17教学高第2336号
                         平成18年4月13日

都立学校長殿

東京都教育委員会教育長
中村正彦
(公印省略)

学校経営の適正化について(通知)

 学校経営の適正化については、職員会議の位置付けの明確化、管理運営規程の整備などを実施するとともに、通知等によっても趣旨の徹底を図ってきたところです。
 この間、都立高校改革推進計画の進展、特別支援教育推進計画の策定などにより、都民の都立学校への関心が高まり、各学校が提供する教育の質が問われてきています。
 各学校において、教育の質を高め、校長がめざす学校づくりを的確に推進していくためには、従来にも増して適正な学校経営に努め、都民に信頼される組織体制を整備していくことが不可欠です。
 今回、主幹制度の定着、学校経営支援センターの設置などの状況を踏まえ、学校経営上の留意点について改めて整理したので、この通知に基づき、企画調整会議、職員会議、委員会等の運営について、一層の適正化を図るようお願いします。
 なお、これに伴い、「学校運営の適正化について(通知)」(平成13年6月1日付13教学高第158「号)は廃止します。

1 企画調整会議を中心とした学校経営
 企画調整会議は、東京都立学校の管理運営に関する規則第12条の6及び都立学校管理運営規程(標準規程)第9の1により学校全体の業務に関する企画立案及び連絡調整を行う学校経営の中枢機関として位置づけられている。
 特に主幹制度が定着してきた現段階においては、主幹が中心となって、校務分掌組織での教職員の建設的な意見を十分に把握して、学校経営計画を踏まえ、管理職と学校経営の方向性を議論する重要な場となっている。
 企画調整会議がこのような機能を十分に果たすことが出来ない場合は、教職員の意見が学校経営に関する方針決定に反映されないことになり、結果として職員会議において挙手等により教職員の意向を確認せざるをえないことになる。
 企画調整会議の機能を活性化させ、教職員の経営参画を図り適正な学校経営を進めていくためには、次の(1)から(5)により改善を図ることが必要である。

(1) 企画調整会議を学校経営の中枢機関とし、単に職員会議の議題整理に終始することなく、各分掌や委員会での議論を踏まえた十分な議論を行う場とすること。
(2) 企画調整会議は、都立学校管理運営規程(標準規程)第9の3により、原則として週一回定例会を開催し、企画立案のために十分な議論の時間を確保すること。
(3) 企画調整会議の構成員は、東京都立学校の管理運営に関する規則第12条の6第3項及び都立学校管理運営規程(標準規程)第9の2により、校長、副校長、経営企画課長または経営企画室長(以下、「経営企画室(課)長」という)、主幹、各部主任、各学年主任、各学科主任及び経営企画室各係長とし、主幹以下の構成員については教職員の互選等によることなく、校長が選任すること。
(4) 企画調整会議の会議録を、教職員に配布するなど教職員が閲覧できるようにし、校内で情報の共有を図ること。また、各分掌の会議録を企画調整会議の資料とするとともに、企画調整会議の会議録とともに供覧して、情報の共有を図ること。
(5) 企画調整会議での資料とした各分掌の会議録を含めて、企画調整会議の会議録は、情報公開の対象となる文書である。そのため、保護者及び都民等が閲覧した際に、概要が把握できるように整備を図ること。なお、企画調整会議録の作成要領及び記載例(別紙11)を参考に、より適切な言己載方式を確立すること。

2 職員会議の適正な運営
 職員会議は、東京都立学校の管理運営に関する規則第121条の7及び都立学校管理運営規手程(標準規程)第10の1の規定により、校長の職務を補助するための機関として明確に位置づけており、その機能は、教職員に対する報告、意見聴取及び連絡に限定している。
 したがって、本来企画調整会議において議論されるべき学校経営に関わる事項を、企画調整会議で十分に議論せずに職員会議の場で議論し、教職員の意向を挙手等で確認するような学校運営は許されない。
 主幹を中心として分掌部会、委員会を活性化させ、教職員の意見を企画調整会議の場で反映させることにより、職員会議を中心とした学校運営から脱却することが不可欠であり、そのためには、次の(1)から(7)により、職員会議の運営を早急に改善する必要がある。

