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2:自衛隊派遣の違法性--国内法上の根拠
 前述の国境なき医師団は、コソヴォでの救援活動に際し、NATO加盟国の活動資金提供を断ったそうです。それは、他ならぬNATO加盟国が空爆の主体であったからです。武力行使の勢力と一体視されることを拒否したのです。武力行使でない人道支援が、力のない民間団体に可能であるのに、財力も、スリランカ震災で役立ったような救援の経験も人材も機材もある日本という国が、なぜそれを選択しなかったのでしょうか。
 不法行為の違法性阻却事由として、期待可能性の存在があります。その行為を選択する前に、別の方法を期待できなかったのか、ということです。

 2003年12月、日本政府は、アフガニスタンでの「ショー・ザ・フラッグ」に続き「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」とのブッシュ政権の言葉に早々に自衛隊のイラク派遣を決定。イラク特措法では、派遣が先んじても良いという事になっているとはいえ、まず派遣ありきであり、国会で根本的な是非を問うこともかなわなかったわけです。

共同通信ホームページより
2003年
 イラク派遣時期明言避ける
 石破氏、参院委で

 参院外交防衛委員会は十六日、衆院特別委に続き、小泉純一郎首相が出席してイラクへの自衛隊派遣の基本計画をめぐる閉会中審査を行った。石破茂防衛庁長官は派遣時期について「自衛隊の権限、装備、能力が危険を抑止、回避するに足ると実際に現場に赴く自衛官が判断するときだ。その判断はプロである自衛官が行い、責任は政治が取る」と明言を避けた。
   ----後略---
12/16

空自先遣隊が出発 賛否の中、「戦時下」へ
第1陣、成田から20人

 自衛隊のイラク派遣で、医薬品や食糧など人道支援物資の空輸業務を行う航空自衛隊の先遣隊(計四十数人)の第一陣が二十六日、成田空港を出発した。イラク復興支援特別措置法の成立から五カ月。米軍などの支援や戦後復興の目的で、自衛隊が事実上の「戦時下」にある地域へ派遣される初のケース。賛否両論の中、イラク派遣が本格的に動きだした。
 石破茂防衛庁長官は記者会見で「新たな段階。実際の活動に向けた第一歩」と述べた。
 出発前、先遣隊メンバーの宮川正一等空佐は「来るときが来たなという思い。一人ひとり思うところはあるだろうが、一丸となってやっていきたい」と語った。
   ----後略---
12/26

2004年
陸自に先遣隊派遣命令 16日にも30人、
「戦地」初活動
空自本隊は22日に出発

陸自先遣隊のイラク派遣命令について記者の質問に答える石破防衛庁長官=9日午後6時15分、防衛庁  石破茂防衛庁長官は九日午後、陸上自衛隊に対し、イラク南部・サマワでの人道復興支援活動実施に向け、治安状況の情報収集と、本隊受け入れの準備を進めるため、約三十人の先遣隊を編成し現地に派遣する命令を出した。航空自衛隊に対してもC130輸送機を含む本隊派遣命令を出した。
 戦闘が継続している「戦地」に陸自が足を踏み入れるのは初めて。専守防衛を基本とした日本の防衛政策の大転換となる。石破氏は記者会見で「先遣隊の安全確保は十分、と判断し、命令を出した。引き続き安全確保に最大の努力をする」と表明した。
   ----中略---
 政府は陸自先遣隊員の手当や旅費などとして、予備費一億六千万円を支出する方針で、十三日の閣議で正式決定する。
01/09

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そしてやっと、国会でその是非が審議される運びとなります。

派遣承認案件が審議入り 30日に衆院通過へ
 衆院は二十七日午後の本会議で、イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊派遣承認案件について石破茂防衛庁長官から趣旨説明を受け、質疑を行った。小泉純一郎首相は「イラクの復興に世界各国が協力する必要がある。わが国にふさわしい貢献として自衛隊が人道復興支援を中心とした活動を行うことにした」と派遣の必要性を訴えた。
   ----中略---
 イラク特措法では、自衛隊を派遣(対応措置)する際、首相は対応措置開始から二十日以内に国会承認を求めなければならず、国会閉会中は、その後最初に召集される国会で速やかに承認を求める、としている。政府は、航空自衛隊の先遣隊に派遣命令を出した昨年十二月十九日を自衛隊全体の対応措置開始日とし陸上、海上、航空各自衛隊について一括承認を求めている。
01/27

