私が入学式のPTA会長挨拶で、都教委の処分問題に触れ、「本校の生徒が将来に渡っても、内心の自由を傷つけられることがないよう心から願う」と発言した事への反発は予想以上だった。
以前から耳に入るあらゆるニュースに、漠然とした日本の右傾化に危機感を抱かされていた。そして今春3月30日、都立高校教職員大量処分という、信じ難いニュースが飛び込んできていた。
成りゆきからとはいえ会長になった以上、自分の出来る範囲で、教育現場の危機的な状況をほんの少しでも改善できれば、と思っていた中、まず新入生の保護者の方達に問題を提起しなければ、と思っての挨拶だった。
式後、校長からは注意を受け、保守系区議からは怒鳴られ、来賓の学校評議員には辞任を勧告されることになった。
もちろん、学校側からの反発は、ある程度予想も覚悟もしていたが、予想外だったのは、一緒に仕事をしていくはずだったPTA役員達からの猛反発だった。
こどもの内心の自由を尊重したつもりの話に、感謝こそあれ、頭ごなしに否定されることはないだろうとタカを括っていた。だが・・・。
「思想的に偏った印象を与えた」「不要な混乱を招いた」「おめでたい晴れの席にケチを付けた」「迷惑だ」「非常識」と決めつけられ、誰一人として私を擁護しようという役員はいなかった。それまで、わずか半月程だが一緒に仕事をしてきた「仲間」だと感じていた役員達との間に、決定的に亀裂が入った。この亀裂は何なのか。
私が抱いていた危機感は、単なる被害妄想なのか、例年通りに粛々と役員の仕事をこなして行けば良かったのか、物議をかもすような発言は控えるべきだったのか。むとう有子区議をはじめとする多くの方達の支援が得られるまで、自己譴責にさいなまれる日々が続いた。
多くの方達の励ましが得られた今では、ようやく自信を取りもどす事が出来、あの発言をして良かったと思っている。個性的な行動を取るものに対して理不尽な抑圧がまかり通っている今、私の辞任は私一人の問題ではなく、多くの方達へ影響力を持っている。一歩一歩無理せず進んで行きたい。(ジャズピアニスト)
ついにここまできた!
保護者への「日の丸・君が代」の強制
新聞報道により、中野区立桃園第二小学校のPTA会長が今春、入学式の挨拶で、「日の丸・君が代問題に触れ、辞職に追い込まれたことは既に多くの方がご存じかと思います。
私は当日、この入学式に招かれざる来賓として参列していました。我が子はこの小学校の卒業生であり、私はこの小学校のPTA会長をしておりました。私は、子どもも含めて、君が代斉唱時には着席をし、歌うことを拒否していました。区議会議員となった今も、地域の来賓として招待されても私の態度は変わっていません。
さて、花岡光明氏が桃二小の校長に赴任して初の入学式終了直後、私は校長室に呼ばれ「座ってましたね。皆が起立して歌う場面で、起立をして頂けないと式の進行の妨げになるので、協力して頂けないのなら来賓席はありません。誰を来賓としてお呼びするかは校長権限ですから」と言われました。その後、来賓としての案内状が届かなくなり、さらにこれまで届けられていた学校だよりも届かなくなりました。
その後の卒業式に招かれざる来賓として勝手に参加した時、花岡校長は険しい形相で、「今日は協力してくれるのですね」と念を押され私は「最大限努力します」と答え、最大限努力して?も立たないという孤独な闘いを3年間しています。そして迎えた今年の入学式で、これまで全く面識のない若いお父さんPTA会長が、君が代斉唱の際、着席され、良識と勇気ある発言をなさいました。
しかし、入学式から1週間後に校長権限で開催された、PTAとは別組織である学校評議員の会議において、校長が「辞任しますと簡単に一筆書いてくれ」と迫り、教頭が紙とペンを差し出し、辞任届けを書かせた上、署名捺印させました。
この学校では学校評議員の公募はなく、会議の公開もせず、会議録を作成していません。言わば密室で1人の PTA会長の人権をも傷つける方法で辞任に追い込む手法をとりました。本来の設置目的である地域に開かれた学校づくりを推進すべき理念とは全く逆の閉ざされた学校づくりに学校評議員の会議を、校長が利用したと言えます。場違いの学校評議員の会議の場で辞任届けを書かせてしまったことは組織権限を踏まえておらず、校長としての資質を疑います。
また、PTAの会員も自分たちが承認した会長が、自分たちの知らない場で辞任に追い込まれたことに抗議する保護者がいないことも問題です。戦後、教育の民主化のために創られたPTAの原点を今一度思い起こす必要があります。
かつて教育委員の準公選が実施され、「教育の中野」と称されていたのに、今では見る影もありません。
私は私に与えられた地方議会の場で、憲法十二条にあるように、自由及び権利を保持するために不断の努力をしなければならないとつくづく思う今日この頃です。