準 備 書 面(4)補 足
2005年(平成17年)2月4日
東京地方裁判所 民事第1部合2係 御中
原告 新井 治
記
はじめに
具体的な権利侵害について、準備書面(4)本文にて5点・前回の準備書面(3)にて部分的に陳述してきたが、ここにまとめて述べさせていただく。また、被告は掃海艇事件を引き合いに出し“多数決原理に不可避的に伴う公憤、不快感、挫折感である”と主張しているが、自衛隊イラク派兵は、63%もの国民が反対しているのである。多数決の原理を無視しているのは被告であるということをまず最初に付け加えておきます。
まず最初にあげられるのは、命の危険性であることは論を待たない。武装勢力から、日本と名指しで指名された恐怖ははかりしれません。日本に居ながらにして武装勢力の攻撃さらされる危険、香田証生さんの例を見るまでもなく、中東・特にイラクへの旅行が不可能になったこと等々。公官庁への出入り時に受ける身体チェック、各種交通機関における厳重なチェック、街中における“防犯”の域を超えた監視カメラ等による監視の強化。これらはみな、米国の「正当性のない戦争」に自衛隊を派遣したことから派生した危険である。自衛隊を派遣しないで、民間主導でイラク復興を計ればこのような事態にはならなかったはずです。生命に危険を覚えると言う現実こそ、平和的生存権の否定でなくて何でありましょう。
第2は、イラクの人々を殺すことに荷担する苦痛である。米英軍はイラクの民間人を10万人以上も殺害してきた。10万人も民衆を殺しても、彼らが平気でいられるのは経済力世界第2位を誇る日本が“イラクの民衆を10万人をも殺す行為”を支持しているからである。これらの行為を、批判したり助言しないで、「人道支援」という美名の元、自衛隊を送り込んで米英軍の物資・兵隊を輸送している兵站部支援活動は、日本も共犯であることの証明であり、国際法に照らしても論をまたない。イラクからの報道・イラクの人々の写真を見るたびに、『彼らを苦しめているのは日本なんだ。彼らを殺しているのは日本人なんだ』と思うと、胸が張り裂けんばかりである。こんな苦痛はもうこりごりです。もういやです。
第3は、表現の自由の侵害による逮捕されるおびえである。反戦ビラを配布したり、政党のチラシを配布しただけで逮捕・長期拘留(1月12日朝日:添付資料6)そして起訴されてしまうことです。なぜ、ビラ・チラシを配布するだけで逮捕されなければならないのですか。反戦ビラ・自衛隊イラク派遣反対以外の行動は表現の自由はあるが、反戦ビラ・自衛隊イラク派兵反対の行動には表現の事由が無いので逮捕・拘留するぞと脅迫していることに他なりません。何故、自衛隊派遣反対というチラシ配布する人は逮捕して、それ以外の人は逮捕しないのですか。この違いは何なんですか。表現の自由からはっきり分かるように説明をいただきたい。
第4は、日本を愛すればこそ行動した行為を、非国民扱いされた精神的ショックであり苦痛である。自民党:柏村武昭議員は国会の場で、私たち“自衛隊のイラク派遣に反対した人”に対し、「反日的な…」(4月26日参院決算委員会)と批判しました。(下記参照)
- 参議院決算委員会
平成十六年四月二十六日(月曜日)
午後一時三分開会
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(前略)
○柏村武昭君 今回の人質事件は、北朝鮮による拉致事件とは全く状況が異なりまして、政府の退避勧告があるにもかかわらず、それぞれの意思で危険な国に出掛けていって現地の武装勢力に捕まったと。これ自体明らかに反国家的で、武装勢力に対する利敵行為とも評価できますが、さらに、聞くところによれば、人質の中には自衛隊イラク派遣に公然と反対していた人もいるらしいと。もし仮にそうだとしたら、同じ日本国民ではあってもそんな反政府、━━━分子のために数十億円もの血税を用いることは強烈な違和感、不快感を持たざるを得ないと私は思います。