 何をそんなに急いで派遣する必要があったのでしょうか。今でも、国会の論議を後にしてまで派遣する必要が語られてはいません。

 再び、『人道的介入』から引用します。

「介入せよ、ただし上流で」--これがラモネの結論の正しい表記である。「それにより、悲劇が避けられるように、また武力行使が断固として排除されるように、十分な政治的先見性をもって」。明らかにこれは、単独武力介入のすすめなどではない。いま語られているさまざまな武力介入の可能性が、実は過去の政策的誤り(たとえばEUによるクロアチアやボスニアの早すぎた承認)の結果であり、他になすべきことを放置して敢行される目くらましである以上、安直にそれをおこなうべきではない、という意味である。

 「上流での介入」。それこそが、過去60年間に武力で他国の人を殺さなかった国として最も得意とする方法ではなかったでしょうか。この国の行政担当者には、それを十分に行う人材がいらっしゃるはずと、信じています。
 その人々の力を信ずることなく、武力行使のさなかに国民を送り込み、武力こそが国力の発揮であるという間違った政治へ舵を取った現政権の人々の行いは、国民への大きな背信であり、私は損害を訴えます。
 
 一般に人が他人を傷つければ当然、不法行為とされます。しかし、急に逃れられない危険が迫ったときには、正当防衛が認められ、罪は軽減されます。しかし、危険が予測された場合は逃れる方法が別にあったとして、正当防衛は認められません。

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 侵害の急迫性に関する判例(最高裁昭和52年7月21日第1小法廷判決)
侵害の予見があった場合でも急迫性が認められるか問題となった判例

当然またはほとんど確実に侵害が予期されたとしても、そのことからただちに侵害の急迫性が失われるわけではないとするのが相当であり、…、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、もはや侵害の急迫性の要件を充たさないものと解するのが相当である

 米英軍の攻撃は、正に「その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだ」のであり、これを擁護する訳にはいきません。
 
 甲第86号証を提出します。
 金融庁のホームページから「テロ資金供与に関するFATF特別勧告」の一部を引用します。

2.テロ資金供与及び関連する資金洗浄の犯罪化
各国は、テロリズム・テロ行為・テロリスト団体に対する資金供与を犯罪化すべきである。各国は、これらの犯罪が資金洗浄の前提犯罪として指定されることを確保すべきである。

 米英軍の行為がテロ行為であるかどうかの判断はここではしません。しかし、資金提供の行為が、提供されたものの行為を助けるものであり、ここで「前提犯罪」といわれているように、同じ責任を持つ行為であることは国際的にも、またこの勧告を受け入れた日本政府も認識しているわけです。アフガニスタン攻撃からすでに燃料供与などの援助をしており、またイラク攻撃でも基地を提供し運搬を負担し占領軍の任務分担をしている日本政府は、提供された燃料や資材が他国の攻撃に使われていることなどの責任をどう判断しますか。
 
 甲第87号証を提出します。
 これは、防衛庁防衛研究所発行が平成15年9月に発行した『防衛戦略研究会議 報告書』からの引用です。
 9ページからの『有志連合』には、次のように書かれています。

