イラク派兵差止等請求事件 訴状ひな形

提訴者一人一人に
事務局と弁護士が一人ずつサポーターとしてつきます。
ぜひご相談下さい。

  1. 題名
  2. 代理人
  3. 原告
  4. 被告
  5. 請求の趣旨
  6. 請求の原因
     当事者:原告
         被告
     国際法、憲法、イラク特措法に反する自衛隊の活動
     思考を停止させる「日米同盟」
     法的救済を求める原告の権利・・・被告法益
     司法の独立・・・現実から目をそらさず、違憲立法審査権の発動を望む
  7. 附属書類
訴     状

○○○○

東京地方裁判所 御 中

下記の「代理人」は、「本人訴訟」の場合はいりません。
また、東京以外の裁判所に提訴する場合、
地元の弁護士のサポートが必要です。
ご相談下さい。
原告訴訟代理人
弁護士  内 田 雅 敏
同    内 藤   隆
同    一 瀬 敬一郎
同     佃  克 彦
同    福 山 洋 子
同    大 山 勇 一
下記の「送達場所」も、原告部分は「本人訴訟」の場合は
本人の住所になります。
原 告  ○○○○○○

〔送達場所〕
〒160-0008 東京都新宿区三栄町8番地 三栄ビル3階
        四谷総合法律事務所

  原告訴訟代理人原告訴訟代理人
    弁護士  内 田 雅 敏
    同    内 藤   隆
    同    一 瀬 敬一郎
    同     佃  克 彦
    同    福 山 洋 子
    同    大 山 勇 一

〒100-8977  東京都千代田区霞が関1丁目1番1号(中央合同庁舎6号館)
       被  告    国
       上記代表者法務大臣  野 沢 太 三
以下の請求内容の部分は、訴訟のタイプによって3種類に分かれます。
選んでください。
(トップページの呼びかけ文をご覧下さい)
赤い数字は、2004年4月からの改訂額です。
※慰謝料は、請求額10万円までは訴訟手数料が同じ1,000円です。
A型
違憲確認と派兵差し止めと慰謝料請求
訴訟手数料 
14,000円
 違憲行為差止及び損害賠償請求事件
 訴訟物の価額 金1,610,000円
 貼用印紙額  金14,000円 

請求の趣旨

  1. 被告は「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」により自衛隊をイラクおよびその周辺地域並びに周辺海域に派遣してはならない。
  2. 被告が「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」により、自衛隊をイラク及びその周辺地域に派遣したことは、違憲であることを確認する。
  3. 被告は原告に対し金1万円及び本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  4. 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに第3項につき仮執行の宣言を求める。

B型
派兵差し止めと慰謝料請求
訴訟手数料 
14,000円
 違憲行為差止及び損害賠償請求事件
 訴訟物の価額 金1,610,000円
 貼用印紙額  金14,000円 

請求の趣旨

  1. 被告は「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」により自衛隊をイラクおよびその周辺地域並びに周辺海域に派遣してはならない。
  2. 被告は原告に対し金1万円及び本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  3. 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに第2項につき仮執行の宣言を求める。

C型
慰謝料請求のみ
訴訟手数料 1,000円
 違憲行為差止及び損害賠償請求事件
 訴訟物の価額 金10,000円
 貼用印紙額  金1,000円

請求の趣旨

  1. 被告は原告に対し金1万円及び本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2. 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに第2項につき仮執行の宣言を求める。

下記は、提訴する原告本人の事を書きます。
請求の原因

第1 当事者

  1. 原 告 
    ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○・・・・・・・・・
次は、被告である国についてです。
ほかに、自分で書ける方は独自に書いてけっこうです。
  •   2.被 告
  • (1)被告は、2003年7月26日、第156回国会において「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」を成立させ、8月1日公布、施行した(以下「イラク特措法」という)。
     同法は、2003年3月20日に始まる米英の武力行使によるフセイン政権崩壊の後、国際連合安全保障理事会決議第1483号を踏まえて、自衛隊を中心に人道復興支援活動及び安全確保支援活動を行い、「イラク国家の再建を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資する」ことを目的とする、4年間の時限立法である。

