平成16年(ワ)第11271号 違憲行為差止等請求事件
原 告  門 脇 恭 代
被 告  国

陳 述 書(甲4号証)

2005年6月28日

東京地方裁判所 民事第45部合議A係 御中

原 告  門 脇 恭 代

 原告は、1945年終戦のときは国民学校1年生でした。
戦中からの物の乏しい生活は続いてはいましたが、空襲警報や灯火管制におびえることなく、遊んだり眠ったりできることはとても嬉しいことでした。おとな達からもなんとなく明るい気分が伝わってきました。

小学校高学年から中学にかけて、広島、長崎の原爆の被害など写真や本などで触れることも多く、社会全体も、戦争は二度と起こしてはならない、平和を大切に、という風潮がありました。
準備書面(5)のP.3〜4で述べた「あたらしい憲法のはなし」を学んだのは中学2年生の時でした。授業が熱っぽく、高揚した雰囲気だったのを覚えています。
 人間にはいろいろな権利が保障されているということは驚きでした。また、
「これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戦力の放棄といいます」
先生が繰り返し語った「放棄」という言葉が珍しく、その言葉を知ったことが誇らしくて、「日本国憲法」はすばらしい憲法だと思ったものです。
 最近考えるのですが、原告の平和主義のルーツはこのあたりに根ざしているような気がします。教育は子どもにとても大きな影響力を持つものだと改めて思います。

先日「ベアテの贈りもの」という映画を観ました。
23歳の若いベアテさんが日本国憲法の草案委員会の人権委員に選ばれたおかげで、第14条の人権、24条の男女平等が採択されたということは、日本国民にとって、また女性にとってどんなにすばらしい偶然だったのかと思いました。人間の営みのなかでの小さな事柄が、未来への流れや人の一生を左右することもあると思うと、感慨深い気持ちです。


自衛隊は、警察予備隊、保安隊、そして自衛隊へと名前とともに中身も変わり、解釈も視点も変化してきました。
 現在の自衛隊の勢力は、「自衛のための必要最低限度の軍事力」をはるかに超え、イラク派兵は、小泉首相がブッシュ大統領に貢献したいと約束したことに端を発したものと受け止めています。
国連からの要請があったわけではなく、当事者であるイラクからも要請されていない。

 イラクでの自衛隊の仕事は、給水、施設や道路の補修といわれています。
6月24日の新聞では、
「サマワで陸上自衛隊の車列脇で爆発」のニュースがトップを飾っていました。
陸自標的の可能性も大きく、政府高官は、
「車両の直下で爆発していたら大変なことになっていた。そういうことが今後ないと分かるまで、活動はできない」
と述べた、とあります。

「陸自が昨年1月、イラクで活動を始めてから7月で一年半。
海外活動では過去最高の約3300人が派遣された。23日には初めて宿営地外での被害が発生した。」

「自衛隊の宿営地に対する迫撃砲やロケット弾の攻撃は、昨年4月から今年1月まで計9回。このうち昨年10月の2回は宿営地内に着弾。深夜や未明が中心で、一度に3発が連射されたこともある。犯人は捕まっていない。」
(2005年6月25日 朝日新聞「イラク派遣隊員」より)

人道支援を目的とする自衛隊の活動も、給水作業は今年2月で終わり、道路や学校施設の補修といった、宿営地から離れたところでの作業が中心となると、危険は増すでしょう。作業を続けるためには、安全を確認するための多くの人が必要です。全く能率的ではありません。

そんな折、
「イラク自衛隊 米、派遣延長を打診
  外務省に『来年以降も』」


という見出しの記事がありました。
「細田官房長官は25日、自民党島根県連大会であいさつし、派遣延長について、
「わが国は外国からどうせよといわれて続行するわけではない。世界のために、平和のために何をすべきか主体的に考える」と述べた。

 自衛隊派遣の根拠となるイラク復興支援特別措置法は07年7月まで有効で、基本計画を変えれば、それまで派遣を延長することができる。
 基本計画の変更は閣議で決定されるが、国会に対しては報告で済む。」

(2005年6月26日 朝日新聞より) 

 政府も頭の痛いことでしょう。
ブッシュ政権が見通しをたてたイラクの治安は安定せず、民主的なイラクを造るという戦略は破綻し、姿の見えにくいテロにより殺される人があとをたたない状況です。
 駐留しても、宿営地にこもり続けるのでは意味はなく、引き上げればアメリカの不興をかう恐れが大きい。
 治安の悪化がすすめば、「非戦闘地域」という特措法の要件を満たさなくなります。

原告も、このような情勢の中で、撤退するのは簡単なことではないことを承知のうえですが、人命を守る事を第一義として、平和憲法を裏切らない方向への撤退を考えるべきだと主張します。

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