検証
「ババァ発言」、女性財団廃止問題、チラシ拒否
 東京都が、東京女性財団廃止(事実上、財政援助の停止)を決め、東京ウィメンズプラザが、財団の代わりに東京都の直営という方針になりました。その後、石原慎太郎氏のいわゆる「ババァ発言」に対し、女性グループが、批判のアピールのチラシをウィメンズプラザに置いたところ、チラシ設置を拒否されるという事態がおこりました。こららの問題の関連性を考える視点から、以下にまとめてみました。許可していただいたcomcomさんに感謝いたします。

(ペンネーム:巻きずし 09/20/02)

過去の石原氏の女性に関する発言は、こちらをクリック してご覧ください。

2000年11月22日
 東京都は、女性や利用者に何の説明もなく、協議の機会もなく、「女性財団廃止、財団に代わり都が、ウィメンズプラザを直営」を発表をしました。当初、それは発表から、わずか4カ月で廃止というスピード突然廃止(後に1年の猶予期間が与えられた)でした。
 東京女性財団とは、1992年に成立し、いわゆる「公設民営」型のもので、都の財政援助のもとで、(外郭としての)民間による運営(職員は都が出している)が行なわれ、95年には青山(渋谷)に東京ウィメンズプラザを開設し、活動を行なっていました。廃止には女性財団理事長からの決断が必要ですが、どうであれ、事実上、都からの財政援助 がストップという形になります。

◆女性財団廃止の理由について◆

     
石原氏   「女性財団は、基本財産のうち百万円を除いて、ほぼ全額が東京の出資であります。ちなみに、財団に必要な三億円全部東京の出資であります。それから、運営費の九八%も都の出資です。さらに、常勤職員のすべてが都からの派遣職員。」
(以上 2001年2月27日 第1回定例会石原慎太郎氏発言、3月15日の議会でも同様の発言)
 
     

 

Fact!
 
3億と言いますが、実際、女性財団を廃止して削減される金額は、年間7200万円です。石原さん、あなたが指揮した、自衛隊を使い、装甲車を銀座に走らせた(本当は銀座に戦車を走らせると発言していた)防災??と称する2000年度の訓練は、一回で約3億円かかっているのです。また、都の進める臨海副都心でビル事業を営む第3セクタ16社の累積損失は1076億円にもなっています。(部分的な経営対策にとどめている)

 

     
石原氏   「(お金が都からでる財団は、)おんぶ日傘、おんぶにだっこの財団でありまして、これは世間では、私、通らないと思いますな。」
「これはまことに甘ったれた話でありまして、私は世間で通用しないと思いますね、これは。」

(以上 2001年2月27日 第1回定例会)

「おんぶ日傘だったら、男だってできますよ、こんなこと。」
「こんな甘えた話というのは世の中通らないと思うので、ですから、私は、女性の自主、独立、平等というものを確立するためのさまざまな事業をやられることは大賛成でありますけれども、女性財団なんて名ばかりで、全部あとは都が自主的にやるというのは、これはやっぱり、こんな財団というのは世の中通らぬと思いますね。」

(以上 2001年3月15日の議会)

 
     


Fact!
甘える??だとか言ってますが、今なお、社会、家庭、さまざまな場所で、不平等な性差別、暴力にさらされる状況があり、それに対して平等の活動をすることが、どうして「甘え」とか「通用しない」になるのでしょうか。

野村友子委員(共産党)

「東京女性財団の設立趣旨というのは、設立趣意書や規約(寄附行為)にもありますように、男女平等の社会的風土づくり、普及活動です。啓発活動です。もともと営利が目的ではなくどれだけ収入を稼げるかという、こういうことを押しつけるのは、なじみません
 東京都も、女性財団にそうした営利活動を求めるのは難しいと、去年十一月の文教委員会でも答弁しています。」(2001年3月15日都議会)


世間で通用しない?という女性財団の過去の功績は、素晴らしいものがあります。そういう側面は評価されないのでしょうか??