(1) 職員会議において、本来、校長の責任で決定する事項を不当に制約するような運営や議決により校長の意思決定権を拘束するといった運営は認められないこと。
(2) 校長が校務に関する決定等を行うに当たって、職員会議において所属職員等の意見を聞くことが必要な場合においても、「挙手」、「採決」等の方法を用いて職員の意向をはかることは、企画調整会議の機能を否定することになりかねないばかりでなく、校長が自らの責任で決すべき意思決定に少なからず影響を与え、同会議が実質的な議決機関となりかねない。このため、職員会議において「挙手」、「採決」等の方法を用いて職員の意向を確認するような運営は不適切であり、行わないこと。
(3) 職員会議で取り扱う報告、意見聴取及び連絡に関する事項は、すべて企画調整会議を経た上で、事前に資料を添付し副校長に提出すること。
(4) 職員会議の司会者及び記録者については、職員会議の適正な運営を確保するため、輪番等によることなく、適格な司会者及び記録者を校長が選任すること。なお、司会者に代えて議長を置いている学校、あるいは会議録に司会者を議長として記載している学校は、直ちに改めること。
 職員会議における校長の発言内容(伝達内容・判断・意見等)は、会議録に明確に記載すること。
(5) 記録者は、職員会議終了後、会議録を副校長及び経営企画室(課)長の確認を受けた後で、校長に提出し承認を受けること。
(6) 職員会議録は、情報公開の対象となる文書であり、保護者及び都民等が閲覧した際には、概要を把握できるように整備を図ること。なお、職員会議録の作成要領及び記載例(別紙2)を参考に、より適切な記載方法を確立されたい。
(7) 児童・生徒の成績、進路判定または卒業認定等については、教務部、学年、学部等を卓中心として検討を十分行った上で、企画調整会議で議論を行うか、または、管理職及び関係主幹に報告し指示を受けた後、職員会議、成績会議等で必要に応じて報告等を行うことが望ましく、その場合でも、「挙手」「採決」等の方法を用いて職員の意向を確認するような運営は不適切であり、行わないこと。

3 委員会の整備と適正な運営
 都立学校管理運営規程(標準規程)第7の7に規定する校務分掌組織の一部を形成する委員会は、校長が必要とする委員会に限定される。校務に関する分掌組織や校内人事等を検討する委員会等を設置したり、委員会等から分掌組織や校内人事案に関する調整をすることは許されない。翌年度の組織、校内人事等の検討に当たっては、人事考課制度に基づく面接等を通じて、校長が教職員の意向を適切に把握するとともに、主幹、主任からも意見を聴いて参考にするなど管理職が中心となって調整を図り、校長の責任と権限で委員等を任命すること。また、「委員会運営規定」において委員会の設置目的や校長、企画調整会議への報告方法等必要事項を明確に規定するとともに、毎年度見直しを図り、最新の校内規定を整備して、都民の閲覧等に努めるなど、次の(1)から(10)により改善を図る必要がある。

