作成者が原文を問答形式に整理し、下線を付けました。

○古賀俊昭(自民党)

 本日は、大東亜戦争開戦の大詔渙発より六十四周年に当たります。さらにことしは、日露戦勝から百年の節目であると同時に、日本文化史上最大級の事業である我が国最初の勅撰和歌集「古今和歌集」が成立して千百年になります。それまでの漢詩文偏重に終止符を打ち、和歌を日本文化のかなめにしたこの平安朝時代に編さんされた「古今集」の祝賀の歌の初めに、詠み人知らずとして、国歌君が代の原歌があります。本日は、そうした国史の意義を踏まえながら、一般質問を行います。
 初めに、学校式典における国旗・国歌の適正な取り扱いと、それに関連する特殊法人NHKの報道について問題点を指摘し、同時に所見を伺います。
 NHKは、番組「クローズアップ現代」で、ことし三月二十八日に国旗・国歌問題を、九月二十日に杉並区における教科書採択を特集しました。二つの特集は、どちらも、適正な教育行政を進める教育委員会等を批判した内容になっています。
 国旗・国歌問題については、あとで問題点を指摘しますが、杉並教科書採択特集では、教科書採択権は本来教育委員会にあるという法規上当然のことを暗に批判し、かつて教職員組合が教科書採択に不法に介入したときからいい続けている現場教師の声の反映をしきりに強調しています。
 さらに、教育委員会による平穏な教科書採択に反対する組織によって、過去、教育委員に対して陰湿な脅迫が行われ、また、反対派組織には過激派も含まれていることなど一切報道せず、強権を発動する側対市民派の争いといった印象が残る巧妙な構成になっています。
 NHK番組の偏向は、雑誌「正論」でNHK番組批判を連載している中村粲元獨協大学教授の指摘を待つまでもなく、何も今、始まったわけではありません。平成十三年一月二十九日から連続四回シリーズで報道された「ETV2001 戦争をどう裁くか」では、極めて政治的に偏った組織が企画した女性戦犯法廷を取り上げています。この法廷は、一方的に、一方的証言のみを取り上げて戦争犯罪をでっち上げ、先帝陛下と英霊を罪人扱いするなど、法廷とは名ばかりのゆがみ切ったものでした。一言でいえば、特殊な政治的思想を持った反日自虐活動家による政治茶番劇です。
 では、問題の、三月二十八日放送「クローズアップ現代」での、学校式典における国旗・国歌問題の番組について問題点を指摘します。
 当日放送された内容は、都教委と反対する教員双方の意見を取り上げる形式は一応とっていたものの、各所で反対する教員側に立った番組構成となっており、極めて悪らつ、偏向した内容になっています。
 例えば、番組の初めに、一方的な考えの押しつけと戸惑う学校現場を追う、とあります。なぜあえて適正化を図らなければならなかったかという原因究明は一切なく、特定の見方、すなわち、国旗・国歌は押しつけられたものであり、教育現場はそれにより混乱しているといった観点で番組が始まります。
 次に、深川高校八十周年記念式典の風景が映し出されますが、ここでも、先生に立つよう命じただけでなく、生徒への指導も求めたと解説があります。番組では適正実施のための通達が大写しになり、職務命令及び処分の図式が紹介されます。つまり、指導、命令ばかりが強調されます。
 ところが、学習指導要領で、例えば小学校から国旗・国歌に対し尊重する態度を育てるよう配慮することとあることや、指導要領解説では、入学式や卒業式等、必要なときはどこでも国家を歌えるよう指導しておかなければならないとあることは、一切紹介されていません。つけ加えれば、高校においても入学式、卒業式では国旗を掲揚し、国歌を斉唱すると指導要領にはっきり書かれています。
 つまり、国旗の掲揚や国歌の斉唱、またそれらの尊重は、教育の指針である学習指導要領に定められたものであるという重要なことを、NHKの番組は紹介をしていないのです。
 さらに、教員への質問が流れます。ここでも職務命令に反発する教員の紹介が続きます。戦争と平和の歴史を教えているという教員は、これをしたら処分の対象となる、そういうことを考える自分が嫌じゃないですかと答え、それと無関係な生徒たちの爆笑する音声を効果的に入れて、こんなに人気のある先生が国旗・国歌に反対しているのだという印象を増幅させています。

