追跡検証!   原宿大規模留置場建設問題のまとめ (4月26日・02年
忙しいみなさんでも、パラッと見ただけで!、わかりやすい!、原宿大規模留置所問題について、まとめました。情報提供していただいた、黒保と金さん、佐藤さん、許可していただいたcomcomさんに感謝いたします。
(ペンネーム:巻きずし)



もし「平成」13年(2001)10月10日の日本経済新聞朝刊のあの報道がなかったら、、、??
その新聞の朝刊に「原宿駅近くに大規模留置場 東京都が計画 一等地利用、地元から疑問も」という5段組の記事が出ました。石原氏本人は、その記事に関し、「発表すべからず、まだ確定したわけでもない」と言っていましたが、地元の人からすれば、地元との誠意ある事前協議をもってという約束で東京都に渡したその土地に、勝手に利用変更され、大規模留置所の計画とは、まさに寝耳に水であったのです。



■何が不足なの???

石原氏    
  絶対数が不足している留置場の拡充は、治安維持の基礎となるものであり、早急な対策が求められております。民間の力を積極的に活用しながら、日本社会事業大学の跡地(原宿)に、オフィスビル、警察署などと一体的に、相当の規模の留置場を整備したいと考えております。 」
平成13年12月4日 第四回都議会定例会 知事所信表明より

詳細ソースはこちら(外部リンク)
 
   


Fact!
現在、不足されているのは、留置場(被疑者を留置する所)ではなく、拘留場(被疑者、被告人および死刑囚を拘禁する所)です。 そのため、留置所が、拘留所の代わり(代用監獄)に使われています。 にもかかわらず、石原氏はその事実を認めながらも、主張は変えません。

また、不足している拘留所に関しては、すでに、小菅にある東京拘置所が収容人数800人以上用に、改築工事中という事実があります。それでも石原氏は、原宿大規模留置所が必要だと、言い続けます。

(参考)渡辺康信氏(日本共産党)による批判
渡辺氏「 留置場が不足しているということについても、我が党の調査では、留置場に置かれている人の三分の二は、本来拘置所や入国管理所で対処すべき犯罪者が留置場にとめ置かれている、いわゆる代用監獄として使われているのであって、決して留置場が不足しているということではないのであります。また、拘置所についていえば、現在東京拘置所の建てかえが進められており、二〇〇四年三月の完成時には八百人以上も収容人数がふえることになっているのですから、東京都が代用監獄となる大規模な留置場を建設する必要がないということは明らかではありませんか。知事、これでも地域エゴだというんでしょうか。」
(平成13年第4回定例会12月11日)
●結論 原宿に留置所をつくらなければいけない、数値的、客観的根拠を明確に述べてください。

 

■建設場所に関する問題点について

石原氏    
  「(上の文の後半)民間の力を積極的に活用しながら、日本社会事業大学の跡地(原宿)に、オフィスビル、警察署などと一体的に、相当の規模の留置場を整備したいと考えております。 」
平成13年12月4日 第四回都議会定例会 知事所信表明より

 
   


Fact!
【環境的な問題】
建設が計画された旧社会事業大学跡地の一部(渋谷区神宮前1丁目4番)は、中学、幼稚園が近くにあり、600人もの大規模留置所としては好ましくありません。→詳細

【法的な問題】
そもそもこの土地は、平成7年、東京都側と、渋谷区(現地の住民)側によって、都市災害救助隊(約8000u)、災害対策初動要員宿舎約14000u(緑地保全約3000uを含む)、原宿警察署約3000uと3つの施設の利用計画案として、同意された上での、都が有した土地です。渋谷区とその住人との合意なしに、勝手に、大規模留置所などと、計画を変更するのは、合意違反です。

(参考)渡辺康信氏(日本共産党)による批判
渡辺氏「同時に、この計画が道理も根拠もないことも明らかです。その一つは、東京都と渋谷区との間には、用地の取得に当たって、都が利用計画策定に当たっては、渋谷区及び地元住民との事前協議に誠意を持って対応するという約束を公文書をもって取り交わしていたということであります。」
(平成13年第4回定例会12月11日)

参考(ほかにも、この土地には、東京都の管理団体の一つである財団法人東京都駐車場公社がコインパーキングが、利用計画に反して勝手に建てられた。)

●結論 勝手な土地利用計画変更は、渋谷区(住民側)との合意違反です。



■石原氏が、何度も、大規模留置場建設の理由根拠のひとつとする、都政モニターアンケートは信じられる?

