東京の七生養護学校に対する性教育バッシングと教職員への不当処分に対して
東京弁護士会が都教委に対して「警告書」を発しました。
「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪より転載します。
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第1 子どもの人権救済申立の内容
当会が受理した2004年1月7日付申立人山田洋次、小山内美江子、斉藤貴男、川田悦子、堀尾輝久、蔦森樹、朴慶南ほか総数8125名にかかる「子どもの人権救済申立」の内容は、以下のとおりである。
- 事案の概要
七生養護学校においては、同校における知的障害を有する子どもたちへの性教育の内容、方法について、10年以上前から、学校内に研究会を設けて教職員が調査、研究を重ね、保護者の意見も聴取しながら、カリキュラム、教材の開発を行ってきた。
同校の性教育の実践については、外部にも報告され、評価を受けてきた。
2003年7月2日、東京都議会において、小中学校、養護学校における性教育についての質疑が行われた。7月4日、教育委員会と、東京都議会議員(以下「都議」ともいう。)3名、日野市議会議員2名が七生養護学校を訪問し、性教育の内容、方法について、校長、教頭らから事情を聞いたうえ、同校の保健室に保管されている教材を提出させ、調査した。この際、同行した新聞記者が同校内に立ち入り、これらの教材を並べて写真撮影し、翌日の新聞に記事として掲載している。
教育委員会は、これらの教材を同校校長から提出させて、委員会にて保管している。
また教育委員会は、7月9日、同校の教職員全員からの事情聴取を実施した後、「都立盲・ろう・養護学校経営調査委員会」を発足させて、不適切な性教育が行われていたこと、学級編成、服務規程違反の実態があることの報告を受けた。同年9月4日、教育委員会の指導にしたがい、性教育全体計画が作成され、保護者への説明がなされた。9月11日、教育委員会ほ不適切な性教育や服務規程違反などの理由により、七生養護学校の教職員を含む学校管理職37名、同教員等65名、教育庁関係者に対し、停職、降格、減給、戒告、文書訓告、厳重注意などの処分を行った。
教育委員会は、七生養護学校において行われてきた性教育の意義、必要性、効果などについて、現場の教員や保護者の意見を十分に尊重することなく、これを不適切として、同校教職員や保護者によって、開発されてきた教材の使用ができないようにし、性教育の内容を大きく変更することを処分をもって強要した。
これらの事実は、知的障害を持つ子どもたちに、性についての正しい知識を獲得し、心と体の大切さを学ばせたいとする教員および保護者の教育権を著しく侵害し、これらの教育を受ける子どもの権利を侵害したものである。
- 申立の趣旨
申立人が求めた申立の趣旨は、以下のとおりである。
1)人権侵害の事実
東京都立七生養護学校において、隣接する都立入所施設七生福祉園や通学生の保護者と話し合いを重ね、何年間も試行錯誤しながら進められてきた性教育「こころとからだの学習」について、東京都教育委員会は、
(1) |
十分な調査をすることなく一方的に不適切等と非難し、 |
(2) |
教材を没収し、教材の使用を禁止して授業をできない状態にさせ、 |
(3) |
不必要かつ執拗な事情聴取等を行うなどの事実上の圧力を加えて教師らを萎縮させ、指導を困難にし、 |
(4) |
校長職にあった教員を降格にするなど不当な処分を行い、また、このことによって事実上当該教育を継続できないようにし、 |
(5) |
報道機関の適正を欠く取材を許し、また事実に反する報道を放置し、正当な批判・抗議をしない不作為により、生徒の教育を受ける権利及び名誉、保護者の子どもに対して教育を行う権利及び名誉、教師の教育の自由及び名誉を侵害した。 |
2)以上の人権侵害に対して、東京都教育委員会に対して
(1) |
- 没収物について早急に返還をすること
- 教材(からだうた等無形の教材も含む)の使用禁止の処置を早急に止めること
- 元校長ら職員に対する不当な処分を撤回すること
- 報道機関の真実に反する報道に対して是正を求めることの勧告を求める。
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(2) |
- 教師らに対する不要な事情聴取等による圧力を加えることのないこと
- 報道機関に対する偏ぱな対応をしないこと
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の警告を求める。
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