野村友子委員(共産党)

「例えば、財団でつくられました男女平等の普及啓発のためのビデオ、「スタートライン」といいますが、これは文部大臣最優秀賞をいただいております。これは一つの例ですけれども、その他、今ここに持ってまいりましたけれども、「『ことば』に見る女性」、それから「都民女性の戦後50年」とか「セクシュアルハラスメントのない世界へ」とか、こういう数々の研究成果が、こういう出版物になっているところです。

「女性財団はどうか。全国から特別高く評価されていることも、私も実感しております。最近東京新聞に載りましたこの問題の連載記事の中で、佐賀県の女性センターの初代館長であられます大阪女子大の教授が、東京女性財団は、全国の女性政策を先導する役割を果たしていたんです、全国に向け女性の研修を積極的に行い、市民団体へ研究助成をしてきましたからと評価をしておられました。
 東京女性財団の役割は、これからますます重要になっているのです。ですから、各方面から熱い期待が寄せられているのではないでしょうか。」
(2001年3月15日都議会)

 

     
石原氏   「(女性財団のための)この拠出している金というのは、全部都民の税金ですから。やっぱり有効に使うんだったら、もっとほかの目的に有効に使ったらいいと思うし、、、

(2001年3月15日都議会)

 
     

 

Fact!
全部都民の税金と言いますが、その都民の半分は女性です。そして性差別の問題は存在しているのです。
野村友子委員(共産党)

「本当にまだまだ (男女平等の)風土づくりは必要だというところで、このいい方は絶対にこれは許せない、こういう中身(内容)だと思います。私たち女性、これは人口の半数を占めておりますが、今回の都のやり方にどうしても納得できない、これが大きな声です。」(2001年3月15日都議会)


◆どのように女性財団が選ばれたのか、「手続き」について?◆

Fact!
野村友子委員(共産党)

「今回の廃止のやり方に、みんな納得いかないということなんです。突然、理事会や評議員会の議決もなく、一方的に都が廃止を決めてしまった、これが反発を呼んでいるわけです。」(2001年3月15日都議会)

今回の監理団体改革の実施計画策定作業には不思議な点があります。それは、今回の計画について、58ある団体の各理事会が承認、確認しているのに対し(野村委員発表)、女性財団だけが、理事会を開かれることなく、忘れられているという事実です。

野村友子委員(共産党)

「ちょっとパネルを出して見ていただきたいと思います。(資料1質疑末尾参照) (58団体の確認の有無を示した表) これは、私たちの調べですけれども、総務局長の答弁のとおり、すべての団体が理事会で決定をしているわけですけれども、女性財団だけが理事会決定をしていない、これをはっきりと示していると思います。一目瞭然だと思います。総務局長、これで間違いはないですね。」
(中略)
「生活文化局は、当事者(女性財団)の意向を無視して総務局に報告していたということでありまして、監理団体改革の実施計画との関係で、手続上大きな欠陥があったと私はいわざるを得ません。改めて振り出しに戻すべきではないでしょうか。
(2001年3月15日都議会)

     
石原氏   「(女性財団以外の)外郭団体はたくさんありまして、それぞれいろいろな問題を抱えているんですよ。ですから、それぞれ担当の局長がそれに当たっているわけでありまして、私はその結果を聞く、そして要するに、自分の判断でその報告を精査して、自分の責任で物を決めているわけでありますから、だからそのプロセスについて生文局長が話そうというのを聞いたらどうなんですか。、、(っと、、、文局長にうつす)」

(2001年3月15日都議会)

 
     
Fact!
野村委員に尋ねられた石原氏、上の発言をして、高橋生活文化局長にバトンタッチ。
高橋生活文化局長「現在の段階では、私どもはむしろ理解をいただくよう努力をしているという状況でございます。」と、やや穏やか。
そして、
野村委員が以下のように発言。
野村友子委員(共産党)

ただ一つ、女性財団だけは、その議を経ずに、廃止なんだからしようがないじゃないかという、そしてその仕事は都が直接やるんだからいいんじゃないか、これは絶対に入れるわけにはいきません。本当にひどいやり方であります。
(2001年3月15日都議会)


◆そして、、「ババァ」発言をする◆

     
石原氏   石原慎太郎の「ババァ発言」
石原氏これは僕がいってるんじゃなくて、松井孝典がいってるんだけど、“文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババア”なんだそうだ。“女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪ですも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を産む力はない。そんな人”って。男は80、90歳で間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害だってだって・・・・。なるほどとは思うけど、政治家としてはいえないわね(笑い)。(続く)」
⇒詳細
(2001年『週刊女性』 11月6日号より)
 
     
Fact!
この「ババァ」発言の真相は、これで終わりではありません。以下、議会の代表質問で新たな事実が。。
渡辺康信議員(共産党)