(1) 校務分掌組織の]部を形成する委員会については、校長が必要と判断するものに限り設置できる。人事案件等を扱う委員会を置いてはならない。
 また、学校の将来構想等の学校全体に関わる案件を扱う委員会については、目的や期間を明確にするとともに、教育系管理職を委員長として運営し、企画調整会議に必ず報告を行うこと。
(2) 恒常的な委員会については、原則として全て管理運営規程に登載すること。
ただし、経営企画室機能の一部と見なされる委員会(業者選定委員会等)については、この限りではない。
(3) 恒常的な委員会に関する「委員会運営規定」を策定し、設置目的、所掌事務、構成員、委員長の選任及び校長、企画調整会議への報告方法等の必要条項を定めること。
 なお、すでに校内規定等で、都立学校管理運営規程(標準規程)に反するような委員会を設けている場合は直ちにこれを廃し、新たに適正な委員会運営規定を設けること。また、委員会の設置について見直しを行う場合は、その都度委員会運営規定を改めること。
(4) 委員会所掌事務については、教務部、生活指導部などの分掌が本来担うべき事務と重複しないように、役割分担を明確にしておくこと。
(5) 委員会構成員の任命は校長専管事項である。公選方式は、法令に特段の定めがある場合を除き、校長の権限を侵害することになるので認められない。
 ただし、法令あるいは要綱等で設置規定が定められている委員会(安全衛生委員会、開放事業運営委員会等)については、この限りではない。
(6) 委員長については、委員の互選方式は行わないこと(法令に特段の定めのある場合を除く)。
(7) 委員会は校長の補助機関であるので、委員長は検討内容について校長に報告し、指示を受けるとともに、会議録を提出すること(校長が委員長である場合を除く)。また、委員会の検討結果は、企画調整会議で報告するとともに、必要に応じて職員会議に報告すること。
(8) 校長判断により臨時的あるいは緊急的な委員会を設置する場合は、管理運営規程の改正を要するものではない。この場合、上記の主旨を踏まえて、必ず文書による事案決定を行うこと。
(9) 委員会の会議録を、教職員が閲覧できるようにしたり、会議録を教職員に配布したりすることで供覧し、校内で情報の共有を図ること。
(10) 委員会の会議録は、情報公開の対象となる文書である。そのため、保護者及び都民等が概要を把握できるように整備を図ること。なお、委員会の会議録の作成要領及び記載例(別紙3)を参考に、より適切な記載方法を確立されたい。

4 その他校内規定の整備

(1) 管理運営規程(標準規程)第14の規定によるその他の校内規定とは、学校運営に関わる全ての校内規定を指している。したがって、校長は、校務分掌組織等に関する規定、学習指導に関する規定、生徒指導に関する規定等全ての校内規定について整備を図る必要がある。
(2) 校務分掌組織等に関する規定として整備を図るべき事項は、次のとおりである。
    1. 部、学年、学科及び経営企画室の所掌事務に関する規定
    2. 企画調整会議及び職員会議の組織及び運営に関する規定
    3. 委員会に関する規定
(3) 部については管理運営規程で所掌事務の概要を定めているが、具体的項目を明示する必要がある。また、学年及び学科については、同規程で所掌事務を定めていないため、明確化を図る必要がある。
(4) 企画調整会議及び職員会議については、その構成員、招集手続き、定例開催日、司会及び記録等を校長判断により定める必要がある。
(5) 委員会については、上記3により整備を図ること。

5 校内規定集の開示

(1) 管理運営規程(標準規程)第15の規定により、学校要覧に所収する管理運営規程に加え、その他の校内規定についても保護者及び都民等の閲覧に供することができるように整備することになっている。
 ここでいう、その他の校内規定とは、情報公開条例の規定に基づき非開示とされる規定を除いた全ての校内規定を指すものである。各都立学校にあっては、保護者及び都民等に対して管理運営規程上、閲覧に供するよう義務を負っているところである。
 なお、校内規定には、取り決め、基準、申し合わせ、方針等と呼称されているものであっても、校内規定たる性格を有するものは全て含まれるものである。
(2) 教務部関係の進級・卒業に関する規定及び生活指導部関係の特別指導に関する規定についても、規定そのものは開示文書と考えられるので、閲覧の対象となる。
 ただし、規定内容から見て、閲覧に供することは疑義があると校長が判断するものについては、事前に、東京都学校経営支援センターの学校経営支援室長に協議するものとする。
(3) 校内規定については、校内規定集として取りまとめ、学校要覧とともに保護者及び都民等の閲覧に供するため、経営企画室受付に配備するとともに、学校のホームページに掲載すること。
 なお、校内規定が学校要覧等に所収されている場合は、校内規定集に代えて学校要覧等をもって閲覧に供することも可能である。

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