○古賀俊昭(自民党)

 そこでお聞きしますが、平成十五年十月、入学式、卒業式等の学校式典における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施方法を定めた実施指針を出さなければならなかった教育現場の現状とはどういうものであったか、お答えください。

〇教育長(中村正彦)

 まず、教育現場の現状についてでございますが、都教育委員会は、平成元年度の学習指導要領改訂以降、入学式及び卒業式におきます国旗掲揚、国歌斉唱の指導について、毎年通知を発出するなどしまして、学習指導要領に基づき入学式、卒業式等を適正に実施するよう学校を指導してまいりました。その結果、全国的に見まして極めて低かった入学式、卒業式等の国旗・国歌の実施率は、平成十二年度卒業式からは、形式的には100%になりました。
 ただ、その内実では、国旗が参列者から確認できない位置に掲揚されたり、指導すべき立場の教員が国歌斉唱時に起立しなかったり、あるいは、その式典にふさわしくないTシャツや体育着、さらには国旗に斜線を入れたブラウスを着用して参列したりするなど、実に不適切な問題がありました。
 都教育委員会は、平成十五年十月二十三日に、こうした状況を改善し、入学式や卒業式などの儀式的な行事が適正に実施されるよう通達を発出し、実施指針を示したところでございます。

○古賀俊昭(自民党)

 稚拙としかいいようのない抵抗を繰り返してきた教育現場の荒廃を考えれば、一定の規律をつくり、各教員にその遵守を求める個別的職務命令の発出は不可欠なものであったのです。私のところに来た都立高校の現職校長からの情報によれば、個別的職務命令があるからこそ、やっと職員会議や式典が各学校で大きな混乱もなく実施できるようになった、そのような学校は全体の七割だといっています。つまり、さきの実施指針と個別的職務命令によって、やっと都立高校の秩序が保たれているとこの校長はいっています。
 そこで伺いますが、この実施指針、通達の趣旨をさらに周知徹底する必要があると思いますが、見解はいかがでしょうか。

〇教育長(中村正彦) 

 次に、実施指針、通達の趣旨の周知徹底についてでありますが、個別的職務命令は、教職員にみずからの職務を明確に認識させ、教育公務員としての使命と職責を自覚させることができるとともに、すべての学校が統一した対応をとったことによって、学校経営上困難な課題を抱える校長にとって大きな支援となりました。また、ご指摘のように、校長からは、将来的にも個別的職務命令書は出していくべきだ、教職員の意識はまだまだ変わっていないなどの声が寄せられております。
 都教育委員会としましては、なお学校経営の安定化への途上にあることから、今後、学校運営が改善され、卒業式、入学式等におきます国旗掲揚、国歌斉唱の適正化が図られるまで、引き続き個別的職務命令を発出するよう指導し、通達及び実施指針の趣旨を周知徹底してまいります。

○古賀俊昭(自民党)

 教職員組合は、この個別的職務命令をあいまいな包括的職務命令に変更するよう、あらゆる手段を尽くして都教委に働きかけています。私の調査によれば、驚くべきことに、それに迎合する勢力も都教委の一部にあると確認されています。実際、都立西高等学校、西高の前校長石川氏は、個別的職務命令を発出しなかった校長の一人ですが、この後任の柿添校長も、個別的職務命令を式典実施要綱に判をついただけ、それも欠席者には渡していないといったありさまで、実質的に職務命令を形骸化させています。さらに、都立新宿高校でも同様の事態が生じています。
 先ほど紹介した校長のように、学校秩序を必死になって守ろうとする管理職がいる一方で、残念ながらこうした敵前逃亡も一部にあるのです。とすると、職務命令を出す際の基準を都教委として示す必要があります。見解を求めます。

〇教育長(中村正彦)

 次に、職務命令を出す際の基準についてでございますが、これまでも都教育委員会では、学習指導要領や通達に基づきまして卒業式及び入学式等を適正に実施するために、全校全教職員に対しまして、包括的職務命令に加え、個別的職務命令を発出するよう校長を指導してまいりました。
 職務命令は、あくまでも校長の権限と責任に基づいて発出されるものでありますが、今後は、職務命令として必要な要件を参考として通知するとともに、校長連絡会等におきまして周知を図るなど、卒業式、入学式等の適正な実施に向けて校長を支援してまいります。なお、職務命令の発出に課題のある学校につきましては、個別に指導の徹底を図ってまいります。