    (2)政府は、同年12月8日、「イラク特措法に基づく対応措置に関する基本計画」(以下「基本計画」という)を閣議決定した。

    (3)12月18日、防衛庁は、「イラク特措法における実施要領」(以下「実施要領」という)を策定した。

    (4)同月19日、防衛庁長官は、航空自衛隊に準備命令・同先遣隊に派遣命令を発し、陸上自衛隊及び海上自衛隊に準備命令を発した。
     上記命令に基づき、航空自衛隊先遣隊がクウェート、カタールに派遣された。

    (5)2004年1月9日、防衛庁長官は、航空自衛隊輸送部隊及び陸上自衛隊先遣隊に派遣命令を発した。

    (6)同年1月26日、防衛庁長官は、陸上自衛隊本隊、海上自衛隊に派遣命令を発した。

    (7)同年2月9日、防衛庁長官命を受けて、陸上自衛隊の本隊、先発隊約80人中の約60人がイラク南部サマワに到着。

    (8)同年2月20日、防衛庁長官命を受けて、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」、護衛艦「むらさめ」がイラクに向けて出航した。

    (9)同年2月21日、防衛庁長官命を受けて、陸上自衛隊本隊、主力部隊第1陣約140人がクウェートに向けて出発した。
     同隊は同国内の米軍キャンプにて訓練を受けた後、イラク南部サマワに入った。
    第2 国際法、憲法、イラク特措法に反する自衛隊の活動
    1. 国連憲章、国際法に違反する米軍の行動
       被告がさせている上記陸・海・空の自衛隊の活動は、2003年3月20日、米国が国連安保理での決議を経ることなしに(得られなかった)イラクに対してなした先制攻撃に起因するものである。同年10月17日ブッシュ米大統領が来日した。イラク問題をめぐって人員的・財政的に苦境に陥っている米国が各国に対して人員(兵隊)の派遣と、占領費用の分担を求めての“集金旅行”だ。小泉首相は1年間で15億ドル(約1650億円)、2007年までに55億ドルを分担することを約束し、2003年内には陸上自衛隊をイラクに派遣することを約束した。

       イラクに対する米国の攻撃は、イラクによる米国に対する武力攻撃或いはその差し迫った危険のない状態で先制攻撃(予防攻撃)となされたものであり、自衛のためとは到底言えず、国連憲章第51条に違反するものである。

       先制攻撃としての米国のイラクに対する攻撃は、国際社会が1928年パリ不戦条約以降、営々として積み重ねて来た戦争の違法化の試みを粉々に打ち砕くものである。

       自衛隊のイラク派兵は当然のこととして日本国内の治安体制の強化となる。現にアルカイダの報復及びそれへの対処が云々され始めた。2004年2月27日、「立川自衛隊監視テント村」のメンバー男女3人が立川市内の自衛隊官舎の郵便受けにイラク派兵反対を訴えるチラシを入れたとして住居侵入の容疑で令状逮捕された。

       「テロとの戦い」とはすべての議論を封ずるオールマイティの力を有するようだ。「テロリスト」に対しては刑事手続裁判も不要、戦時法規の適用も不要、しかも「テロリスト」は姿を隠していて、どこにいるかも分からない----どこにでもいる----から個別的自衛権も集団的自衛権も関係ないというわけだ。そして「テロリスト」との戦いは相手との交渉はなく、殲滅するまで続くから、何時終わるかはわからない。アフガニスタンの次はイラク、北朝鮮、イラン、シリア等々終りはない。「『「テロリスト」との戦争』とは実は、『敵』を明示せず市民社会を不断の臨戦体制あるいは非常事態に置くための空前の発明なのである」(『テロとの戦争』とは何か----9・11以後の世界!」西谷修・以文社)。貧困、富の配分の不公正というテロの根源に迫ることなく軍事的な対症療法に終始する限り、そしてたび重なる国連決議を無視し、パレスチナの地を占領・支配しているイスラエルに対する無策に見られるようなダブルスタンダードをとっている限り、米国が第2、第3の同時多発テロの恐怖から免れることはできない。米国の「イスラエル」化だ。

