頒価:300円
郵送料:200円
発行:2002年3/16

2001年12月8日開催
平権懇15周年記念シンポジウム
米軍のアフガン報復戦争と自衛隊の戦争参加を問う
主催・平和に生きる権利の確立をめざす懇談会


企画を終えて
本企画が有事法制を阻む糧にあることを希って

佐藤 和利

 この日、東京では法律家団体などが主催したアフガン関連の集会が3つ重なりましたが、本企画には50名近い参加者が集い、討論時間が足りないほどに盛り上がった集会でした。

 私たち平権懇(平和に生きる権利の確立をめざす懇談会)は、米軍のファントム戦闘機の墜落事件、舘野事件と椎葉事件の被害者支援をきっかけにスタートしました。

 今回のシンポジウムはその15周年記念企画です。この間、国内では「なだしお事件」周辺事態法が成立するなどのことがあり、国際レベルでは湾岸戦争自衛隊のカンボジア派兵などがありました。平権懇はその都度、素早い問題提起をしてきました。

 本企画後の2002年2月、小泉政権と自民・公明・保守の与党三党は、いよいよ有事法制の基本法「安全保障基本法」と各論「武力攻撃事態への対処に関数法制」全般を今国会に提出することを決めました。

 1990年の湾岸戦争で米国はミサイルと戦闘機による砂漠の戦闘シーンをテレビ画面に大きく映し出して、ゲーム感覚の戦争をイメージさせました。日本が100億ドルを超える戦費支援をしても評価されなかったこの戦争から11年を経て、今回の同時多発テロは日本が戦争のできる「普通の国家」へ一挙に変身する口実を与えました。

 同時多発テロの被害がいかに悲惨だったと言えども、そのことは米軍のアフガン報復戦争と自衛隊の戦争参加を正当化させるものではありません。今回のシンポジウムは、憲法と国際法の基本から、米軍のアフガン報復戦争と自衛隊の戦争参加への問題提起を行いました。平権懇運営委員の一人でもある軍事評論家の西沢優さんは主の軍事上の視点からアフガン報復戦争とテロ対策特別措置法を批判し、国際法学者の本間浩先生は国際法・国連決議の解釈論からアメリカの「新しい戦争」概念に真摯な疑問を投げかけました。

 アフガン報復戦争が象徴的に示した事態の根本は、地球上の圧倒的な富を専有している先進諸国の勝利がアフリカや中近東の大多数の貧困層の上に成り立っているという南北問題の存在です。米国は世界の憲兵として一人勝ちの体制を築いた今日、この根本的矛盾を軍事力で押し切る凶暴化の道を選択し、わが日本は盲目的にこれに追随しています。

 本格的に開始した有事法制立法化の動きに対して、平権懇は、憲法の平和主義を尊ぶ草の根の人々とともに、阻止の取り組みに合流します。多くの方々にこのシンポジウムの記録が読まれ、運動の糧になることを希ってやみません。

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