「知事は、これらの発言を東京大学大学院教授である松井孝典氏のことばとして引いているのですが、女性週刊誌では「なるほどとは思うが」といい「少子社会と福祉」会議では「膝をたたいてそのとおり」ということばを加えて自らの見解と同じであることを認めています。私もこの引用のもとになったと思われる松井氏と知事のテレビ対談のビデオを見ましたが、松井氏自身は引用されたようなことは言っていないのです。結局、松井氏の名を借りた知事の放言(嘘)ということになりますが、、」(2001年平成13年12月11日第4回定例本会議  代表質問にて)

それに対して、、↓

     
石原氏   以下、石原氏の「ババァ発言」に対する弁明
石原氏「結論から申しますと、今のご質問(渡辺康信議員の上の質問)は、私の発言のごく一部を引用しているだけで、極めて恣意的といえば恣意的ですが、卑劣なデマゴーグ的な手法で、これは私は非常に危険な発言の構造だと思います。時間がたったから、皆さんお急ぎかもしれません。ゆっくり大事な話をしますので、お聞きいただきたい。
 私が松井さんとした話は、なかなか暗示的、啓示的でありまして、私、議員のころ、十数年前ですけれども、東京のある場所で、例のブラックホールを発見したホーキングの話を聞きました。この人は筋ジストロフィーで、もう死ぬ死ぬといわれて、その後長生きして、奥さんも取りかえたみたいだけれども、言葉が出ずに、コンピューターで言葉をつくって講演しましたが、その後質問が許されまして、ある専門家らしい人が、しからばこの宇宙に、この地球並みに高い文明を備えた星が幾つぐらいあるんでしょうかと聞きましたら、ホーキングが言下に、二百万ぐらいだろうと。みんなびっくりしました。そしたら、その後また若い人が質問しまして、なぜ我々は、それだけ文明の進んだ星が周囲にありながら、宇宙人とか宇宙船を、映画では見たりしますけれども、実際に目にすることはないんだろうかといったら、ホーキングは、それはあり得ない、宇宙船を飛ばすようになった惑星というのは、地球に限らず、宇宙全体の時間の総量からすると、本当に瞬間的な時間帯で不安定になって消滅する、地球も必ずそうなるといいました。
 そんな話を松井さんとしまして、松井さんは、そのとおりだといった。しかも、そのころちょうど私、ある本屋から本を贈られました。それは日本以外の、外国の人も含めて、ある専門性を持った専門家と称する人たち、これは人文科学も含めてでありますが、この文明の状況の中で、人類はあと何年ぐらい存在するだろうかという質問に対して、八五%の専門家がたしか、七、八十年から百年以内という答えをした。中には永遠なんていう人もいましたが、これは論外であります。
 私がその話をしましたら、松井さんも、実にそのとおりだ、地球なんかもう長くない。どんなに長くたって百年で人類は滅亡する。人類だけが、人間だけが存在というものを、難しくいえば、哲学の命題として心得ている。つまり、地球というものの存在を認識できる動物というのは人間しかいないわけですから、人間がいなくなってアブラムシやカラスがばっこしても、地球が存在するという形にはならない。ということで、私は、やっぱりそんなにもちませんかといったら、もたないでしょうと。
 地球に一番近い、高度な文明を持っている星というのはどこですか、宇宙の何とかという星だろうと。しかし、石原さん、それはべらぼうに遠い、とにかく太陽と地球の間の距離を十円銅貨の直径に例えるなら、それで換算すると、三十三キロある、とてもそんなものは、地球に、いかなる宇宙船でも人間が乗ってくるわけにいかないという話をしていました。
 話は少し長くなりますが、多分、私たちが行政を考える、人間のための行政を考えるために、いいよすがになると思いますけれども 共産党、嫌なら退室されて結構ですよ。(「すりかえなさんな」と呼ぶ者あり)いや、すりかえてないんだ。大事な話をしているんだよ。最後まで聞きなさいよ。長くかかると断ったでしょう。
 でありまして、松井さんは、五十万年前に人間が人間として発生した、それから狩猟を続けてきて、一万年前に人間は牧畜、農耕を始めることによって、備蓄というものを覚えて、物をもっともっと生産するという非常に強い願望を持つようになったと。そして、牧畜を通じて、この地上に生存する他の動物を人間のために使役する方法を覚えた。そのあたりから地球の自然の循環が狂ってきて、地球圏に人間圏という別の世界ができた。私はそれは文明ということだろうといったら、まさにそうです、その文明が始まってから、人間は地球に張りついたがんのようなものですと。今さらになって、危機感を感じて、地球に優しいとかなんとかいったって、そんなものはちゃんちゃらおかしい。とにかく我々はこの地球の存在の形を狂わして、ここまで来たので、百年足らずで多分人類は滅びるでしょうということを彼は平然といいました。
 そして、他の動物、他の生命とのかかわりの中で、人間が人間というものの存在の主張をし過ぎたために、非常に横暴な存在になった。そして、彼が例を挙げたのは、ほとんどの動物は繁殖、種の保存ということのために生きて、それで死んでいくが、人間の場合にはそういう目的を達せない人でも、つまり、人間という尊厳の中で長生きをするということで、彼はかなり熾烈な言葉でいいまして、私はそのときに、なるほどなといいながら、しかし、それは政治家にはいえないから、あなたみたいな専門家じゃなきゃとてもいえませんなといって、そのときに慨嘆したんだ。
 それを、私は他の座談会なりにわかりやすく説明したつもりでありますけれども、それを共産党がどう解釈するか別でありますが、いずれにしろ、私が思わずひざをたたいたゆえんの一つは、私の友人でもありました深沢七郎氏が書いたうば捨て山という、あの、要するに「楢山節考」という、年をとったそのおばあさんを、その部落の貧困のゆえに、あえて生きている人間を捨てに行くという、これは年とった女の人が、他の動物の生存の仕方に比べれば、かなり横暴な存在であるという表現の、実は逆説的な一つの証左でありまして、私はいろんなことを思い合わせながら、その松井さんの話を非常に印象深く聞いたわけです。
 ゆえをもって、私はそれを私なりに受けとめたわけでありまして、あなたは何か私の発言を撤回しろというけど、私は私で女性を敬愛しております。ゆえに私の発言を撤回するすべもございませんし、する必要もないと思います。終わります。(2001年平成13年12月11日第4回定例本会議  代表質問にて)
 