       米国に追随する日本も攻撃の対象から免れない。

       「日米同盟」という呪文によって立憲主義を破壊し、米国のイラク空爆を支え、イラク民衆の殺戮に加担した日本は、さらにブッシュの求めに応じて陸上自衛隊をイラクに派遣し、東洋の「英国」になろうとしている。


    2. 憲法違反、自衛隊法にすら違反する行為
       被告がさせている上記陸・海・空の自衛隊の活動は、後に詳述するように、「われらは全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」と憲法前文に規定された「平和的生存権」に反し、武力の不保持、交戦権の否認の規定し、そして従来の政府見解によってすら「集団的自衛権」の行使を認めていない憲法第9条に違反するものである。のみならず、「自衛隊はわが国の独立と平和を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし」と自衛隊の存在目的を規定した自衛隊法第3条1項にも違反するものである。


    3. イラク特措法にさえも違反する自衛隊の活動
       被告はイラク特措法は、自衛隊の活動地域を「非戦闘地域」に限っているので憲法に抵触しないと主張する。この見解が到底容認できないものであることはすでに述べたとおりであるが、今、この点は措くとして被告のいう「非戦闘地域」に限って論じてみる。

       米兵らに対する攻撃が止まないイラクの状況----「イラクのどこが戦闘地域かどうかなどわかるわけがない」「自衛隊員でも襲われたら殺される可能性があるかもしれない。相手を殺す場合もないとは言えない」(小泉首相)-----からすれば、やがて派遣された自衛隊員中に死傷者が出ること、あるいは逆に自衛隊員の発砲による死傷者が出ることはほとんど不可避であろう。

       被告の最高責任者である首相が「戦闘地域」、「非戦闘地域」の区別は意味がないと公言しているのである。ところでこの「非戦闘地域」の定義については、周辺事態法のときの「後方地域支援」という造語の「手品」があったと同じように、言葉の「手品」がほどこされている。

       イラク特措法第2条は、「戦闘地域」とは「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」場所であるとしている。そして「戦闘行為」とは「国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し、又は物を破壊する行為」としている。ところがこの「国際的な武力紛争」の解決として、被告は「国または国に準ずる組織の間において生ずる、一国の国内問題にとどまらない武力を用いた争い」と答弁している。ここに言葉の「手品」がある。

       つまりイラクのサマワで活動する自衛隊に対する武力攻撃があり、自衛隊がこれに応戦しても、その攻撃が国もしくはそれに準ずる組織のものでないとされれば、イラク特措法にいう「戦闘行為」でなく、「戦闘地域」でなくなってしまい、「ゲリラ」の攻撃などいかようにも解釈できることになってしまうのだ。「イラクのどこが戦闘地域かどうかなどわかるわけがない」という小泉首相の答弁は、いかなる事態が生じようともイラク特措法の「解釈」によっていかようにも合法性を主張できるという考え方に立っているものである。

    4. 憲法第9条と自衛隊の関係
       前述したように、憲法第9条「戦争の放棄」は、国家の交戦権の否認と戦力の不保持を宣言している。

       しかるに、1950年6月朝鮮戦争を契機として連合国軍総司令官マッカーサーの司令により、警察予備隊が設立されて以降、その後の名称変更を経て年々自衛隊はその装備、人員を拡大し、今では世界第3位とも言われるほどの軍事力を有する名実ともに軍隊となった。

       朝鮮戦争を契機としてマッカーサー指令によって自衛隊の前身である警察予備隊が設立されて以来、戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を宣言した憲法第9条との整合性について歴代政府は、
      1. 警察予備隊であって軍隊ではない。
      2. 近代戦争を遂行する能力を有していないから憲法が禁ずる戦力にあたらない。
      3. 必要最小限度の実力組織であり憲法上許される。
      4. 専守防衛、すなわち国内においてのみ活動し海外に派兵しないから憲法違反でない。
      5. 国連決議の下に海外に出ていくのであるから憲法違反ではない。
      等々、その場限りの説明を繰り返してきた。