石原氏    
  「世論調査や都政モニターアンケートを見ると、防犯対策の充実を求める声は、近年急激に高まっており、今や、良好な治安の回復は、都民にとって非常に切実な問題となっております。」「平成」13年第4回都議会定例会知事所信表明 平成13年12月4日

「先日の都政モニターアンケートの結果を見ても、モニターの実に96%、ほぼ全員が、東京の防犯や治安に対して不安を感じております。しかも、85%の方々が、収容数の不足している留置場について、拡充する必要があると考えております。」
「平成」14年第1回都議会定例会知事施策方針
 平成14年2月20日

「治安に関する都政モニターアンケートの結果についてでありますが、これはまさに安全神話が過去のものとなったということを突きつけたデータであると思いますし、知事であり、同時に都民の一人としても非常に強い衝撃を受けました。私が日々感じてきたことを、都民もまた同じ考えでとらえているということが確認されたわけで、これを真摯に受けとめて、積極的な対処をしなくてはならぬと思っております。」
「平成」14年第1回都議会定例会知事施策方針 平成14年2月20日 田中良氏(民主党)の質問に対して 


 
   


Fact!
「平成」13年(2001)12月11日に実施された都政モニターアンケート「防災対策について」は、実際のところどういうものでしょうか?
 

都政モニターアンケート「防災対策について」(→実物詳細、結果詳細はこちら)(外部リンク)
【問1】 ここ数年、都内の犯罪は増加傾向にあります。あなたはこうした状況を知っていましたか。(結果: 94.4% 知っていた)

【問2】 あなたは、最近の東京の防犯や治安の面について不安を感じていますか。
(結果: 64.0% 不安を感じる)

【問3】 各警察署には、犯罪容疑者をとどめておくための留置場が併設されています。一方、国の施設として被告人等を収容する拘置所や受刑者を収容する刑務所がありますが、あなたは、留置場、拘置所、刑務所のそれぞれの違いについて知っていましたか。(結果: 60.0% 知っていた)

【問4】 犯罪の増加等により、留置場など都内にあるこうした施設の収容定員の絶対数が不足しています。あなたはこうした状況を知っていましたか。
(結果: 57.6% 知っていた)

【問5】 各警察署には留置場が併設されていますが、「今後、警察署の建て替えを行う際には、留置定員を増やすため、留置場を拡充する必要がある」という意見があります。こうした意見に対し、あなたはどのように考えますか。
(結果: ・53.9% そう思う ・31.2% どちらかといえばそう思う )

 

(解説)
上記のように、不安の質問に始まり、突然、問4から、留置所の話になっています。(本当に不足されているのは拘留所で、その代わりに留置所が使われているという事実はどこにも書かれてていない。)

●結論 アンケートの問いの内容は、まるで、留置所建設のための、誘導的なものです。


 

都政モニターアンケート「防災対策について」(続き)
【問6】 防犯や治安対策についてご意見があればお書きください。

(結果:そのうち、留置所関連については、、 )

留置場の増設に賛成の声 10件
留置場の増設に反対ないし慎重な対応を求める声 11件
その他の声 12件

 

(解説)
上記の、問6自由意見のアンケート結果では、むしろ、 留置場の増設に反対ないし慎重な対応を求める声の方が、賛成より上回っているにもかかわらず、石原氏はそのことには、演説で、触れていない。また、このアンケート結果が一般公表される前に、石原氏はアンケート結果を根拠に、留置所建設を主張するので、それに対する 第三者による検証ができなかった。

