つくる会と石原慎太郎氏の主張の共通点

あれっ?、似ている、、。扶桑社「新しい教科書つくる会」の出した教科書の検定修正個所を見ていて、石原慎太郎都知事の主張がふと頭に浮かんだのは私だけでしょうか?
1997年、石原慎太郎東京都知事(肩書きは作家)はつくる会の賛同メンバーになりました。(1997年の産経新聞1月3日社会面報道)
また、石原氏は、産経新聞によく寄稿していたため、その主張が、つくる会のメンバーに参考されていた可能性もあります。つくる会のメンバーであった、小林よしのり氏は石原氏と対談もしてます。以下両者の似ていると思われた部分に絞って、その一部を書いてみました。

by 巻きずし

つくる会の検定訂正個所は、>教科書研究所から許可を得て掲載させていただいてます。
石原慎太郎発言  
新しい教科書をつくる会  


日本の帝国主義のおかげで?
石原氏「近代の歴史原理は帝国主義しかなかったんだ。欧州の列強に植民地にされるか植民地を持つかというね。(略)日本もやったわけだけど、おかげで世界各地で民族意識が目覚めて戦後かつての植民地は独立したわけでしょう。」
(1999年8月25日/9月8日号『SAPIO』、小林よしのりとの対談)
つくる会「日露戦争における日本の勝利によって、中国や朝鮮などアジア諸国は、近代国家を目指すナショナリズムに初めて目ざめた。」(歴史243項12-13)
「日本の勝利に勇気づけられた有色人種の国には、ナショナリズム(自国を愛し、国益を主張する思想や立場)がおこったが、」(歴史240項8-12)
(検定後:有色人種→アジア)

在日外国人の参政権問題
石原氏「(在日の人の参政権について) 国政は別にして地方参政権という人々もいるが、これはかなりむずかしい問題だ。というのは、地方といっても、国政を左右しかねない複雑な問題もありうる。たとえば原発とか米軍基地の問題は、知事や市長選挙であっても国政に影響する先鋭的な問題となる。この参政権の問題は、「国籍」の重みや意味を問うことになるためむずかしい。(『ニューズウィーク』日本語版・2000年六月七日号)」
つくる会「選挙権や公務員になる権利は、現在、一部に制約が解かれてはいるものの、国家の意思を形成するという主権にかかわる権利であるので、在日韓国・朝鮮人など、たとえ日本に永住権をもつ外国人であっても保障されていない。」(公民65項3-6)(検定後:→(権利が)保障されないとする意見もあり、議論が続いている、、となった。)

生命も犠牲にしなければならない?生命よりも価値がある?
石原氏「国政の目的は、確かに国民の生命財産を守ることにあるけれども、そこにはより高次の概念があるべきです。それは命を捨てても守るべき国家の価値、われわれ一人一人の歴史に連なる国家の存続を確保することであり、政治家は常にそれを意識していなければならない。実際に誰かに対して死地に飛び込むことを命じるわけですから」(“正論”2000年10月号 所収)
つくる会「生命尊重は最高の価値となりうるか?(略 :解釈しにくい文章)人間の生命が尊いのは、言語によって精神的な価値にかかわる目的を実現していくための根本の手段、それが生命だからだということになる。忘れてならないのは、人間社会には、そうした価値の実現のために、生命を犠牲にしなければならない場合もあるということである。」(公民215項:下囲み)(検定後:全て削除)

国際情勢の中の日本も核保有
石原氏「今日世界の国際情勢、外交は核を持っているかいないかが決定的要因になっている。『新旧の対決か調和か』経済往来社1969年より 「その核兵器の本質的性格は、昔の兵器と違って、前に述べたように、小さく、少なくともとにかく引き金のついたものを一つ持つことで、新しい国際的力学関係を与えてくれる。」『慎太郎の政治調書』講談社1969 (初出は『週刊現代』1969年)より
つくる会「核兵器の廃絶は人類共通の願いではあるが、このような国際情勢の中で、わが国としても現実的な対応が求められている。」(公民117項6-8)(検定後:”わが国”としても現実的な対応が求められている→” 各国”の防衛のありかたが議論をよんでいる。)

核武装による戦争抑止論
石原氏「(核武装による)核の拡散が核戦争の危機増大を意味しない、むしろ抑止に働く、という点は私もかねがねそう思っている」『慎太郎の政治調書』講談社1969 (初出は『週刊現代』1969年)より
つくる会「核兵器廃絶は絶対の正義か?核兵器があると戦争がおこりづらくなる。つまり、核兵器には戦争抑止力があるということができる」(公民215項:下囲み)(検定後:核が戦争の抑止するという論については削除されたが、核兵器廃絶の合意に対して、違反するものがいないという前提がなければ、どんな理想も空論に終わってしまう、、という記述は残されている。 )

住民投票
(原子力発電廃棄物処理施設に関する)新潟県刈羽村の住民投票でプルーサマル計画への反対が過半数となったことについて、
石原氏「一部の反体制の人たちがたきつけて、日本をぶっこわしちゃおうということだ」と批判した。毎日新聞2001年5月29日 インターネットニュースより
つくる会「原子力発電所も産業廃棄物処理施設も米軍基地も、近くになければそれにこしたことはない。しかしこれらの施設は広域的な、さらには国家全体の利益にかかわるものであり、特定地域の住民の意思のみによって左右されるようなものではない。また、国家全体からみれば、その一部を占めるにすぎない特定地域の住民の意思によって、国策に「ノー」が突きつけられることになると、国家は機能しなくなる。」(公民79項8ー26行)(検定後:「特定地域の住民の意思のみによって左右されるようなものではない」「国策に「ノー」が突きつけられることになると、国家は機能しなくなる」の部分などが削除され、住民よりも、むしろ、一部の官僚を批判するように変えられている。)

中国のチベット問題
石原氏「中国は、毛沢東のころは、ソビエトのことを社会帝国主義と非難したら、てめえらやってることはまったくそのままじゃない。 150万の人をチベットで殺して、、、(Mainichiビッグ対談第一回より)
つくる会「中国によるチベット弾圧を伝える記事の掲載「その翌年にはチベットに侵攻し、現在までに128万人のチベット人を虐殺した。」 (歴史303項8-9行) (検定後:128万人→多数)

尖閣諸島
石原氏 1997年 5月6日、尖閣諸島に上陸した西村眞吾議員らに同行。船には自動小銃2丁、砲弾30発、銃弾1800発を搭載。(西村眞吾代議士というのは、「核武装、強姦」発言をして更迭された人です。石原氏とは昔からの仲です)
つくる会巻頭グラビアの「国境と周辺有事」のページに、「尖閣諸島に代議士が上陸」と西村眞吾の写真が掲載(名前は出していない)

「つくる会」の公民教科書の代表筆者である西部邁氏は「(その教科書で)人権主義、民主主義、平和主義に対しての批判を書いた」と「つくる会」会報で公言。
「つくる会」歴史教科書執筆者の小林よしのり氏は、自己の著作の中で「戦争行きますか、それとも日本人やめますか」と書いたという。