意見陳述書(1)
2004年9月24日
東京地方裁判所民事第15部 御中
原 告 宜 保 幸 男
訴状の主旨および補足意見を陳述する。
私が生きる琉球・沖縄は、4度の他律的で軍事的な「世替わり」を強制されている。沖縄県民が「祖国復帰運動」で目指した「平和憲法下の祖国」日本は、歴代保守政権の意図的で継続的な「軍事主義」策動によって「憲法・教育基本法」に基づく敗戦後の「民主的制度」がなし崩し的に解釈改憲され空洞化されていた。そして、遂には「明文改憲」へと「戦前(徴兵制・国民皆兵・海外派兵)の道」をひた走っている。
それ故、今こそ私は「祖国復帰運動」に託した「平和憲法実現」を強く訴え、且「自衛隊イラク派兵中継基地」「イラク占領米軍の演習及び戦闘部隊出撃兵站基地」という沖縄の実態をこの法廷を通して良心ある裁判官と我が同胞である日本国民に訴えたい。
ここで、私達ウチナーンチュの生きてきた「独立琉球王国時代、薩支(日中)両属王国時代」「琉球処分後の大日本帝国沖縄県・軍国主義皇民化・富国強兵の時代」「敗戦後の米軍占領・米国民政府・琉球政府の日本国憲法不存在の時代」「祖国復帰後の日本国沖縄県・日本国憲法有名無実の日米安保条約絶対優先時代」の「琉球・沖縄」とは何であったか?
国民の生命と生活さえ省みなかった絶対天皇制軍国主義による戦争体験こそが「欽定憲法」を廃棄させ、新生日本の「非武装平和・主権在民・人権尊重・地方自治」の民主的原則を網羅した「新憲法」を制定させたのである。そして、土地接収・米軍人犯罪・米軍演習事故・「良き隣人=米軍」の百鬼夜行的殺人・レイプなど人権侵害の横行した前期米軍占領下の琉球・沖縄の体験が、「祖国」日本の「新憲法」に強い憧れを持たせ、ウチナーンチュ(沖縄人)をして米軍の武力弾圧と公安的策動にも屈せず、朝鮮戦争と平行した米軍基地建設のための「銃剣とブルドーザーによる土地接収反対闘争」を「島ぐるみ闘争」で戦い、アイク米大統領来沖の直前の1960年4月28日、「祖国復帰運動」へと立ち上がらせたのである。
一方、「祖国」日本では、1946年11月3日公布1947年5月3日施行の「新憲法」、1947年3月31日公布施行の「教育基本法」が相次いで国会において制定され、「新憲法の沖縄不適用決議」を行なった上、1952年4月28日には、「講和条約・安保条約」が締結され、沖縄を米軍占領に置いたまま擬似的な「独立」をした。
日米両政府はその後、本土各地に相次いで起こった「反米軍闘争」や「60年安保反対闘争」以降、「反米感情」の激化を防ぐため、沖縄が「祖国」日本に復帰する1972年5月15日までに、日本本土にあった米軍基地の大半を沖縄に移設した。全国土の0.6%に全人口の1%130万人の「人間の住む島」沖縄に在日米軍基地の75%を押し付けたのである。これは「祖国」日本政府の日米安保体制による「沖縄差別」であり、強固な日米同盟の「生贄」にされたのである。またしても沖縄は「祖国」日本復帰前と同様、生命・生活が脅かされる米軍絶対優先の「軍事と戦争」に直結した島にさせられたのである。
そして今、米軍基地の「整理縮小」「良き隣人」の「巧言令色」と「金権振興策」を振りまきつつ、普天間海兵隊航空基地の名護市辺野古、那覇軍港の浦添市キャンプキンザー海兵隊基地沿岸への「移設」を名目に、より強大な新基地建設を強行している。
私たち沖縄県民は、他国民衆「加害の島」やウチナーンチュ「被害の島」になることを強く拒否したい。世界の反戦平和愛好民衆が「自由・平和・共生」の裡に生き合えることを日米両政府に強く要求する。
今、日本の情勢は、「表現の自由」を奪う「個人情報保護法案」と「軍事・戦争国家作り」に直結する「有事法案」を国会で強行可決した。「新聞報道規制令」と「治安維持法」を制定した第2次世界大戦突入直前の軍国主義体制的で危険な状況を想起させる。平和憲法・教育基本法を改悪し、結局「軍国主義国家」として、「徴兵(令)制」を敷き、現「自衛隊の志願制」に替えて、「国民皆兵制の軍隊」を造り、「召集令状・赤紙」1枚で、国民全体を兵役に強制動員し戦争のできる国家体制を仕上げることにあると断じざるを得ない。
ここ沖縄では、8月13日普天間米海兵隊飛行場所属の大型ヘリが宜野湾市在の沖縄国際大学構内に墜落した。イラク派遣ヘリの演習中に墜落炎上した。今、沖縄の米軍基地は、普天間飛行場・嘉手納空軍基地・キャンプシュワブなど海兵隊基地・特殊部隊・海軍病院など在沖米軍基地が本土の第七艦隊・基地と一体となってフル回転している。「祖国」日本復帰後も、「祖国」日本復帰前と同じく、沖縄県民の生命と生活を侵害する米軍演習事故が枚挙にいとまが無い。また、イラク派遣予定部隊の兵隊達は「明日のわが身」を不安に思うのか、米軍人の犯罪が多発増加している。
この現状に立って、私たちウチナーンチュ・日本国民は今何をなすべきか? 「平和憲法」を実現し、「新生日本」の再生のために奮闘しよう。
以上、裁判官の良心を信じ、良識ある判決を期待しながら、私の真心を込めて意見陳述申し上げました。今後何回か意見陳述をさせて頂きます様お願い致しまして私の一回目の陳述を終わらせていただきます。