●結論 やり方がフェアーではありません。結果には、ちゃんと慎重論があることも述べてください。


(参考)田中良氏(民主党) による批判
田中氏「発表されたアンケート結果では、治安に対する不安から、都民の八五%が留置場の拡充を求めていると結びつけていますが、設問が誘導的にあり過ぎるという点をさておいても、余りにも恣意的であります。このアンケート結果で最も刮目すべきは、防犯・治安対策について、交番の充実、パトロールの強化を求めるものが五十九件と最も多かったという点であります。都民が求めているのは、犯罪者への対策以前に、犯罪発生を抑止する対策の強化にあることは明らかです。」
(平成14年第1回定例会2月26日)



■別の根拠とされる世論、意識調査って?

石原氏    
  「都民は治安の悪化に非常に大きな危惧を抱いております。意識調査しましても、去年は10位に入らなかった治安に対する不安が3位にまで浮上してきております。」
「平成」13年第4回都議会定例会 12月11日 渡辺康信氏に対する返答の中で(外部リンク)
 
   


Fact!
内容に間違いがあります。また、都による意識調査は、何度もされていますが、どの調査結果でしょうか。


間違い:「去年(平成12年)は10位に入らなかった治安」 → 7位(8月)、8位(11月)

●「平成」12年8月16日 「東京と都政に対する関心」(8 東京 都が取り組むべき課題の部分より)
1位 「ごみ・産業廃棄物対策」36.4%、2位 「高齢者対策」28.2%、3位 「環境対策」27.2%、4位 「自動車交通対策」21.9%、5位 「学校教育の充実」20.7%、6位 「少子化・子ども対策」17.6%、7位 「防犯対策」16.6%、8位 「青少年健全育成の推進」14.7%、9位 「防災対策」12.7%、10位「物価・消費者対策」11.9%   
→詳細はこちら(ソース)
(外部リンク)

●「平成」12年11月14日「都民生活に関する世論調査」(5−5 都政への要望より)
1位「高齢者」45%、2位「医療・衛生」37%、3位「ごみ・産業廃棄物」25%、4位「環境」25%、5位「消費生活」16%、6位「学校生活」14%、7位「少子化・子ども」13%、8位「防犯」12%、9位「防災」12%、10位「自動車交通」12%  
→詳細はこちら(ソース)(外部リンク)

平成13年に関して、正確には、8月は確かに3位 だが、11月の調査では、4位となっている。

●「平成」13年8月16日 第2回都政モニターアンケート「東京と都政に対する関心」(8 東京 都が取り組むべき課題の部分より)
1位「環境対策」(36.4%)、2位「高齢者対策」(34.1%)、3位「防犯対策」(22.3%)、4位「廃棄物対策」(21.3%)、5位「防災対策」(20.2%)。
→詳細はこちら(ソース)(外部リンク)

●「平成」13年11月28日 「都民生活に関する世論調査」(5−7 都政への要望より) 
1位「高齢者」48%、2位「医療・衛生」40%、3位「環境」25%、4位「防犯」18%、5位「学校教育」16%、6位「自動車交通」14%、7位「消費者生活」14%、8位「少子化・子ども」13%、9位「廃棄物」12%、10位「防災」9%
→詳細はこちら(ソース)(外部リンク)


●結論 掲示されたデーターに間違いがあります。
また、
アンケートを都政にいかすなら昭和61年から何度も1位となった「高齢者」についての対策をとるべきではないですか?



■地元住民との話し合いについて

石原氏    
  「警察署の建て替えに合わせて都内各地で留置場を拡充、整備していく必要がある。」
「今回の原宿署の建て替えもその一つとして考えている。」
「まだ正式な発表もしていないのに、誰が何を言ったか知らんけど、疑心暗鬼で反対だ反対だって今から言うのは、僕はナンセンスだと思う。」
(「平成」13年  11月2日 定例記者会見)
 
   


Fact!
渋谷区(住民)との土地に関する利用計画を、勝手に変更することの方が疑心を招いているのです。心配するのは当然です。

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