生徒の「内心の自由」を押しつぶすことは
誰にもできない!
新たな「日の丸」君が代」強制の
「通達」の撤回を求めるアピール

 東京都教育委員会(都教委)は3月13日、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の指導について」という「通達」を都立学校校長に出しました。都立高校定時制の卒業式において「国歌斉唱時に学級の生徒の大半が起立しないという事態」を受けて、校長は「自らの権限と責任において、学習指導要領に基づき適正に児童・生徒を指導することを、教職員に徹底する」というものです。「日の丸・君が代」に関わって、職務命令であるとして「通達」が出されるのは03年の「10.23通達」以後初めてのことです。

 私たちはすでに04年10月に「生徒の『内心の自由』を押しつぶしてはならない!」というアピールを発表し、度々都教委に対する要請を行ってきました。今年の1月27日にも「新通達」を出さないように都教委に申し入れました。今回の「3.13通達」は、「生徒の不起立」を「教職員の不適切な指導」に直結させて教職員を処分するというものであり、まさしく生徒の「内心の自由」を押しつぶす卑劣なやり方と言わねばなりません。「生徒の不起立」を問題視し、教職員に対し生徒を指導することを「徹底」するということは、生徒から「起つこと、歌うこと」以外の選択肢を奪うものだからです。

 今回の「通達」は、「児童生徒の内心にまで立ち至って強制するものではない」という「国旗・国歌法」制定時の政府見解に反するばかりか、都教委自ら同様のことを言明してきたことにも反し、生徒の「内心の自由」に本格的に踏み込むものになっています。

 この間、生徒の「内心の自由」に対する攻撃は周到に準備されてきました。都教委は04年3月11日にホームルーム活動や予行などで「生徒に不起立を促すなどの不適切な指導を行わないこと」などの「通知」を出し、3月16日の都議会において横山洋吉教育長(当時)は「学習指導要領に基づきまして国歌の指導が適切に行われていれば、歌えない、歌わない児童生徒が多数いることは考えられません」と答弁し、5月24日の教育委員会において教職員・管理職67人を「厳重注意」「注意」「指導」の「処分」としました。さらに6月8日の都議会において、横山洋吉教育長(当時)は「校長の権限に基づいて、学習指導要領や通達に基づいて児童生徒を指導することを盛り込んだ職務命令を出し、厳正に対処すべきと考える」と、生徒への指導を職務命令で強制する答弁を行い、10月の周年行事校から生徒指導を盛り込んだ「新職務命令」を出すよう校長に指示しました。

 しかし、それに止まることはありませんでした。昨年12月8日の都議会において中村正彦教育長は、「学級の生徒の多くが起立しないという事態が起こった場合には」生徒を適正に指導する旨の「通達」を発出すると表明したのです。今回の「通達」がこの中村教育長答弁にそったものであることは明らかです。

 こうして都議会の場で、一部都議の質問に応え、教育長が生徒の「内心の自由」に踏み込む答弁をエスカレートさせてきたことは、本来の教育行政のあり方からも逸脱していると言わざるをえません。しかも今回の新たな「通達」は二重の意味で大きな問題を持つものになっています。それは、生徒の「内心の自由」に対する本格的な攻撃であり、「生徒指導」の名目でその攻撃を教職員に担わせ、生徒不起立の場合は懲戒処分にすることを企図しているからです。このような巧妙な手法による生徒と教職員に対する攻撃を許してはなりません。

私たちは、改めて「生徒の『内心の自由』を押しつぶしてはならない」ことを宣言するとともに、憲法・教育基本法の理念に反する今回の「通達」および「10.23通達」の撤回を求めるものです。

2006年3月16日
勝野 正章(東京大学)
小森 陽一(東京大学)
斎藤 貴男(ジャーナリスト)
俵 義文(立正大学)
成嶋 隆(新潟大学)
西原 博史(早稲田大学)
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