| 1.NGOの思い |
- 昨年4月のイラクでの日本人人質事件で人質となった高遠菜穂子さんのホームページから、以下引用する。
- ラマディ、ファルージャの病院でボランティア活動をしながら拾った声
彼女が訪れた病院の産婦人科外科部長:「自衛隊が来て、物資の輸送や水や食糧の供給をすれば、われわれが得るはずの仕事がなくなる。この国は貧困で困っているわけでも人手が足りないわけでもないのだ。とても裕福な国だけれど、今する仕事がないのだ。我々は我々の手で、立て直すことができるのだ。また、アメリカの要請で来るべきではない。イラク政府の要請で来るならわかる。」
病院付近の住人:「日本の自衛隊は来るべきではない。まず、これはアメリカによる罠である。なぜなら、日本人がアーミールックでいるならば米軍といっしょとみなすであろう。物資の輸送や水の供給は日本人がやるべきことではない。我々は自分たちでやるべきなのだ。我々は今、仕事が必要なのだ。おれたちの仕事をとるようなことになる。」
- 高遠さんの話「自衛隊派遣。湾岸戦争の時のように言われたくないから、顔の見える人道援助をしようと躍起になるのもわかりますが、『援助』とは『相手が望んでいることをする』のが鉄則です。今、日本がやろうとしている『援助』は、まさに、自己満足の世界、マスターベーション以外の何物でもありません。しかも、番長のアメリカに『公衆の前でそれをやれ!』と言われている状態。」「声を大にして言います!イラク人は自衛隊派遣などこれっぽっちも望んでいません。日本の企業に来てほしいのです!雇ってほしいのです。自衛隊は『援助』のつもりでも、それはイラク人から仕事を奪うという、絶対にやってはならないことをすることになるのです!」「私は決してイラク人の肩を持っているわけではありません。私は人殺しが嫌なので、イラク人のやり方にも反対です。イラク人はなかなか非暴力の強さを理解してくれませんが、それでも『日本がなぜ戦いをせずに暮らしていけるのか』ということには興味を持っています。なのに、今回軍服の日本人が来るということを知って不思議に思っています。日本人にできることは、イラクですべきことは、【1】非戦の重要さを伝える【2】被爆者救済(劣化ウラン弾による被爆)【3】日本企業の誘致来るなら、軍服でなくYシャツもしくは作業着で、腰には銃でなく工具を。アメリカのためではなく、イラクのために。」「小泉さんは、自衛隊は軍隊とはっきり言いましたが、軍隊に人道支援は残念ながら出来ません。」「サマワの人たちは、モノスゴイ勘違いをしています。
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- 以上の引用は、時期的には自衛隊派遣の前になるが、派遣されて1年半が経とうとしている今現在、彼女の語っていることは、いよいよ的を射ている。
彼女の著書「愛しているって、どう言うの?」(文芸社)では、インド、タイ、ネパール、カンボジアなどのいわゆる発展後進国と言われる国々での彼女のボランティア活動が語られている。彼女のあまりにも純粋な“愛”に裏打ちされたボランティア活動の様子は、理屈を超えて、感動せざるをえない。彼女こそ、真の人道支援実践者である。その彼女が、よりによって、イラクで人質となってしまった。自衛隊のイラク派遣という「人道復興支援」とは名目上で、実際は「アメリカ支援」となっている事実が、原因である。自衛隊のイラク派遣が真の人道援助のじゃまをしている。
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| 2.非武装であればこそ、真の人道復興支援活動が可能 |
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イラクで活動している国際・国内NGOの調整委員会(NCCI)は、行動基準の最低限の取り決めとして「武器を持たない」と決めている。武器を持っていくとは、相手を「敵」と見なす行為だからだ。人道援助というのは、相手との信頼関係のもとで援助するのが基本なので、相手を「敵」にしてはできない。事実、イラクには、世界中から復興支援、人道援助のボランティアが入って多彩な活動を繰り広げているが、みな丸腰である。「自分たちが武装しないこと」「軍隊ならびに武器を持つ人々に近づかないこと」を、世界のNGO関係者全員が守っている。20年30年と長期にわたるNGOの活動経験から、武器を持つことは武器を呼んでしまい危険で、武器を持たないことが一番の安全につながるということを、NGO関係者は知っている。
日本国際ボランティアセンター(JVC)の熊岡路矢氏は、NGOと軍隊の関係で、軍が人道支援をしてはいけない理由を以下の4点にわたって述べている。
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- そもそも軍は人道支援の組織ではなく、敵を殺すための組織である。
- 外国においては自国の国益のためにどうしても動いてしまう。
人道支援は、人間全てを対象にするもので、中立性、公平性が土台になくてはならない。
- 本来、中立を基本に行うべきNGOや国連が、軍隊と同一とみなされ、攻撃対象となってしまう。
- 人道支援は、自己完結型ではいけない。自衛隊は、宿営地に閉じこもったままで、その土地の人々との信頼関係、コミュニケーションが成り立たない。自己完結型で、ただ出来上がったモノを与えるだけでは、人道支援にならない。なぜなら、支援者はいつかはよそ者として出ていってしまう。その時に、現地の人々に移譲できなければいけない。現地の人々が望む雇用、知識・技能の修得が必要である。
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- 「武装した自己完結型組織しか、人道・復興のために働けない」(石破防衛庁長官(当時)の弁)ということが、全くの誤りであることは、NCCI所属のNGO112団体の活動状況からも明らかである。さらに費用対効果の悪さも、見落としてはならない。
自衛隊の派遣費用に400億円かかると言われているが、サマワ、バグダッドなどで活動するフランスのNGO「ACTED」は5000〜6000万円単位で、浄水、給水、保健、衛生教育を実施している。宿営地での自衛隊は、自らの分だけの給水、浄水作業をしているというのだから、もはや、自衛隊は撤収するしかない。
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