ人一同

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