東京の七生養護学校に対する性教育バッシングと教職員への不当処分に対して
東京弁護士会が都教委に対して「警告書」を発しました。
「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪より転載します。

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第5 都議会議員の視察の際の都教育委員会の対応について

 申立の趣旨には直接現れていないが、2003年7月2日、都議会において、土屋都議らによる公立学校の性教育の問題点についての質疑応答があり、これを受ける形で、同月4日、前記土屋都議ら7名が、産経新聞の記者を同行して七生養護学校を訪問した。土屋都議らは、七生養護学校の保健室等において、教職員に対して、威嚇的な口調で七生養護学校の性教育に批判的な質問をしたり、侮辱的言辞を発した。また、教材である人形を並べさせて、そのズボン等を脱がし、性器を露出させた状態にするとともに、これを同行した新聞記者に撮影させた。
 都議会には、議員調査権が認められているが(地方自治法100条)、具体的な調査権の行使は、個々の都議会議員に対して調査の派遣という形式をとることになる。しかるに、本件においては、都議会が、調査を決定して、土屋都議らを派遣した事実は認められず、それゆえ、本件訪問は、正式な議員調査権の行使ではなく、都議らが言うように、議員調査権の前提としての「視察」の領域にとどまる行為であると考えざるを得ない。
 教育基本法10条は、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」と規定する。同法10条は、戦前我が国の教育が国家による強い支配によって不当に歪められてきたことを反省し、教育の自主性、自律性を尊重することを明らかにした規定であり、具体的には、教育の自主性、自律性を確立するため、教育行政が国家権力・公権力による支配に服することなく行われるように教育委員会によって教育を運営していくという教育行政の仕組みを規定したものである。
 そして、ここにいう「不当な支配」とは、教育の自主性、自律性を侵害するあらゆる支配を意味することから、議員調査及び視察についても、かかる教育基本法10条の趣旨に従って、教育現場・内容への過度の介入は許されないという制約を受けることになる。
 これを本件についてみると、「視察」ということならば当然のこと、仮に調査権の行使であったとしても、授業風景や各教室・校舎その他の設備の見学、中立な立場での質問等にとどめられるべきであり、それを超えて、本件のように教育内容を批判する専政治的意味合いの強い質問はむろんのこと、威嚇的な口調での質問や教材である人形のズボンを脱がすなどの行為は、視察、調査権の行使の域を超えており、これに名を借りた教育現場への行きすぎた介入であると言わざるを得ず、教育基本法10条に反する行為と評価せざるを得ない。
 そして、都教委は、前記のとおり、教育の自主性、自律性を守るべく、教育に対して政治的圧力が加わった場合には、本来政治的支配に屈することなく、これを排除しなければならない立場にあり、当日、都議らとともに来校した都教委指導主事は、都議らの前記教育への問題言動に対して、注意を促し、その介入の程度が著しい場合には断固として抗議して、これを阻止しなければならなかったにもかかわらず、都議らの行動を終始静観して、これを放置していたものであり、かかる都教委の行為は、教育基本法10条に反する行為と言わざるを得ない。


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