 国際社会は国内社会と異なり、中央権力不在という意味でのアナーキーを本質としており、「不義」があった場合、これを正す者はア・プリオリには存在しない。その場合、「天に代わりて不義を討つ」ということにならざるを得ない。すなわち、「不義」を正す意欲と能力を持つ者がいれば、その者に委ねるというやり方が考えられ、かつ、それ以外のやり方は考えられない。
 現行の国連安保理の五常任理事国は、そのような「天に代わりて不義を討つ」ための第一人者として期待された国である。それは第二次世界大戦終結までの経緯と当時の国力に照らして、大戦末期にそのように措定されたのである。つまるところ、常任理国五カ国を中心とする国連体制とは、「天に代わりて不義を討つ」ための一つの仕掛けであった。
 しかしイラク戦争でも明らかになったように、重大な問題においてこれら五常任理事国の見解は一致しなかった。問題はその場合にあって、どうするかであるが、アナーキーな国際社会において意欲と能力のある国に問題への対応を委ねるしかないとすれば、米国がリーダーとなって形成された有志連合には一定の意味のあったものと見るのが適当であろう。

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 前述の、アナン国連事務総長の見解とは全く逆の見方です。これでは、米国の強硬戦術に賛同しないことが「アナーキーな国際社会」として切り捨てられています。法に従って判断すれば、これは正しい見解でしょうか。

 また11ページからの『日本の防衛力と日米同盟』として14〜15ページにかけて次のように書かれています。

 これまでのPKO派遣、テロ対策特措法やイラク戦後復興支援法による周辺外地域への自衛隊の派遣は、安定した国際秩序の形成・維持を図りたいとする日本の国益の要請に応えるためのものである。しかし現在の国際社会の抱える大きなリスクを軽減し、グローバルな規模で安定した社会秩序の形成を図るためには、米国を抜きにして考えることはできず、であるならば、日本は多国間協調を重視して国際社会の総意を組汲みつつ、積極的に米国を支援すべきものとなる。それは、決して米国に盲従するという意味の対米協力ではない。日本自身の国益に根ざす対米協力である。
 『日米同盟強化がわが国最高の国益の一つである』と言っても、もはや日本国内で奇異な印象を与えることはないだろう。国民多数は、日本が熟年期を迎え、国力の低下が避けられないことを感じ始め、国益を実現するためには世界強国である米国の力を賢明に利用して、国際秩序を維持する必要があることを知っている。

 「国際秩序」といいながら、ここで米軍を支援する目的にイラク国民のことは一言も触れられていません。ただひたすら、「そうすることが日本にとって得だから」でしかありません。国会論議との整合性は全く見受けられません。「イラクのための人道支援」は、自衛隊派遣のための隠れ蓑だったのですか?

 次に同書65〜66ページより引用します。

 米国は、イラクを民主化してしまえば、イラン、シリア、ヨルダン、サウジアラビアに強い影響を与え、原油も手に入り、パレスチナ問題にも影響を与え、イスラエルも安全になると考えている。一方で北朝鮮には何もなく、核兵器を持ったとしても、ああそうかという程度で、その場合、日韓が米国に擦り寄ることになる。Russia、中国も深刻には考えていない。仮にイラクでの査察の結果、違反事項が出てくると、新国連決議を誘導するだろう。第2の国連決議は難しくなく、国連決議1441には、シリアも賛成したし、全会一致だ。米国では上下両院での3分の2の支持を得ているし、中間選挙も勝利した。国内、国外とも盤石の態勢で、戦力も充実しており、米国の中東に対する影響力を強める千載一遇のチャンスだ。トンキン湾事件、プエブロ事件のようなきっかけが必要になり、イラク北部に居る反政府勢力が、化学兵器を地中に埋めたとしても十分な理由になる。1月20日頃に状況を作るだろうが、それでも新決議ができない場合には米英だけで攻撃するであろう。その場合に、攻撃の中心に参加する国も出てくる。

 これは、この会議に参加した個人の見解です。しかし、防衛庁にかかわる軍事の専門家がこのように、アメリカ政府のイラク攻撃の目的が石油であり覇権でありベトナム戦争でトンキン湾事件を起こしてわざわざ戦争を引き起こしたように、策略を使っても攻撃する意図であるという見方をしていたことは事実です。政府はこれらの論議を知らないはずはないし、これを否定してもいないようです。
 裁判官の皆様、これをどう判断しますか?

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イラク派兵違憲訴訟の会・東京
会としては2007年9月 解散しました。
ここでは、訴訟の記録を残していきます。
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携帯電話 090・5341・1169