東京都教育委員会 横山洋吉殿 2004年6月3日
私たちはこの春、子どもが都立高校を卒業した保護者および、現在も都立学校に子どもが在学する親、および東京に住む住民です。様々な国籍の子ども、養護学校をはじめ、さまざまな条件の子どもが通っている都立学校で、子ども達がお互いの違いを認めあい、未来に希望をもち誇り高く生きる若者になって欲しいと願っています。
2003年10.23に東京都教育委員会が出した卒業式・入学式に関する通達に不安を覚え、通達の再検討を求め、貴教育委員会に要請し、都議会に5686筆の署名を添え陳情をしてきました。陳情に賛同する保護者は87校に及んでいます。
しかし、私たちの要請を全く聞き入れなかったばかりか、10.23通達を踏みこえ、「君が代」斉唱時、生徒達が不起立だったことをもって教師を処分するという教師、生徒の意見表明権をまったく認めない野蛮な決定をしました。
東京都教育委員会の教育目標には「互いの人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間」、「自ら学び考え行動する、個性と想像力豊かな人間」とあります。「自ら学び考え行動する」自由を認め、個性と想像力豊かな人間に育つことをめざしています。上意下達で、生徒にも強制する今回のやり方は教育目標にも違反していると思います。
1999年に成立した「国旗・国歌法」は成立時に、複数の政府関係者が「強制するものではない」と言明しました。
「学習指導要領」を理由としていますが、「起立するよう指導する」と書いてはありません。指導要領を逸脱した指導の強制です。
以上の理由から、私たちは貴委員会に対し、次のことを質問し、6月10日までにご回答を下記連絡先までお送り下さいますようお願い致します。ご回答をいただいた上で、あらためて、要請させて頂きます。
- 今回の通達、および一律の強制は「自ら学び考え行動する、個性と想像力豊かな人 間」と東京都教育委員会の教育目標に逸脱していると思いますが、如何お考えか、見 解をお聞かせください。
- 日本も批准している子どもの権利条約には、第12条意見表明権、第2条差別の禁 止、第8条アイデンティティの保全、第14条思想・良心・宗教の自由を定めていま す。今回の通達及び処分はまったく反しています。見解をお聞かせください。
最後に2003年度の卒業式は、10.23通達による強制で多くの混乱がもたらされ、教職員も保護者も生徒も苦しみました。この混乱の責任はひとえに教育委員会、とりわけ横山教育長にあります。横山教育長の再任に強く反対します。