     
Fact!
れは寝言??
こんな会話が議会で交わされること自体信じられません。
市民グループの公開質問状(
詳細はこちら)よると、対話のビデオを見るかぎり、

【1】松井孝典氏は人間圏の
繁栄が「おばあさん」の出現によってもたらされたという「おばあさん仮説」について語っていますが、 石原氏「文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ」であるとか石原氏「男は80、90歳でも生殖能力があるけれども」という発言はしていません!

【2】石原氏の言った「楢山節考」は貧困のゆえに
男女とも高齢になれば山に捨てられるという話であり、石原氏の言うような「おばあさんだけが捨てられる」話ではありません!

●結論 恣意的で、デマゴーグをしているのは都知事!あなたの方です!!


Fact!
「ババァ」発言の撤回・謝罪を求める集会が市民、ボランティアの間で、開かれる。
しかし、このチラシを東京ウィメンズプラザ・交流コーナーのチラシ置き場におくのを拒否される。(参加された方によると、いままでシンポや集会のチラシを拒否されたことは、ないと。)団体はウィメンズプラザ次長に拒否の理由を尋ねた。2002829日掲載可のFem_Netメーリングリストより)

ウィメンズプラザは、「9・13のチラシは交流コーナーには掲示しないというのがウィメンズプラザの結論である」として理由を次のように述べました。
  1. 東京ウィメンズプラザは東京都の施設であり、交流コーナーにチラシを置くことは、東京都の施設を無償で提供するサービスである。
  2. 石原都知事は東京都のトップの責任者である。集会の内容は石原知事の発言を批判するものである。発言は知事がなされたものでしょうが、知事は東京都の施策を代表するものであり、東京都の施策に反する内容のものを原則として東京都の施設に掲示するわけにはいかない。

ウィメンズプラザは、税金を払っている都民の、女性のためのものであり、石原氏のためにあるのではありません。ババァ発言を批判することが、なぜ、都の施策に反するのですか?

●結論 東京都男女平等基本条例に適切でない発言をしているのは知事であり、それを批判するビラを拒否するのは、おかど違いではないですか?、、次長さん。


◆ウィメンズプラザの都による直営化とビラ拒否の関連性は?◆

     
石原氏  
「男女平等参画の新たな段階に対応するため、行政として責任を持って施策を推進していく必要があることから、財団事業を(女性財団がやっていた、ウィメンズプラザの運営を、都が)直営化する」
(以上 2001年2月27日 第1回定例会)
 
     


Fact!
この、「チラシの拒否事件」と、「外郭団体である女性財団の廃止によるウィメンズプラザの都の直営問題」がどの程度関連しているかは、不明です。拒否した次長によると、
「関連はない」とのこと。とは言っても、石原氏を批判するからという理由で拒否とは納得できません。


情報ソース
東京都議会(定例会)
毎日Interactive
「ふぇみん」