       そして、今「日米同盟」。後述するようにこの語句にはすべての思考を停止させる効用があるらしい。

       ところで現実の自衛隊の活動と憲法第9条との関係についての歴代政府の、その場限りの説明をもってしても、どうしても越えられない壁があった。集団的自衛権の壁である。日本の防衛に直接関係のない事態に対し、自衛隊が出動することは憲法第9条をどのように拡大「解釈」しようともかなわぬことであった。前述したように自衛隊法第3条が自衛隊の目的について「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略および間接侵略に対し、わが国を防衛することを主たる任務とし」と規定しているとおりである。

       ところが1999年夏、成立した周辺事態法は、日本に対する攻撃がない場合でも「後方地域支援」の名のもとに日本が米軍の支援活動を認めることができるとし、集団的自衛権の行使を認めないとしてきた歴代の政府解釈の壁をいとも簡単に乗り越えてしまった。もはや憲法の空洞化でなく破壊である。

       そして米国同時多発テロを契機として成立させられたテロ対策特措法は “周辺事態”という制約すらかなぐり捨て、米国が「テロとの戦争」を行う場合には、武器弾薬の提供以外なら、世界中どこでも、いかなる「後方支援」も可能であるとした。もっともこの「後方支援」は戦闘区域では許されないと説明されたが、ミサイル発射中の米軍艦に給油等の「後方支援」をしても、ミサイルが敵に到達しない間は戦闘区域とは見なされないから、許されるなどという内閣法制局長官の珍答弁-----後日になって彼は、あれは恥ずかしい答弁であったと述懐した-----も出る始末であった。
       その後もインド洋、アラビア海に派遣中の海上自衛隊の補給艦がイラク攻撃に向う米空母キティーホークに間接的に燃料補給をなしたとの事実も明らかにされている。

       深刻なことは、このような憲法の根幹を揺るがすような法案がまともな憲法議論もなされないままに「日米同盟」なる呪縛の下に全ての思考が停止され、「常識」(小泉首相)と、没論理で議会の多数派によって簡単に成立させられていることである。そして2003年5月、また有事法制3法案がこれまた小泉首相の「備えあれば憂いなし」という没論理で成立させられた。

       「備えあれば憂いなし」というのは、本来自然災害に対しての文言であり、それを軍事に対して使うところに物事の混乱がある。日本に対して一体、どこの国が侵略して来るというのか。

       民主主義とは多数決とイコールではなく、まず議論をすることであり、相手の見解に耳を傾けることだということが忘れられ、与党と野党第一党とのすり合わせという「国対政治」でこの国の今後の方向性が決まってしまうというのは誠に恐ろしい。

       「何でも賛成する人びと」と「何でも反対する人びと」を抱えた寄り合い所帯〔某幹部談〕の民主党は、まずはじめに有事法制に賛成ありきで、あとはいかに党の分裂を回避しながら法案に賛成するかということにしか関心はなかった。

      5.自衛隊は何処で誰と一緒に何をしてきたか

    1.  1950年朝鮮戦争を契機にマッカーサー指令によって創設された自衛隊(警察予備隊)の規模、そして活動の変化については、すでに述べてきたとおりである。

       法案的にみれば1999年の周辺事態法が曲がり角であることもすでに述べた。これを自衛隊の具体的な活動として見れば、2001年秋、米国同時多発テロを契機として成立させられたテロ対策特措法によるインド洋における海上自衛隊の米英軍等に対する給油活動、あるいはイージス艦による情報処理等の活動である。同法に基づく海上自衛隊艦による米英軍などの艦船への給油は、2001年12月2日から2003年9月8日までの時点で291回、合計で約32万キロリットル(約120億円分)を洋上で無償給油している。この間に米海軍が消費した燃料の約4割は、日本が提供したものだという。