○古賀俊昭(自民党)

 現在でも職員組合は、国旗・国歌問題でも、実施指針には生徒に歌わない自由があることを教えてはいけないとは書いてないからこれを活用しようと、機関紙で反撃のポイントを示しています。生徒の不起立を促すなど生徒の政治的利用をさせないための通知が平成十六年三月十一日に出ていますが、こうした現状から、改めて生徒への適正指導を通達として出すべきだと考えます。いかがでしょうか。

〇教育長(中村正彦)

 次に、改めて通達を出すことについてでありますが、これまでも都教育委員会は、生徒に不起立を促すなどの不適切な指導を行わないことや、式典の妨げとなるような行動に生徒を巻き込まないことなど、卒業式、入学式等の適正な実施について各学校を指導してまいりました。しかしながら、一部の学校ではありますが、国旗・国歌反対のビラを校内で配布した生徒に対して教員がインターネット上で支援を呼びかけたり、ほとんどの生徒が卒業式の会場に入場しなかったりするなど、不適正な事態がありました。
 今後とも、かかる事態が起こらないようにするため、校長が教職員に対しまして学習指導要領に基づいて適正に生徒を指導するよう、校長連絡会等において一層周知徹底してまいります。
 また、卒業式等において学級の生徒の多くが起立しないという事態が起こった場合には、その後、他の学校の卒業式等において同様の事態が発生するのを防止するため、生徒を適正に指導する旨の通達を速やかに発出いたします。

○古賀俊昭(自民党)

 また、懲戒処分を受けた教員も後を絶たず、平成十六年度で九十三名に達しています。中には、人権侵害事件を起こし、処分を何度も受けている女性教員もいますが、この教員も反省することなく、処分した都教委を犯罪教育委員会と呼び、研修を受けている研修センターを東京都人権侵害常習センターと呼んでいるありさまです。
 もちろん、教育の現状を憂えている管理職、教員も多数います。都教委は、法令を破る教職員を甘やかすのではなく、使命感にあふれる管理職、そして教員が濶達に教育に従事できる教育環境の整備と正常化に一層努めるべきです。こうかつな情報操作を行う特殊法人、NHK報道を含めて、石原知事並びに教育長の見解を伺います。

〇教育長(中村正彦)

 最後に、教育環境の整備についてでございますが、近年、教員の服務事故が後を絶たず、一部の者の行為とはいえ、教員全体に対する都民の信頼を損ないかねない結果となっていることはまことに遺憾であります。都教育委員会は、これまでも非違行為を行った教員につきまして厳正に対処してきたところであり、今後とも、服務規律の確保に向けて、事故者に対し毅然たる態度で対応してまいります。
 一方では、ご指摘のように学校運営の改善に意欲的な管理職や教員も多数いることから、今後は、学校経営支援センターによる支援を充実しますとともに、教員が校長の学校経営計画に基づきまして組織的に教育指導に取り組めるよう、学校運営の正常化に努めてまいります。
 なお、お話しのNHKの番組につきましては、こうした都教育委員会と学校との関係の実情とは異なりまして、教育委員会と学校現場の教員が対立しているかのような印象を与える番組としたことにつきましては極めて遺憾であり、ことしの四月六日、都教育委員会は日本放送協会に対して申し入れを行ったところであります。

〇石原知事

 古賀俊昭議員の一般質問にお答えいたします。
 教育環境の整備についてでありますが、教育公務員、教育公務員です、としてその職責を果たさない教員の責任を問うことは当然でありまして、厳正に対処している都教育委員会の方針は極めて妥当であると思います。今後とも、都教育委員会には毅然とした態度で学校教育の正常化に取り組んでもらいたいと思います。
 さらに加えて、新聞、テレビといった報道機関が、非常に巧妙な、モンタージュなども使いまして、都民に誤解を与えるような報道を、いわば手抜きとかあるいは偏向した形で行うということは、決してあってはならないと思っております。

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