2004,7,21
前田資子
私は小学生時代米軍占領下の埼玉県朝霞の基地の町で暮らしました。。敗戦後のさまざまな体験を経て子供心にも戦争に疑問をもちました。それは、まことに軍隊あるところ「人権無し」の屈辱的な生活で,子供心にも嫌な思い出でありました。
一、 財政民主主義は破壊されている。
大量破壊兵器も発見できないままに先制攻撃をし、イラクを混乱に落とし入れ、1万人にも及ぶ無辜の民を殺害した蛮行は、21世紀初頭の人類の恥じです。その米国に追従,加担した日本は、憲法9条違反、専守防衛の自衛隊法違反、イラク特別措置法違反、そして憲法違反の自衛隊が海外派兵に税金を使うことは、本来許される行為ではありません。
米国によりイラク全土に1700トンの劣化ウランが使用されたと推定されています。
この途方もないウラン238の使用量により、ウランは微粒子となって拡散、イラクは汚染され、人の住む場所でなくなりつつあります。またテロ掃討作戦のファルージャ包囲戦での民間人虐殺のニュースには目を覆いたくなります。被爆したり、負傷したイラクの子供たちの写真は見るたびに涙が流れ落ちます。このような戦争犯罪に加担、表面は人道支援を謳いつつ、重装備の軍服に身を固め、実は米兵の輸送,給油にも協力する日本国は共同犯、その軍事費を負担する税金を支払う我々もまた、否応なく戦争犯罪者となっていることに非常に良心が咎めら,心苦しい毎日です。。
現行憲法の精神では財政民主主義のはずですが、現実には、歳入、歳出分断論であり、納税は義務であるが、歳出は施政者の恣意に任されている理不尽さは税法には明記されていません。慣例がまかり通る明治時代のままの古い権力法であり、イラクに軍事費として税が使われるこの違反状態は、絶対に許容できません。
一、相互監視社会の到来
アルカイダは「米国に協力する国すべては敵とみなす、日本もその範疇に入る」と声明しています。そのため今日本国内はハイテク機器を駆使して今までに例のない厳しいテロ監視体制に入っています。新幹線、サッカー場、野球場、国会周辺、六本木ヒルズ、その他、人の集合する所は警備が増強、霞ヶ関、東京,品川駅などは至るところ警察官だらけで、ごみ箱は一つもなく不便このうえありません。街角、駐車場、エレベーター、交差点には監視カメラや、不審者や不審な車を見たら通報を呼びかけるポスターが貼られています。これが自由と民主主義の国日本の実態です。最近では「携帯電話やパソコンで指名手配者をチェックする方法」と書いたポスターが貼られており(6月21日現在,京成津田沼駅)。これを安易に民間人が実行したら、盗撮になり、肖像権の侵害にあたるのではないか、と、相互監視社会がここまで来たか、と戦慄しました。
飛行場での身体検査は、一人一人のボディチェックのみならず,靴まで脱がし、エックス線検査までするので時間がかかります。私の夫は毎年仕事上海外に行きます。今年9月にもニューヨーク行きの予定なので、テロの不安、飛行場での不愉快さ、不便さをまた味わうことになるでしょう。あのニューヨークでは平均的市民が出歩くと、1日に74回は無人カメラに撮影されているそうです。
成田,関西航空税関に設置された顔貌認識システムは、「通行者の顔にコードを割り振り、交通履歴を記録する」ことにあるといわれています。顔の目、鼻、口の間隔などの位置、パーツの特徴を数値化し一種のバーコードとして捉え記録する、こんなことは現行法が許可していない。にもかかわらず、飛行場に来る人へのなんの通知もなく、これがまかり通っている。―これは関税関係法令に依拠するのみで、まだ法的根拠もととのっていないうちに、テロの脅威の名のもとに導入されたものです。
また国際テロリスト対策として、本年6月に犯罪対策閣僚会議では日本人の旅券、外国人の出入国審査を通じて指紋、瞳の虹彩の画像情報など、生体情報による認証システムの導入を検討しています。このテロ対策強化の一環としてのバイオメトリクス(生体情報)による識別は、米国中心に強化されているが、指紋などの情報管理の徹底は、個人情報保護の観点から議論を呼ぶところでしょう。究極の個人情報である指紋を採取し、ICチップに登録するのは犯罪者扱いされるようで非常に抵抗感が強いが、これまたテロ対策の名のもとに強行されようとしているのです。
高性能,高機能の監視カメラは、国会議事堂を囲む形で、さまざまのところに設置され、国会にアクセスする人全てを把握できます。公共空間を歩む全ての人が対象であるにもかかわらず、表示なしは,盗撮状態。
次世代自動改札というのも順次導入しつつあります。阪急電鉄が目下セットしたもので、各改札機ごとに監視カメラが内臓されています。通過者全ての顔貌認識処理ができる。いずれは全国主要駅に設置されるでしょう。
また運転免許証は、免許管理システムの高度化を目指して、免許台帳ファイリングシステムが導入、顔貌の画像データは,券面にプリントされるだけではなく、光ディスクにバックアップがとられます。これで免許証番号、氏名、生年月日、顔貌データが検索可能となりました。運転免許は7600万人が取得しているから、国民の半分以上の顔貌データベースができあがる。これらすべての息のつまりそうな市民全てを犯罪予備軍扱いするシステムは、個人のプライバシー権、即ち憲法13条(すべての国民は個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする)を侵害することです。
すべての人を、いわば犯罪予備軍として監視して「テロリストを一人たりとも見逃すな」といわれているが、いかに監視しても、自爆テロや,生物化学兵器テロは撲滅できるものではない。そして日本の海外公館や海外企業、日本船舶が狙われることもあるのです。テロの根本解決がイスラム圏,特にイラクの人との友好関係を構築することにあるのに、こんな状況を作ったのは政府の責任です。そしてこのシステムはイラク派兵のような違憲の国策であっても、それに義憤を感じ、反対する者を容易に管理、監視する装置にも使用可能です。参議院の議員会館を入ったところの議員面会所の入り口上にも監視カメラが設置されています。ここにテロリストが侵入、自爆テロを決行する可能性があるのだろうか。政治活動のために議員に面会を求める市民は、ここでみな監視カメラの目にさらされています。
本年4月イラクでの救援活動に当たっていた邦人5人がイラクで拘束され、自衛隊撤退の条件の人質にされました。当然家族は違憲の自衛隊撤退を政府に願ったが、それに対する政府の対応、メディアの有り方は冷淡かつ非難がましいものであり、「反日分子」とののしる大臣が出ました。彼はその言い分をいまも撤回していません。「反日」とはかつて侵略戦争をした日本に対して抗日運動をした韓国人、中国人、戦争反対を叫んだ日本人などに対しての、ののしりの言葉です。こんな言葉の暴力が、今またなんの反省もなく繰り返されています。この状況を見ていて、以後はどんな無法の国策であろうと、それに逆らう者は、この日本で生きにくい状況に次第に追い詰められていく日々が、明確に実感されました。この厳戒態勢は、もう戦時下なのでしょうか。
法的救済のみが最後の私の望みです。