日本は立憲国家・法治国家ではないのですか。今の日本では、批判や反対は許されないのですか。何故、自衛隊イラク派兵反対と言っただけで「反日的」呼ばわりされなければならないのですか。反日的という言葉は、日本軍に反抗した解放勢力に対して使われたことばで、戦前、有無を言わせず国民を戦争にかり出すために用いた言葉です。いつから日本は戦前になったのですか。このような軍部独裁・言論弾圧社会を美化する社会を擁護するような人に、フセインはなんたら・北朝鮮はなんたらなどと言う資格はありません。違憲判決が出ても今後も靖国参拝は続けると言って憲法を守ろうとしない・国民年金も一部払わなかった小泉首相こそ、憲法99条を守らない反日的な人間ではないですか。なぜ、小泉首相に向かって、反日的とは言わないのですか。
原告ほど、郷土日本をこよなく愛している人間は無いと自負しております。ホタルを守ったり・用水をきれいにしようと環境保護活動に専念しております。また、平和な社会を守るためこうして戦争する国にしないよう日夜努力しています。戦前の暗い社会にはもう戻したくありません。それなのに反日的とか言われ、非国民扱いされ、非常に心に深く傷を受けました。この傷は誰が癒してくれるのですか。
第5は家計への圧迫である。来年度は定率減税廃止を含め約12万円の増税になります。今までにも、配偶者特別控除廃止や年金保険料の値上げ等がありました。自衛隊イラク派遣に伴う1250億円の無駄使い(04.07.19朝日:第2回公判)や、アフガンでの洋上ガソリンスタンド・アメリカ軍への“思いやり予算“等々、平和な国家に不釣り合いな軍事費からの圧迫が増税に繋がっていると解釈しております。日本の為というならば、人を殺す行為に金をかけず、軍事以外の平和を守るほうにお金を支出すれば、経費はもっともっと少なくなるはずであり、そして何より日本国の安全も図れます。銃では平和は守れません。銃による行為は憎しみを再生産して危険度をプラスするだけで、非現実的なことは歴史が証明しております。最後は憲法が蹂躙されてきてしまって、全体的にものを言えなくされてきたという恐怖である。今、ビラをまけば逮捕・デモをすれば反日的分子と呼ばれ非難されます。また、私たちがデモをしてもアピールしてもほとんどマスコミに載らなくなりました。NHKの例を見るまでもなく、表現の事由が圧殺されてきたことをひしひしと感じます。“安全の為”には、表現の自由・行動の自由をはじめ、様々な人権が抑圧されても仕方ないという風潮に耐え難い苦痛を感じます。私たちは、平和な美しい国日本をこよなく愛している普通の国民です。それなのに、反日的分子扱いされたショックと苦痛は、はかりしれません。
憲法第99条に国会議員・国務大臣は憲法を順守するように規定されております。しかし彼らは、率先して、「普通の国」にしたいとして、軍隊をもち戦争も出来る国にしようとしています。憲法9条に“国の交戦権は認めない”と定めてあるのに、「普通の国」にしたいとして、
武力攻撃事態法なる法律を作り、憲法を骨抜きにしてしまいました。これは、“法の下克上”です。この“法の下克上”を許してきたのは、統治行為論を優先させ、憲法解釈を避けてきた裁判所にあります。だからこそ、違憲立法審査権をもつ裁判官の責任は重大であります。
日本人が標的にされる恐怖におののき、自由と言論を圧殺され、不眠に悩みながら、日々苦痛を感じながら生活しているのは社会通念上甘受すべき程度をはるかに越えております。これらの被害は、自衛隊さえ派遣していなければ、派生していないことなのです。言論と自由を圧殺されかけた現在、これをチェックする機能をもつものは、司法をおいて他にありません。憲法99条は、裁判官に付与された違憲立法審査権は、憲法違反行為を排除する義務と権限を与えたのみならず、その権限を果たさない事による違憲状態の放置もまた裁判官自身の憲法尊重擁護義務違反となるきわめて重いものです。遠山裁判長・坂口裁判官・後藤裁判官の良心に期待するものです。以上
添付資料
資料−6 (05.01.12 朝日)