       また海上自衛隊の艦船は2003年9月までに計21隻(延べ25隻)が派遣され、これを人員的に見るならば、約4250人の派遣となっている。その後も補給艦は「はまな」、イージス艦は「こんごう」、護衛艦は「ありあけ」の3隻、約600人が活動中した。

       2003年3月までで海上自衛隊の活動経費の総額は、229億円になっている。政府は時限立法であるテロ対策特措法を再々延長した。

       もちろんその理由は米軍からの要請によるものである。2003年2月25日海上自衛隊の補給艦「ときわ」がオマーン湾で米軍の補給艦に燃料約83万リットルを洋上給油した。その数時間後、件の米補給艦は米空母キティホークに給油した。この空母キティホークが、イラク攻撃に使用された。

       このように海上自衛隊のインド洋での活動は、米軍の戦闘行動と一体なものとなっている。

       2001年9月4日付朝日新聞朝刊によれば、すでに1984年の「日米シーレーン防衛共同訓練」で、海上自衛隊の護衛艦、P3C対潜哨戒機が米空母機動部隊の一部を構成し、空母護衛の役割を担ったという。そして米軍によるアフガン空爆が始まると、海上自衛隊の艦船がインド洋で作戦行動中の米軍に対して給油等の後方支援をした。日米が共同して具体的に軍事行動を行ったのだ。まさに米軍支援のための海上自衛隊である。

       米軍がアフガニスタン、イラク攻撃の際に新型核兵器ともいうべき劣化ウラン弾を使用し、空爆による被害はもちろんのこと、その後も人体に深刻な害を与え続けていることはNGO団体などの様々な活動によって報告されているとおりである。

       そのイラクに、日本政府は前述したように、2003年7月26日自衛隊を派遣する特別立法、イラク特措法を成立させ、自衛隊を派遣した。

       米国からの要請があればすべて従うというのが被告の安全保障政策であると言わざるをえない。
    第3.思考を停止させる「日米同盟」
     国の基本法である憲法を超え、かつまた国連憲章をも超え、問答無用とばかりにすべての議論を封殺する「日米同盟」とは一体何であろうか。

     日米安保条約は日本が独立を回復したサンフランシスコ講和条約とセットで結ばれ、同講和条約発効後も占領軍としての米軍が「在日米軍」と名を変えて引続き、日本(本土)の占領状態を継続するための法、いわば「占領継続法」としての性質を有するものである。戦後の日本は法体系的には戦争を放棄した憲法と米軍と共同して戦争を行う日米安保体制という二つの相容れない法体系の奇妙な同居があり、後者による前者の空洞化の歴史であった。「日米同盟」の「呪縛」は、この出自に由来するところが大きい。

     日米安保条約はその前文において、「日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、・・両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、・・」と述べ、国連憲章の定めるところに従い、民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配の擁護、「国際紛争を平和的手段によって」解決(同第一条)することを高らかに嘔っている。ところが、近年世界唯一の超大国となった米国には、地球温暖化防止のための京都議定書からの離脱、オランダハーグに設立された国際刑事裁判所(ICC)への不参加など国際協調、国連憲章、法の支配を軽視する傾向が見られる。とりわけ、ブッシュ大統領になってからその傾向が顕著だ。同大統領の論理は、@先制攻撃、A単独行動主義(ユニラテリズム)の二つに集約される。「殺られる前に殺れ!」という、無法時代への回帰であり、国連すなわち国際協調主義の否定である。しかもブッシュ大統領のいう「先制攻撃」は、米国に対するさし迫った侵害「急迫不正な侵害」がない場合にも行うというのであるから、それは言葉の正しい意味での「先制攻撃」でなく、正しくは「予防攻撃」と呼ぶべきものである。

     そして「自由が失われたという連中はテロリストの味方だ」(アシュクロフト米司法長官)という発言に見られるように「敵か味方か」という言語の一元化が急速に進められている。米国に対する無批判な従属でなく、言葉の正しい意味における「同盟」つまり対等な関係であるならば、ブッシュ大統領の行っている無法行為について、その非をさとし、その中止を求めるべきである。イラク攻撃をなしたブッシュ大統領に対して、異を唱え「査察」の継続を主張した仏、独もまた米国とは「同盟」という強い絆で結ばれていることを理解すべきである。

