平成16年(ワ)第11513号
違憲行為差止、イラク特措法違憲確認及び損害賠償請求事件
原  告  新井 治
被  告  国

準 備 書 面(3)補 足

2004年(平成16年)12月 10日

東京地方裁判所 民事第1部合2係 御中

原告  新井 治

 はじめに(被告への部分的反論)

 被告準備書面(1)を受け取った。被告は、縷々判例と法律論を披露して、結論として「証拠調べの必要性は全く無いから……請求棄却の判決がされることを求める」(13P)と述べているが、“証拠調べの必要性は全く無い”とは何事か。違憲訴訟においては、刑事事件と異なり、原告がその被害を証明しなければならない。まして今回は、戦地への自衛隊派遣という日本国憲法始まって以来の初出来事ではないか。証拠調べは最重要条件であり、実態審理・証拠審理なくしてどのように判断するのか。“審理を尽くさず判決を下せ”とは暴言であり、ひいては日本国憲法並びに司法制度を侮辱する行為である。
 また本文に於いて、

  1. 何ら影響を及ぼすものではない(3P)
  2. 平和的生存権は具体的権利では無い。(4P他)
  3. 侵害が発生した事について何ら主張していない。(13P) 

なるを述べているが、反論は
準備書面4・5・6で十二分に展開主張するので、今回は部分的反論にとどめておく。あくまで部分的にである。

 日本人の香田証生さんが殺され、星条旗にくるまれて発見されました。「米国への協力者」とみなされたからです。アル・バックリ・ハッサネンさん(37)は、「正当性のない戦争でテロリストに攻撃の口実を与えたのは米国だ。自衛隊が国連決議無しで入っていくのは『ごめん下さい』もなしに他人の家に入って行くのと同じ」。ただ「香田さんがその責任を負う必要はなかった」。(04.11.02朝日=添付資料3) まったくそのとおりだと考えます。彼は危険と言われる所へ入って行きましたが、殺される必然は無い人でした。自衛隊さえ派遣していなければ、彼は殺されずにすんだのです。日本人が標的にされ、イラクでなくても中東・いや日本にいても武装勢力の攻撃対象になっているのです。当裁判所は、その攻撃から守るために、入館チェックを始めたのではありませんか?原告は、日々テロ脅威の陰に怯えるとともに、イラクへの旅行の道をとざされてしまったのである。香田さんの例を見るまでもなく、これすべて自衛隊派遣から危険が生じているのです。身に危険を覚えると言う現実こそ、平和的生存権の否定でなくて何でありましょう。今ほど、平和的生存権の否定が明らかになったことは無いでしょう。

 『平和的生存権』は、憲法前文及び13条に規定された権利であり、“恐怖と欠乏から免れる”と具体的に表記されているではありませんか。

 『平和的生存権』が具体的でないならば、すべての権利が全部抽象的になってしまうではありませんか。原告は、具体的な精神的損害を訴えているのであり、侵害された権利の救済を、憲法32条のもと裁判所に求めているものである。イラクへの自衛隊派遣は、今までの事例と異なり、日本国憲法制定後初の出来事なのである。過去の判例には収まらない。イラク戦争・イラクへの自衛隊派遣、その実態を審理し、証拠審理を尽くした後にこそ被告の言う「法律上の争訟」を問題に挙げるべきである。

このページのトップへ

本文への補足

 今年の4月、1枚の写真を見ました。ファルージャを攻撃している米軍の写真です。ショッキングであったのは、寝込みを襲撃し、叩き起こし、顔のベールを剥がし、壁の前に立たせて、身体検査と家捜しをしているのです。その屈辱に耐えている女性の顔は悔しさで顔が引きつっておりました。これは日本人にたとえるなら、女性を裸にして身体検査しているのと同じなのです。本文にも書きましたが、イスラム教徒は、女性と外国人との接触を嫌います。話しかけられることを嫌い、体にさわるなどもっての他の禁忌であります。考えてみてください。妻が娘が裸にされて、辱めを受けているのと同じなのです。
 イラクの民衆が怒るのも当たり前ではありませんか。増えこそすれ減ることのない反米感情は、イラク女性への侮辱から来ているのが大きな一つです。それなのに日本ではイラクの苦しみを全然理解出来ていないばかりか、多くの日本人が、アメリカの軍事侵略は正しいと信じています。そしてイラク人は残虐だと思っています。それは、人質殺害を大きく報道する反面、アメリカ軍側については、弾を発射するところと死亡した人数だけで、米軍の残虐行為は殆ど報道してないからです。おかげで、武装集団が、たかだか数十人殺しただけで、イラク人は野蛮だと思いこませるのに成功し、アメリカ軍が、10万人ものイラク民衆を虐殺してもアメリカの行為は悪くないと思わせるのに成功しています。どこか狂っていませんか。

 自衛隊の活動は、華々しく報道されておりますが、物資輸送のうち、9割が外国軍隊用で人道支援物資輸送はたったの1割。570人の派遣隊員のうち、復興支援に携わっている隊員は、実質数10人しかいないという。(04,11,02読売=添付資料4) そんななか、10月22日に続き31日にも自衛隊の宿営地にロケット弾が打ち込まれた。この事件に対し、10月31日発行の地元週刊紙「アルサマワ」は、ムサンナ県警のカリーム・ヘルベット本部長の話として「ロケット弾攻撃の責任は、約束を果たさなかった自衛隊にある」と報じております。(’04.11.03毎日=添付資料5) 自衛隊を警護してくれていたオランダ軍は、来春3月に撤退いたします。今度は誰に護ってもらうのでしょう。米軍による警護ではますます危険です。そもそも、「警護してもらう」ということが危険地域ということを証明しております。それとも、「自衛隊の居るところが非戦闘地域だ」と言って“安全だ”と言い張るのでしょうか。

 大義無き戦争。日本人が攻撃対象になる平和的生存権の否定の現実。「ロケット弾攻撃されるのは自衛隊が悪い」と言われるほど現地に期待されていない自衛隊。どれもこれも良いことは一つもありません。ただちに対米追随路線を止め、1日でも早く自衛隊を撤退させるべきです。そうすることにより、上記のすべてが解決します。イラクの復興支援は民間主導に切り替えるべきです。自衛隊抜きで、地雷探査装置『マインアイ』を駆使して、地雷をすべて撤去してカンボジアの住民に喜ばれたような事を、イラクでもやるべきです。アメリカのご機嫌取りで、日本を戦争に引きずり込んでいくのだけは止めていただきたい。

以上

添付資料
 資料−3 (04.11.02 朝日新聞)
 資料−4 (04,11,02 読売新聞)
 資料−5 (04.11.03 毎日新聞)

このページのトップへ


トップページへもどる
イラク派兵違憲訴訟の会・東京
会としては2007年9月 解散しました。
ここでは、訴訟の記録を残していきます。
Eメール:nora@cityfujisawa.ne.jp
携帯電話 090・5341・1169