     「日本には日米安保条約がある。イラク問題では、米国に協力して『貸し』を作り、北朝鮮危機の時に『貸し』を米国から返してもらえばいい」(佐々淳行元内閣安全保障室長・2003・2・28・毎日新聞朝刊)

     あるいは、「しょうがないんじゃないの、日本は米国の何番目かの州みたいなものだから」(久間章生元防衛庁長官・2・14・朝日新聞朝刊)等々と述べ、米国のイラク攻撃を支持すべきだとする主張があった。小泉首相も基本的には同じであった。これらの主張は「同盟の本質」を理解せず、敗戦コンプレックスから抜け出せない「自虐的国家観」に基づいたものであり、あまりにもなさけない。「経済協力」を武器に国連安保理のメンバーである途上国に対して米国を支持するよう圧力をかけた日本の外務省は醜悪であり、まさに米国務省の日本出張所である。

     ことは恥ずかしさだけの問題ではない。日本の「国益」に関することでもある。ブッシュ大統領による国際法、国連憲章無視のイラクに対する武力攻撃は、日本と北朝鮮との間にも重大な影響を与えることになる。当然のこととして北朝鮮の金正日政権は、<イラクの次は自分達だ>と考えるであろう。

     北朝鮮外務省は2003年4月6日、「国際世論も国連憲章もイラク攻撃を防げなかった。強力な軍事的な抑止力を備えてこそ、戦争を防ぎ、国と民族の安全を守れるというのがイラクの戦争の教訓だ」と声明し、さらに6月18日付労働新聞は「われわれにも核抑止力を備える権利がある」などと「核抑止力」を公言している(東京新聞・2003年8月28日付) 。

     米国が北朝鮮に対して「先制攻撃」を行う場合、日本が米国に無批判に追随することは、すでに実証済みである。北朝鮮はどうするか。「核開発」による防衛の強化と日本に対する不信感の増幅であろう。その結果、日朝間はますます遠のき、北東アジアの緊張は高まることになる。行き着く先は、有事法制、日本の防衛力の強化であり、核武装すら公然と主張されるようになるかもしれない。「我々の選択肢は米国かイラクである」(内閣参与・岡本行夫)というように米国追随は日本の「国益」のためやむなしとする論が盛んだが、真実はむしろ逆であることを理解するべきである。

     「日米の関係」は軍事的なものだけでなく、経済・文化と多岐にわたるものであり、また一政権・・・「ブッシュとの同盟」・・・との間のものでもなく、その国を構成する民衆との間のものでなくてはならない。
    下記は、慰謝料請求の部分です。
    原告本人のこの裁判で訴えたい被害を書きます。
    この文章を基にする場合は○○○の部分に本人の事を書きます。
    全部自分で書ける方は独自に書いてけっこうです。
    第4 法的救済を求める原告の権利・・・被害法益
     原告は(本人訴訟の場合は「私は」)被告に対して「イラク特措法」によるイラク及びその周辺地域並びに周辺海域における自衛隊の活動の差止めを求め、かつ精神的苦痛としての慰藉料の支払いを求めるものである。

     イラク特措法による自衛隊のイラクに対する派遣が違憲、違法なものであることはすでに述べたとおりである。

     原告は
    (本人訴訟の場合は「私は」)前述したように、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○・・・・者であるが、その根底には日本国憲法、とりわけ、「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」とした憲法前文の「平和的生存権」、戦争を放棄した同法9条、幸福追求の権利を保障した同法第13条があった。

     被告による違憲、違法な自衛隊のイラク派遣は、上記憲法の前文、各条文に違反するものであり、原告としては
    (本人訴訟の場合は「私としては」)、大いなる精神的苦痛を感ずるものであり、これを金銭的に換算すれば金1万円を下らない。

     被告は云う、「自衛隊はイラクに戦争に行くのではない。復興支援に行くのだ」と、しかし、それならばその装備と能力を持った専門家集団を派遣すればいい。既に活動しているNGOを支援すればいい。何故武装集団である自衛隊を派遣するのか。イラクに対する自衛隊の派遣、米軍による占領政策に対する協力、占領行政への財政的支援、これらに対し原告
    (本人訴訟の場合は「私は」)はその差止めを求め、かつ慰藉料の支払いを求め、裁判所に対し法的救済を求める権利を有するものである。
    A型の違憲確認を求める提訴の場合は下の部分が必須です。
    もちろん、自分で書ける方は独自に書いてけっこうです。
    第5 司法の独立・・・現実から目をそらさず、違憲立法審査権の発動を望む
     憲法第81条は裁判所に「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する」と、いわゆる違憲立法審査権を認めている。

     しかし違憲立法審査権の行使については、裁判所は従来より謙抑的であり、とりわけ憲法第9条に関する事項については、1959年12月16日最高裁判所が砂川事件判決において、日米安保条約について、「我が国の存立の基礎に極めて重要な関係をもつ高度の政治性を有するものであり」それが「違憲なりや否やの法的判断は、純司法的機能を使命とする司法裁判所の審査には原則としてなじまず、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは裁判所の司法審査の範囲外のもの」と、いわゆる「統治行為論」を述べて判断を回避して以降、その傾向が顕著となった。
     「統治行為論」に基づく違憲立法審査権の行使に消極的な見解の根拠として、三権分立、選挙権の行使としての間接的な議会制民主主義の制度が挙げられる。確かに国民の選挙権の行使を通して選出された議員によって構成される議会において制定された立法が、国民の選挙による洗礼を受けていない裁判官によって簡単に否定されるというのは、不都合だとする見解にも一理ないわけではない。しかし、立憲主義の下では議会といえども万能の力を有するものでない。すなわち多数決原理によっても超えることのできない基本法(憲法)の制約というものがある。

     この基本法の制約を、その制約自体を改変することをせずに立法という手段で乗り越えることは許されない。それは法律という下位法によって基本法を変更しようとする法の下剋上であって許されないものである。多数決原理によってこれを強行するならば、それは議会の多数派による立憲主義否定のクーデターを意味する。

     もしそのような事態が発生したならば裁判所はもはや、「統治的行為論」によって違憲立法審査権の行使を躊躇してはならない。このような事態になってもなお裁判所が違憲立法審査権の行使を躊躇するならば、憲法第81条が規定する「憲法の番人」としての役割を放棄したことになる。

     すでに前記最高裁砂川判決から40余年、約半世紀近くが経過しようとしている。日本をめぐる国際情勢も大きく変化した。1989年には冷戦も終結した。冷戦構造の真っ只中にあった1959年当時はともかくとして、現在において日米安保条約が「我が国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度の政治性を有するもの」ではないことは明らかである。

     また日米安保条約と極めて密接な関係を有する自衛隊の装備の拡充、そしてその活動、とりわけ米軍との共同行動は前記最高裁判決当時と比べて格段の違いを有するものであることは「一見極めて明白」である。

     前述したように、自衛隊の前身である警察予備隊が設立されて以来、憲法第9条との整合性について政府は、その場限りの説明をくり返してきた。

     そして違憲立法審査権の行使に謙抑的な裁判所はこれを見逃し、放置してきた。裁判所のこのような消極的な姿勢が、この国における法に対する信頼をいかに損なってきたかを考える必要がある。イラク特措法による自衛隊のイラクへの派遣は、単に「政策」の問題であるだけでなく、すぐれて憲法的・法的問題であり、裁判所の職掌に属する。もはや裁判所は判断を回避してはならない。

     よって、原告は主権の行使の一環として裁判所に対し、憲法第81条の違憲立法審査権の発動を求め、請求の趣旨記載どおりの判決を求め提訴する次第である。
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    附属書類
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